妊婦にとって薬とはどういうものか

2015/04/26 19:30:01 | ふと思った事 | コメント:2件

糖質制限の勉強を続けていると、

薬物療法についての疑問が生じてきます。

今医療で主に使われている西洋薬の起源を紐解いてゆけば、

他の生物が備えている構成成分を抽出して、結晶化させて作ったものです。

以前、アルカロイドの記事で触れたように、薬というのはそもそもはヒトの健康を取り戻すために存在しているものではなく、

植物やカビが外敵から身を守るために作った物質が、ある種の強心作用や交感神経賦活作用などを有しているというのを、

逆手に利用して心臓が弱った人にムチを打ったり、代謝の衰えた人を鼓舞させたりしているに過ぎません。

だから本来あらゆる薬というのは、一時的に頼る事はあれど、常時内服すべきではないというのが私の意見です。 今日はその私の意見の根拠を別の角度から説明してみたいと思います。


さて、妊婦さんに薬を使う場合には注意を要します。

なぜならば妊娠中に薬を飲むと、ものによってお腹の中の胎児に悪影響を及ぼすものがあるからです。

有名なところでは、1950年代後半に催眠導入剤として開発されたサリドマイドは、後に催奇形性の副作用がある事が判明しました。

しかし妊婦にとって危険な薬は、何もサリドマイドだけではなく、実は幅広く存在しています。

例えば降圧剤(ACE阻害剤、ARB)、非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)、スタチンなど実に一般的に用いられる薬も妊婦への悪影響が起こりうるため、原則投与禁忌となっています。

それ以外にも「妊娠 禁忌 薬」で検索したらわかりますが、実に多数の種類の薬が妊婦への禁忌薬に該当している事がわかります。

そんな妊娠に悪影響を及ぼすような物質を、

ずっと飲んでいていいはずがないと私は思うわけです。

「妊娠中も比較的安全に使える薬というリスト」というのもあったりするわけですが、

これとて本当に安全なのかどうかは定かではありません。

というのは、妊婦への薬の悪影響を調べる試験というのは倫理的な問題から実施することができません。

妊婦に対して禁忌と言われている薬は、これまで行われた動物実験や疫学研究での危険性がすでに証明されている薬ですが、

妊婦に対して比較的安全という薬は、その薬の妊婦に対するデータがないというだけであって、

決して「安全性を保証するものではない」という事です。

妊娠に悪影響を与える薬とそうでない薬の根本的な違いがどこから来るかという事はまだわかっていませんが、

私の考えでは、どこかの代謝をブロックするという発想で作られた薬は、

多かれ少なかれ妊娠に悪影響を与えるリスクをおそらく秘めており、

それがまだ表面化していないというだけではないかと思うのです。


一方で多面的に作用する漢方薬の場合は、妊娠に対する悪影響が少ないと言われています。

しかしそんな漢方薬でも大黄や附子など作用の強い生薬が入っているものは悪影響を与える可能性があるので、漢方薬も万能ではありません。

ただそうした強い作用を持つ生薬も、それ自体が単一成分の西洋薬と発想が近いものであったりします(例えば大黄は西洋薬の中でセンノシドという便秘薬の成分です)。

そう考えると、漢方の中で悪いのは、より西洋薬的な漢方薬(下品:げほん、が主成分)というように思えます。

漢方薬は食事に近い薬です。そんな中、食事療法である糖質制限はどうでしょうか。

700万年前に誕生した人類は、長らく糖質過多をしようと思ってもできない強制糖質制限生活でしたが、

薬も医療もない時代をきちんと乗り越えて代々妊娠出産を繰り返し、現代までバトンをつないできたわけです。

近代でも糖質制限生活を続けているイヌイットでも人口減少をきたす事なく現代まできています。

そして度々触れますが、宗田先生が示された胎児中の高ケトン血症の存在は、妊婦に対する糖質制限の安全性のこれ以上ない証明です。

だから食事を大事にし、薬にはできるだけ頼らないこと、

それが一番だと私は強く思います。


たがしゅう
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コメント

No title

2015/04/30(木) 16:44:08 | URL | SLEEP #mQop/nM.
たがしゅうさん

おっしゃるとおりだと思います。ついでに言えば植物食というのも人類にしたら仕方なく行っていた行為ではないでしょうか?なにせ自然の動物で有毒のものはそうありませんが、植物は毒の塊と言っても過言ではないですね。

シャンプーや歯磨き粉、化粧品の裏面には体に異常が現れたら使うなと書いてますね。そんなもの十年二十年と使用していいわけなかろうと普通は思うものじゃないでしょうか?タバコCMと同じぐらい毒性にも言及すべきでは?

Re: No title

2015/05/01(金) 06:36:18 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
SLEEP さん

 コメント頂き有難うございます。

> 自然の動物で有毒のものはそうありませんが、植物は毒の塊と言っても過言ではないですね。

 動物ではフグとかヘビとかタコとかが有毒ですが、確かに植物の毒に比べたら圧倒的少数ですね。なぜそういうバランスになっているのでしょう。

 毒について考えてみると、いろいろと興味深い事がありますね。

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