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治療対象として認識してもらえない
それによってもたらされる病態のマジョリティが「糖尿病」です。
糖尿病の診断には血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が2大指標として用いられます。
この2つの検査は医療の中で非常に幅広く普及しているもので、
診断だけではなく、治療においてもこの二つの指標のコントロールが非常に意識されるわけです。
逆に言えば、この二つの指標が正常である場合、その人が糖尿病だと扱われる事はまずありません。
しかし近年、高血糖、高インスリン血症の害は糖尿病だけにとどまらない事が明らかになってきています。
そのうちの一つが、「脳の糖尿病(3型糖尿病)」と称されるアルツハイマー型認知症です。
アルツハイマー型認知症が「脳の糖尿病」と称される理由は、血糖値やHbA1cが正常であるにも関わらず、
脳の中でインスリンをうまく利用する事ができない「インスリン抵抗性」が存在するという事が示されているからです。
そのインスリン抵抗性がそもそも生じてしまう原因は、
高血糖が高じてそれを処理するインスリンの分泌が追いつかない状態が続いてしまう事が主因と考えられますが、
だとすればインスリン抵抗性を解除するためには、高血糖の是正をする事が第一義という事になります。
ところが、ここで血糖値とHbA1cが正常だと糖尿病だとみなされないという点がネックになってきます。
そういう患者さんには高血糖、高インスリン血症を起こさないようにする食事を指導される事はまずないからです。
しかし、たとえ血糖値とHbA1cが正常であったとしても、
その血糖値が空腹時血糖だけであったら、食後血糖値までが正常かどうかわかりませんし、
もっと言えば、食後血糖値が正常であったとしても、糖質の害というのはあるような気がしています。
それは明らかに血糖値もHbA1cも正常の範囲にあるにも関わらず、
明らかにアルツハイマー型認知症になってしまっている患者さんを臨床的によく見かけるからです。
どういうメカニズムで血糖値やHbA1cに異常をもたらさず、
結果的に脳に「インスリン抵抗性」をもたらしているのか、わからない点もまだまだ多いですが、
少なくとも高血糖、高インスリン血症を避けておくに越した事はないと思います。
それによってアルツハイマー型認知症になるリスクを下げる事ができるメリットこそあれど、デメリットはほとんどないからです。
しかし、現時点で血糖値もHbA1cも正常な人で、
なおかつ体重も正常であるような人に糖質制限を指導するような医者はまずいないと思います。
そういう状況の中で私は糖質制限指導を積極的に推進している稀有な医者です。
糖尿病や肥満だけという狭い視野ではなく、もっと広く糖質制限の意義を捉えられる医師が増えるにはまだまだ時間がかかるのではないかと思っています。
ただそういう医師が出てくるのを待っている必要はなく、自分自身でその事に気づきさえすれば、食事療法はその瞬間からでも実行可能です。
やはり「自分自身が自分の主治医」と考える事が大事だと思います。
たがしゅう
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コメント
No title
今晩9時のNHKスペシャル
腸内フロ-ラ です。
お知らせまで
2015-02-22 16:10 ユッキ URL 編集
Re: No title
情報頂き有難うございます。
録画間に合いましたo(^▽^)o
2015-02-22 19:40 たがしゅう URL 編集
ストレスと血糖値
ぜひ先生にお聞きしたくて。。
このところ、悲しいことや怒りがこみあげてくる
ような事柄があり、
そのせいでしょうか、どうも
朝の食事前血糖値が高いのです。118とかになります。(普段は80-90台)
どうにもこうにもならないことなので
すぐには解決困難です
このまま高い血糖値が続き
糖尿病になってしまうのでしょうか?
また漢方薬など怒りを抑えたりするものが
あると聞きましたが、実際はどうなんでしょうか?
すごく心配しています・・・
2015-02-23 15:49 さゆり URL 編集
Re: ストレスと血糖値
コメント頂き有難うございます。
御指摘のようにストレスで血糖値は上昇します。
だけど、うーむ。空腹時血糖118mg/dL。あまり気にしなくても良いのではないでしょうか。
この数値が高いと考えて気にしている事自体が大きなストレスになるので悪循環です。
そんな日もあって当然さ、くらいの大らかな気持ちになってみてはいかがでしょうか。
それにストレスによる血糖上昇は糖質摂取に比べて小さいので、糖尿病の事も心配しなくて良いと思います。
> また漢方薬など怒りを抑えたりするものが
> あると聞きましたが、実際はどうなんでしょうか?
自力でストレスマネジメントできない時に漢方薬がその手助けをできる場合があります。
ただ処方は診察をしないと一律には決められないので、ここでは申し上げる事ができません。
もしご希望の場合はお近くの漢方専門クリニックへご相談下さい。
2015-02-23 22:56 たがしゅう URL 編集