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愛の力でストレスに立ち向かう

category - お勉強
2015/ 02/ 11
                 
糖質制限だけではうまく行かない患者さんの中には、

不安が自己コントロールできないという方がいらっしゃいます。

そういう人にはストレスマネジメントが重要になってくるのですが、

この指導がなかなか一筋縄には行かなかったりします。

なぜならば、ストレスや不安を感じている背景は人それぞれ異なるものであって、

その背景を無視して画一的に指導できるような単純なものではないからです。

そんな中、ストレスを和らげる時に注目すべきホルモンの一つに「オキシトシン」があります。
            

このオキシトシンをいかにうまく扱うかという事が、ストレスマネジメントの肝になるように私は思うわけです。

Clinical Neuroscience(クリニカルニューロサイエンス) 2015年2月号
『社会脳-Social brain』
p177-180
尾仲達史「オキシトシンと社会的行動」


というのもオキシトシンは古典的には子宮収縮と乳汁分泌作用がある事が知られていましたが、

それ以外にも、社会的な行動、養育行動、学習、神経発達、不安・ストレス反応、エネルギー代謝、摂食、鎮痛、骨代謝、筋代謝を調節するなど様々な働きがある事がわかってきました。

そして齧歯動物の実験において、オキシトシンは様々なストレス刺激により強く活性化される事もわかっています。

通常、ストレス刺激は視床下部-下垂体前葉-副腎皮質軸(HPA軸)を賦活化するといった自律系の反応を誘発し、

不安関連行動、うつ様行動、恐怖関連行動などの行動変化を誘発するのですが、

そこにオキシトシンが投与されるとストレス負荷に対する副腎髄質ホルモンの放出と不安行動が減少します。

つまり、ストレス負荷によってオキシトシンが放出される事は、行き過ぎたHPA軸の賦活化と不安行動を制御する働きがヒトにおいてもあるのかもしれません。


そんなオキシトシンですが、一体どうすればより多く産生させる事ができるのでしょうか。

オキシトシンは俗に「愛情ホルモン」とも呼ばれています。

例えば、子を作るために適切な相手を見つけ、その相手と親しくなり、生殖行動(オルガズム、射精)を行い、

子を出産し、子に授乳を含めた愛着養育行動を示す時に、オキシトシン産生ニューロンが活性化されます。

また必ずしも子に関する愛着と関わっていなくても、

親しい間柄において互いに触れ合ったり、一緒に食事をしたり、ともに苦労を分かち合ったりと、

親密さを確かめあうような行動によってもオキシトシンが産生されると言われています。

認知症のケアとして知られるユマニチュードも、この事実を応用している技法です。

まとめれば、「愛の力は素晴らしい」ということになるでしょうか。

男女の恋愛の事だけではなく、もっと広く深い愛の力です。

ストレスに立ち向かえないと感じる時、それは愛の力が足りない証拠かもしれません。

その力を手に入れるためには良好かつ親密な人間関係の構築が、

肝要になってくるのではないかと私は思います。


たがしゅう

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コメント

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わかるような気がします
 いつもありがとうございます。

最近、双極性障害で病んでいる娘がペットを飼いだしました。
糖質制限もずっとしているので比較的安定はしていましたが、
時々しんどくはなるようです。

そんな時ペットを飼いだしたとたん びっくりするくらいの安定なんです。
先生の仰るオキントシン?だったかな・・
そのホルモンのせいなんでしょうね。

素敵なホルモンですね!!
Re: わかるような気がします
あーちゃん さん

 コメント頂き有難うございます。

> ペットを飼いだしたとたん びっくりするくらいの安定なんです。

 なるほど、参考になります。

 ペットへの愛情、触れ合うコミュニケーションがオキシトシン分泌に良いのかもしれませんね。