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方法を誤れば逆効果

category - ふと思った事
2015/ 01/ 10
                 
日本では健康診断の制度が広く普及しています。

会社員であれば通常健康診断が義務付けられていますし、

自営業であっても受けようと思えば、いつでも健診を受ける事は可能です。

しかし、一般的な健康診断であれば、がんや生活習慣病など身体の病気を調べる場合がほとんどです。

脳の病気は脳ドックとか別枠で実施される健診でなければチェックされる事はありません。

しかもそれでわかるのは脳梗塞や脳腫瘍、あるいは脳動脈瘤など脳の器質的な異常であって、

脳の機能的な異常である「認知症」に関しては、脳ドックで調べてもらう事はなかなかできません。

よく頭部MRIなど写真撮ってもらえば認知症かどうかがわかると思われている方も多いですが、それは誤解です。

認知症が軽症であれば、脳の写真を見ても正常だという事が多々あるのです。
            

従って、認知症かどうかを調べる健診をしようと思えば、

今までの枠組みとは別で健診を組む必要があります。

今全国で「認知症健診」などと称して、そうした試みがいろいろな所でなされている状況があります。


「認知症健診」で認知症を早期に発見し、早期治療につなげるという発想そのものはいいですが、

その早期治療の方法論が確立してなければ有害になってしまう懸念があります。

その事で過剰投薬につながってしまうという問題は以前も指摘しましたが、

心配な事はもう一つあります。

近年認知症は生活習慣病の一つという考え方が大分浸透してきています。

有名な久山町研究においても、糖尿病は認知症の発症リスクを高めるという事が明らかにされていますし、

最近では認知症で最も多い割合を占めるアルツハイマー型認知症は、脳の中で起こっている現象が糖尿病で起こっている現象と同様であることから、

「アルツハイマー型認知症=3型糖尿病(脳の糖尿病)」という表現も広まってきています。

そうすると認知症を防ぐためには糖尿病を予防するようにしましょう、という話の流れになります。

ところが、「認知症健診」で早期の認知症を発見し、薬を使うほどではないという状況の人にアドバイスをするときに、

「糖尿病をしっかり治療してもらいましょう」というように説明してしまえば、

特殊な状況でもない限りは、まず間違いなく従来型の糖尿病の治療を受けられる病院につながってしまいます。

そうすれば画一的にカロリー制限が指導され、相変わらず糖質摂取による血糖値の乱高下を繰り返し続けることになり、

認知症の予防どころか悪化の一途をたどってしまう人が大半になってしまうことでしょう。

カロリー制限で改善を示す人は、それ以上に糖質過剰の生活をしてしまっていたごく一部の人だけであり、

多くの人にとっては、病院に行かなかった方がまだマシだった、という事になりかねません。


私の中で、理論的には「認知症予防に糖質制限」というのはほぼ結論が出ている話ですが、

糖質制限がまだ完全に市民権を得ていない現状においては、真に認知症予防の道筋を作るのはまだまだ厳しい道のりです。

安易な治療誘導が、逆に病状を悪化させる結果につながらないように、

Do No Harm」の原則を胸に抱き、地道に糖質制限の普及活動を続けていきたいです。


たがしゅう

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コメント

非公開コメント
        

No title
>私の中で、理論的には「認知症予防に糖質制限」というのはほぼ結論が出ている話ですが、

私も同意見です。タバコ同様、健康のために糖質の取りすぎに注意しましょうとCMしてもいいくらいかと。
Re: No title
アローン さん

コメント頂き有難うございます。