不可逆的な変化になる前に

2015/01/08 00:01:00 | 糖質制限 | コメント:0件

糖質制限を始めるなら早ければ早い方がいい、というのが私の考えです。

その事は「糖質制限をやってはいけない病態」の事を考えればわかってきます。

例えば、腎機能障害で糖質制限をやってはいけない理由は、

糖質制限をする事によって、相対的に蛋白質の量が増え、

増えた蛋白質を腎臓で処理する際に腎機能障害がある人は負担になるから、糖質制限すべきではないという論理です。

しかし、そもそもどうして腎機能障害になったのかを考えれば糖質過剰摂取は大きく影響しています。

血糖値の乱高下による酸化ストレスを介した動脈硬化リスク上昇しかり、血糖コントロール不良による糖尿病性腎症の悪化しかりです。

糖質摂取を繰り返す事によって徐々に腎機能が低下していき、

いつしか糖質制限だけでは対応しきれない状態にまで弱っていってしまうのです。 ちなみに蛋白質が負担になる程に弱ってしまった腎臓に対しては、私は糖質制限に加えて蛋白制限も行うべきだと考えています。これすなわち(古典的)ケトン食です。

ただ今日はその話ではなく、さらに糖質摂取を続けてしまうというその先の話を考えます。

腎機能が弱ってくれば糖質負荷も蛋白質負荷もダブルで腎臓に負担をかけてしまいますので、

急速に腎機能は低下し、最終的には腎機能が廃絶するところまでいきます。

腎臓の機能が廃絶すれば、尿が出せなくなるので身体の中でのさまざまな物質のバランスが保てなくなり致死的になります。

この状態で生命を維持するためには透析をするより他に手段がなくなってしまいます。

ここまで来てさぁ糖質を制限しましょうと言ってももはや腎臓の働きを元に戻す事は期待できません。

それは不可逆的な変化となってしまっているわけです。


つまり、糖質摂取を繰り返し続ける事で、

「無症状」→「一過性の症状」→「散発的な症状」→「持続的だけど可逆的な症状」→「持続的かつ不可逆的な症状」

という大きな流れが見えてきます。

透析しないといけない状態になってから、さて糖質制限をといっても、

もはや不可逆的となった腎機能障害を元に戻すのは至難の技です。

でも症状が可逆的なうちに糖質制限を始めれば、元に戻す事は十分可能です。

ですから私は糖質制限を始めるのは早ければ早いほどよいと考えるわけです。


一方でたとえ透析になってしまったとしても、

それでも糖質は制限すべきだと私は思います。

というのも長く透析をされている方を観察していると、実にさまざまなトラブルに見舞われる事がわかります。

皮膚がくすみ、難治性のかゆみに悩まされたり、

難治性の便秘になったり、免疫力が落ちて感染症にかかりやすくなったり、

透析アミロイドーシスという難治性の病態も新たに起こしたりと、とにかくろくな事がありません。

それというのも、たとえ透析で壊れた腎臓の働きを肩代わりをしていたとしても、

糖質摂取を繰り返していれば、相変わらず血糖乱高下で動脈硬化が進み、免疫・代謝が乱れて、

腎臓だけでなく全身に悪影響を与え続けます。

だから透析後、糖質制限をしても腎臓の働きが戻らなかったとしても、

それ以上被害を広げないようにするためにも、やはり糖質は制限すべきだと考えます。

言い換えれば糖質制限を始めるのに遅すぎるという事はないということです。

それでも始めるのが早いに越したことはありません。

変化が不可逆的になる前に、糖質の害に気付き、

速やかに糖質制限を実行できる人が増える事を願うばかりです。


たがしゅう
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