私が変われば世界も変わる
2015/01/01 00:01:00 |
おすすめ本 |
コメント:12件
あけましておめでとうございます。
2015年の始まりは、「幸せ」について考えるところから始めたいと思います。
それを考える上で大きな気づきを与えてくれる一冊の本と出会いました。
嫌われる勇気
岸見 一郎 (著), 古賀 史健 (著)
この本は、人生に苦悩する青年と幸せについて悟る年老いた哲人との対話を通じて、
幸せとは何かについて考えさせられる内容になっています。
その哲人が基本においている考え方が、「アドラー心理学」です。
哲人は言うのです。「人は今この瞬間から幸せになる事ができる。ただひとりの例外もなく」と。 アドラー心理学について私もこの本を読むまではよく知らなかったのですが、
心理学の世界では、フロイト、ユングに並ぶ三大巨塔の一人として位置づけられているそうです。
ただフロイト、ユングの心理学と、アドラーの心理学には根本的に違う部分があります。
前者は過去にどのような経験をしたかによって今の自分の心理が形成されているという「原因論」に立脚する理論です。
それに対して後者は、過去に何があったかは関係はなく、過去の経験をどのようにとらえ、これから何を成し遂げようとするか、
その価値観(ライフスタイル)を選択する事で今の自分が作られる、という「目的論」に立脚しています。
中を読み進めてみると、実に大事なメッセージが端々に散りばめられている事がわかります。
しかも、本を読み終えた後であっても一朝一夕に理解するのは難しく、時間をかけて反芻する必要がある想像以上に深いメッセージです。
その中でも私が印象に残った部分を一部抜粋してみたいと思います。
(p279-281より引用)
哲人「旅人が北極星を頼りに旅するように、われわれの人生にも『導きの星』が必要になる。それがアドラー心理学の考え方です。
この指針さえ失わなければいいのだ、こちらの方向に向かって進んでいれば幸福があるのだ、
という巨大な理想になります。」
青年「その星はどこにあるのですか?」
哲人「他者貢献です。」
青年「……他者貢献!」
哲人「あなたがどんな刹那を送っていようと、たとえあなたを嫌う人がいようと、
『他者に貢献するのだ』という導きの星さえ見失わなければ、迷うことはないし、なにをしてもいい。
嫌われる人には嫌われ、自由に生きてかまわない。」
(中略)
哲人「わたしは長年アドラーの思想と共に生きてきて、ひとつ気がついたことがあります。」
青年「なんでしょう?」
哲人「それは『ひとりのちからは大きい』、いや、『わたしの力は計り知れないほどに大きい』ということです。」
青年「どういうことでしょうか?」
哲人「つまり、『わたし』が変われば『世界』が変わってしまう。世界とは、他の誰かが変えてくれるものではなく、ただ『わたし』によってしか変わりえない、ということです。
(後略、引用ここまで)
私は「私の価値観」というフィルターを通して世界を眺めている。
だから、その価値観を変える事によって、私の世界はいくらでも変える事ができるという、
ともすれば、理想論とも捉えられかねないアドラーの考え方ですが、
私はこの考え方を実感を持って理解する事ができます。
糖質制限と出会う前、うつと高度肥満に苦しんでいた私は、
この世界を地獄のように感じていました。こうなってしまう自分が情けなくて仕方ありませんでしたし、
また他者の事が羨ましかったり、許せなかったりとにかく負の感情がうずまいていました。
しかし糖質制限によって心身の調子を徐々に取り戻していき、私には少しずつゆっくり考える余裕が生まれてくるようになりました。
それから、この糖質制限の素晴らしさをより多くの人に伝えたいと思うようになりました。
まずは患者さんから、伝えられるところから着実に伝えていきました。
その過程で、変えられる状況と、変えようのない状況がある事を知り、苦悩もたくさんありました。
同時に自分の負の意識が、いつの間にか「自己受容」から「他者信頼」「他者貢献」へと移行してきている事を感じていきました。
その意識の変化は私を様々なまだ見ぬ人達との出会いをもたらし、世界を変え、
ついにはブログを書くという行動にまでつながっていく事になりました。
アドラーは「幸せとは、貢献感である」という極めてシンプルな言葉を与えてくれているのですが、これはまさに「他者貢献」のひとつの形だと思います。
ブログを書き、双方向交流を行う事で私は「自分には価値がある」と感じられ、さらなる「自己受容」へとつながり、好循環を生み出すとともに、私は以前に比べて明らかに「幸せ」を感じています。
「自己受容」→「他者信頼」→「他者貢献」
→「自己受容」→「他者信頼」→「他者貢献」
→・・・
人によっては偽善と感じられるサイクルかもしれませんが、
ひとつ、青年と哲人との会話で、「嫌われる人には嫌われ、自由に生きて構わない」という言葉が救いになります。
というのも私にはどうしても好きになれない人、信用しがたい相手というのが存在するのも厳然たる事実だからです。
アドラー心理学では誰彼かまわず「他人の事を信頼せよ」と言っているのではなく、
「見えない相手にも、無条件の信頼をおく勇気を持ちなさい」と言っているのです。
どうしても気に食わない人はバッサリとハサミで断ち切ってしまっても構わない、それは私自身の問題なのだから、
その代わりよい人間関係を築きたければ全面的に相手を信用すること、
たとえそれで裏切られたとしても、その時は思いっきり悲しめばいい、疑うのではなくあくまで信頼することにこだわる、そうする勇気を持ちなさい、という事なのだと思います。
それは相手の立場に立って考えればよくわかります。疑い深い人となんて良い人間関係を築けるはずもないですものね。
今後も私はブログを通じて、
ありのままの自分を受容し、信頼する勇気を持って皆様と接し、
そして少しでも社会に貢献すべく、この活動を続けていきたいと思います。
今後ともどうか宜しくお願い申し上げます。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
No title
元旦から心に響くお話をありがとうございます。
私も絶望の淵に立って初めて分かったことがあります。
自分の幸せを求めて今まで生きて来たけれど、本当は他者の為に尽くすことこそが本当の幸せであるということです。誰かに喜んでもらえる、誰かの役に立っている、そのことこそが生きる希望を与えてくれるのですよね。
紅白で和田アキ子の曲を聴いて、
若い時には自分の事しか見えていなかったな〜と共感しつつ『ハッ!』と一緒に歌い、
大流行したアナと雪の女王の『ありのーままのー姿見せるのよー』の所を聴いて、涙腺が崩壊しました。
自分の人生は自分で作り上げていくしかないのですよね。
今年もたがしゅう先生のブログで勇気をもらいながら私なりに誰かの役に立てるように頑張ります。
あけましておめでとうございます
お医者さんらしいゴージャスな糖質制限披露宴をお願いします^ ^。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
私も今年は紅白歌合戦、断片的に観ました。
心地よいリズムだけでなく、歌の歌詞に注目して聞いたりするとまた味わい深いものがあったりしますよね。
> 自分の人生は自分で作り上げていくしかないのですよね。
そうですし、逆に言えば自分次第で自分の人生は如何ようにも姿を変えうるものだと思います。
Re: あけましておめでとうございます
あけましておめでとうございます。
> 今年はたがしゅう先生の結婚報告が聞きたいですね。
こればっかりはご縁次第ですね…(^^;)
明けましておめでとうございます
たがしゅう先生に初めてお会いでき、まさか山陰で「糖質オフの会」が誕生する事になろうとは夢にも思いませんでした。
オフ会に勉強に来て頂く方もどんどん増えて嬉しい限りです。
先生の分かりやすく丁寧なお話で、初めての方もよく理解できているのではないかと思っています。
糖質制限を通して関西方面では江部先生を始め多くの方と知り合いになれました。
糖質制限ってすごいですね。
今年は糖質制限の食事を作ってくれるレストランを探す事を私の目標にしています。
山陰で地道に糖質制限の輪を広げ夢実現に向かって行きましょう。
どうかありのままの先生でいてください。
今年もまた先生のお力を借りる事になります、どうぞ宜しくお願い致します。
岸見先生のアドラー
2012年5月末よりスーパー制限しております者です。
嫌われる勇気、友人に勧められて読み、その後、岸見先生の他の著作やドライカースの本など読み進めて来ました。
自分のことは他者のせいにせず自分で責任を持つという点で
アドラーの考え方と糖質制限は通ずるところがあると思います。
(同時にシャンプーレスも始めており、同じように感じます。)
たがしゅう先生のブログにアドラーが出てきてついコメントしてしまいました。失礼しました。
どんどん進みましょう
私にとって2014年は糖質制限元年でした。
今年の年明けは心身共に健康で明るく穏やかに迎えられ、本当によかったです。
こうして新年を迎えられるのはなんとありがたいことかと実感しています。
またブログを通して先生からもお力をいただきました。
今年も先生にとって、糖質制限にとって更なる飛躍の年になりますよう、応援しております。
私自身も、良い年だったと言えるように精進したいと思います。
Re: 明けましておめでとうございます
コメント頂き有難うございます。
こちらこそ昨年は大変お世話になりました。
私自身も大きな学びの場を与えて頂き、大変有り難かったです。
今年も着実に輪を広げていきましょう。今後とも宜しくお願い申し上げます。
Re: 岸見先生のアドラー
コメント頂き有難うございます。
> 自分のことは他者のせいにせず自分で責任を持つという点で
> アドラーの考え方と糖質制限は通ずるところがあると思います。
同感です。
アドラー心理学は糖質制限実践者の思考パターンをうまく説明していると思います。読んでいてしっくり来る箇所が多々ありました。
Re: どんどん進みましょう
明けましておめでとうございます。
健やかな気持ちでの新年の始まりで良かったです。
健康があれば、その先の世界も広がります。これからもどうぞ宜しくお願い申し上げます。
No title
あけましておめでとうございます。
いつも先生のブログを読ませていただいております。
大変勉強になり、共感し感銘をうけることしょっちゅうです。
また、糖質制限を開始して1年半ほどになり、
驚くほど体調や肌の調子が良くなったことを実感しております。
アドラー心理学も勉強しており、野田俊作先生や岸見先生の本やブログを読ませていただいておりますので、
たがしゅう先生が「アドラー心理学」について触れられたことにも大変感激しました。
母の物忘れがひどくなり、昨年11月に「物忘れ外来」受診したところ、「認知症と加齢による物忘れのどちらか微妙なところ」という診断がくだり、
レミニールを処方されました。
加えて、たがしゅう先生のブログから「コウノメソッド」と「フェルガード」を知り、
こうの先生の本も読みながら、母にはフェルガードを服用させているところです。
今のところ、目立った症状の悪化はありません。
とりとめのないことを書いてしまいましたが、
今後とも先生のブログを読ませていただき自分なりにいろいろ考えたり勉強させていただきたいと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
Re: No title
コメント及び共感頂き有難うございます。
アドラー心理学はそれこそ共感できる事の多い理論でした。
副作用に無頓着な医師が多い世の中ですが、変わらないものを嘆いても何も変わりません。
確実に変えられるのは自分自身です。副作用を見落とさないように神経を研ぎ澄ませていきたいですね。
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