アミロイドができる原因
2014/12/15 00:01:00 |
お勉強 |
コメント:4件
現在認知症の最も多い原因疾患とされる
「アルツハイマー型認知症」は「アミロイドベータ」という物質が脳内にたまる事が大きな特徴とされています。
アミロイドベータを含む異常構造タンパク質の事を「アミロイド」と総称しますが、
近年、アルツハイマー型認知症を含む多くの神経変性疾患において、
様々な種類のアミロイドが細胞間の伝播によって次第に広がっていく事が確認されています。
その伝播する様子が、まるで癌が他の組織に浸潤していくようだという事で、「蛋白癌」という概念が提唱されてきています。
生命の維持にとって必須であるはずの蛋白質が、癌の様相を呈するとは一体どういうことなのか。
アミロイドとは一体どうして生み出されてしまうのでしょうか。 その事を考えるうえで、参考になる特集が私が購読している神経内科雑誌で書かれていました。
神経内科,81(6):602-609,2014
特集Ⅰ 伝播する蛋白質:プリオノイド仮説
樋口京一、池田修一.「アミロイド」
そもそもアミロイドという言葉を初めて用いたのは、ドイツの病理学者Virchowでした。
彼は1854年に臓器に沈着する奇妙な物質をヨード反応および硫酸で処理したところデンプンに似た反応を示すということを発見しました。
その事実を踏まえて、Virchowはこの奇妙な物質のことを、「アミロイド(amyloid:類澱粉質)」と命名したのです。
「amylo-」というのは「澱粉(質)の」を意味する言葉です。
デンプンにはアミロースやアミロペクチンという種類がありますし、デンプンを分解するアミラーゼという酵素も語源は一緒です。
そしてアミロイドの命名から約100年、コンゴレッド染色や水抽出法というアミロイド物質の抽出法が確立され、さらに解析技術が進歩して、
アミロイドの本態がクロスβ構造を持つ蛋白質が線維状に重合(アミロイド線維と呼ぶ)し、沈着したものである事が判明しました。
そしてアミロイドが蓄積する「アミロイドーシス」という疾患概念ができ、
アミロイドーシスとは、蛋白質のミスフォールディング(構造異常)疾患であるとの概念が確立したわけです。
要するにざっくりと言えば、
「正常な蛋白質が何らかの原因でデンプンの性質を持ったときにアミロイドとなる」というわけですから、
その主たる原因は、デンプンの元である糖が蓄積され続ける事、
すなわち糖質の頻回過剰摂取にあるという仮説も成り立つのではないでしょうか。
それは安易な解釈だと言われてしまうかもしれませんが、
例えば、2型糖尿病があるとアミロイドが蓄積するという事があります。
それにアルツハイマー病やパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患は増加の一途をたどっています。
あながち間違った解釈でもないのではないかという気が私はいたします。
糖尿病に限らず、難病の基盤とも言えるアミロイド蓄積に糖質頻回過剰摂取が関わっているのだとすれば、
それは直ちに修正すべき事だと私は考えます。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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アミロイドβ
ここ10年でアミロイドβをターゲットとしたアルツハイマー治療薬が山ほど開発・治験されましたが、いずれも結果を出せず失敗に終わりました。アミロイドβはアルツハイマーだけではなく、レビー小体型でも蓄積するタイプがあるようで、タウが高度に前頭葉~側頭葉に蓄積していった結果として前頭葉~側頭葉の萎縮が起こるようです。このようなタイプではアルツハイマー病理とレビー病理の混在が少なくないようで、アミロイドβが蓄積してタウも高度に蓄積した症例ではコリンエステラーゼ阻害薬の効果が乏しいという報告もありました。
病気の発症予防という観点で言えば発症する20年前から始める必要があり、糖質制限が有効だとすれば、30~40歳から開始する必要があると思われます。
個人的には発症してからコリンエステラーゼ阻害薬を開始するという事にどれほどの意味があるのか?益よりも害が多いのではないかと感じる今日この頃です。
アミラーゼ
私の友人に、アミラーゼが非常に多く、毎年健康診断でひっかかるという人がいます。精密検査を受けたけれど、悪い病気ではなかったそうで、放置しているようです。
彼女は外見も体力も実年齢より驚異的に若く、健康そのものです。糖質もガンガン摂っていますが、まったく太りません。(痩せ過ぎでもなく、美容的な理想くらい)
これは、アミラーゼで澱粉を分解する能力が高いからということは考えられますか?
まったくの素人考えですが、人間も澱粉の害を受けないように進化できればいいのにな〜と、美味しそうなスイーツを見るとつい思ってしまう私です。
Re: アミロイドβ
コメント頂き有難うございます。
アミロイドβをターゲットにした治療がうまくいかないのは、原因と結果を履き違えているからだと思います。
アミロイドができる原因に対してアプローチしない限りはおそらくうまくいかないでしょう。同じ理由でコリンエステラーゼ阻害剤も短期的にはよくても、御指摘のように長期的には益は少ないのではないかと思っています。
Re: アミラーゼ
御質問頂き有難うございます。
> 私の友人に、アミラーゼが非常に多く、毎年健康診断でひっかかるという人がいます。
> これは、アミラーゼで澱粉を分解する能力が高いからということは考えられますか?
そうかもしれませんが、それはちょっとよくわかりません。
ちなみにアミラーゼが高い人の中には「マクロアミラーゼ血症」というのもありますが、これは免疫グロブリンと結合したアミラーぜで、アミラーゼとして機能しなくなったものを測定してしまっている状態なので、
「アミラーゼが高い事」が必ずしも「デンプン処理能力が高い事」を意味するとは限りません。
ただ、糖質の処理能力が高い人、低い人というのは確かにいるような気がいたします。
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