Post

        

それでもおかずを残す理由

category - 普段の診療より
2014/ 11/ 29
                 
糖質制限がまだ受け入れられていない病院において、

入院患者さんの食事を少しでも理想に近づけるための妥協案として、

通常食の主食を半量に減量するというやり方を私はよく用いています。

俗に言う「緩やかな糖質制限」という形にはなりますが、

それでも何もやらないよりは、あるいは日本糖尿病学会の推奨するカロリー制限食にした場合と比べて、

血糖コントロールにおいて明らかに良い効果がある事がわかります。

しかも主食半量にする事で栄養失調になるのかと言われるとそんな事はありません。

糖質を減らすという事はそれほどに身体にとって良い効果をもたらす行為なのです。
            

そんな中、とある入院患者さんに理由を説明の上、いつものように主食半量の通常食を提供していたのですが

その患者さんの摂食パターンを見ていてふとある事に気がづきました。

その患者さんはいつも主食を10割摂取し、副食を7割くらい食べられて残されるのです。

普通主食を半量にしたのであれば量が減った分お腹がすくであろうから、

出された料理は残さず食べるのではないかという気がするのですが、

実際には「主食を半量にしたにも関わらず、それでもおかずを少し残している」のです。

この光景を見て、私は二つの事を感じます。


一つは、その患者さんが「いかに主食に依存しているか」ということ、

もう一つは、「人の食欲を満たしているのは必ずしも食事の量ではない」ということです。

人によっては「ごはんを食べるための手助けをするのがおかず」という観念の下、

あくまでごはんを食べきる事を最優先に考えられているのではないかと思います。

私自身も小さい頃から「ごはんは残さず食べるように」と教わってきたものですが、

健康を守るという目的の上では、その文化が完全に裏目に出た形になっているのではないでしょうか。

どちらかといえば、主食を7割で、副食を10割食べてほしかったりするのですが、

何度軌道修正しようとしても、それは不思議とうまくいきません。

それほどに「ごはんを食べる事は大事」という考え方は根深いものになっているようです。

そして主食を半量にすれば、空腹感に苛まれるのかというと、

現実にはそのようになっていません。だって、おかずを残す余裕すらあるわけですから。

これは、糖質を減らすことによって血糖値の上昇程度が抑えられ、

血糖値が上がる事によってもたらされていた次の糖質への渇望感が、

抑えられているのではないかと私は思います。

ちなみに私自身、糖質制限を続けて3年近くになりますが、

自然な食欲としては1日1~2食のところで安定しています。

まるで「現状を維持するにはそれくらいで十分だ」という事を身体が教えてくれているようです。

糖質を制限すると、邪魔なものがなくなって身体本来の声が聞こえてくるような感じがします。

このように糖質制限は負の要素を取り除く作業だと私は考えています。

もともと邪魔だったものを取り除くわけですから、

悪さをするはずはないと私は思います。


たがしゅう

関連記事

            
                                  

コメント

非公開コメント
        

今日のブログを拝見して
>これは、糖質を減らすことによって血糖値の上昇程度が抑えられ、血糖値が上がる事によってもたらされていた次の糖質への渇望感が、抑えられているのではないかと私は思います。

凄く合点がいきました。私も糖質制限から現在9ヶ月経過しましたが、スタンダードにもかかわらず、空腹感は殆ど感じません。母と同居しているので昼食のご飯は半ば義務感で食べているような、、、、
いずれスーパー食や一日二食を視野に入れたいと思いました。
Re: 今日のブログを拝見して
アローン さん

 コメント頂き有難うございます。

 糖質制限を始めて身体に起こってくる変化、それがどうして起こるのか、という事を突き詰めて考えていくとわかってくる事も多いです。

 これからも自分の身体の声を耳を傾けていきたいと思っています。
No title
たがしゅう先生

「主食」に依存するかどうかは幼少期からの生活習慣と関連があるのでは?と考えました。子供の頃からオカズから先に食べなさい。御飯は残してもオカズは全部食べるように、と言われてきました。小学生になるまでは徹底して砂糖入りの菓子禁止。小学生の時も炭水化物大量(ラーメンライスのような)組み合わせもご法度でした。

1日3食食べると集中力が低下すると気づいたのは歯科医師国家試験受験前でした。朝の糖質をひかえて、昼食を抜くと集中力が高くなることに気づいたのです。

このような過去があったので夏井先生の炭水化物は人類を滅ぼす、を読んで翌日から糖質抜きを決意できたと思います。逆に幼少期の食育と若い頃の1日2食生活かなければ御飯は主食という事の間違いに気づけなかったのではないか、気づいたとしても糖質制限を実践できなかったのではないかと考えています

Re: No title
栗田 さん

 コメント頂き有難うございます。

> 「主食」に依存するかどうかは幼少期からの生活習慣と関連があるのでは?


 確かに無関係ではないでしょうけれど、絶対的なものではないと思います。

 というのも私は幼少期は「ごはんは残さず食べること」、「一粒の米にも千の魂」といった価値観を教え込まれてきましたが、糖質制限を受け入れています。

 一番大事なのは、自分で考える脳を持っているかどうか、だと思います。