自然に備わったリスク分散感覚
2014/10/31 00:01:00 |
ふと思った事 |
コメント:2件
糖質制限を続けていると、
不思議なほどに糖質への嗜好性が取れていき、
あれほど欲しかった糖質をあまり欲しなくなるという事はこれまでも何度か述べてきました。
本日はそれとは逆の観点で嗜好性を考えてみたいと思います。
よく噛んで満腹感を生じやすくさせるという事と、
糖質制限を両立させるために、シンプルに「するめだけを食べ続ける」という方法があります。
するめは低糖質食品ですし、食べるためにはよく噛まなければならないので、
これを実践していれば食べすぎを防ぎ、理論的にはかなり優秀な糖質制限が実践できるはずです。
しかし実際にやってみるとわかりますが、そうはうまくいきません。 なぜならば他のいろいろな食べ物が欲しいと思ってしまうからです。
糖質の場合は、しばらく摂らなければ薄れていった嗜好性が、
肉や卵といった低糖質食品の場合は、いつまでたっても食べたい気持ちがなくならず、嗜好性が変わらないのです。
従って、その食べたいという気持ちに負け、するめだけ療法をすぐに自ら解除してしまうのです。
物理的にはするめだけ食べ続けるという行為は実践可能な行為だと思いますが、
実際にはそうさせないように身体が逆らっているような感覚があります。
はたしてどうしてそのような気持ちが沸き起こるのでしょうか。
その理由は推測になりますが、
同じものを食べ続ける事によるリスクを分散するためだと私は思います。
食べるという事はリスクと引き換えに他の生物の栄養素を自分の身体に引き込む行為です。
自分が選んだ単一の食材に、仮に有害な物質が含まれていたら、
それだけを食べている生物は一発であの世行きになってしまいますが、
もしもその食材だけではなく、いろいろなものを満遍なく食べえている状況であれば、
ある食材で有害なものを取り込んでも、別の食材でその影響を緩和して致命傷に至らずにすむかもしれません。
また単一の食材だけを食べ続ける事で、その食材の未消化の部分が生まれやすくなりますが、
未消化の部分が蛋白質であると、それが腸粘膜の隙間から入り込んで、分子量の大きさを免疫が異物抗原だと認識し、
いわゆる遅延型アレルギー反応を起こしやすくするという危険性も指摘されています。
そうした事を起こさないように、すなわちリスクを分散するために、
ヒトは本来一つだけでなく、いろんな食べ物を欲するようにできているのかもしれません。
身体って本当によくできていますよね。
しかし逆に糖質の方を考えてみるとどうでしょう。
年がら年中カップラーメンを食べていたり、果物を食べていたりする人っていますよね。
糖質に至ってはその中毒性によって、
本来のリスク分散感覚が働かなくなり、それだけを食べ続ける状態が起こりやすくなるのではないかと思います。
身体に備わった本来の感覚と、それを打ち崩す糖質の中毒性、
しかもほとんどの人に気がつかれずに自然と溶け込んでいること、
糖質の怖さを改めて感じさせられます。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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No title
おっしゃることは理解できる気がします。蛋白質がほとんどの魚介や肉の部位は飽きやすい気がしますね、だから揚げ物やバター炒め、マヨネーズやソースをつけるのが好まれるのかもしれません。
糖質制限のバランスの悪さを指摘する人は多いですが、毎日毎日コメや小麦、砂糖を食べ続けることのバランスの悪さは誰も指摘しませんね。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
> 糖質制限のバランスの悪さを指摘する人は多いですが、毎日毎日コメや小麦、砂糖を食べ続けることのバランスの悪さは誰も指摘しませんね。
糖質制限を知っているか否かで、栄養バランスの概念が全く違いますからね。
「炭水化物50〜60%が標準」という考えを見直さない限り気づけない事だと思います。
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