生活習慣病の概念を広くする
2014/10/26 00:01:00 |
ふと思った事 |
コメント:4件
食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、
その発症・進行に関与する疾患群を「生活習慣病」と呼びますが、
本日はこの「生活習慣病」について考えなおしてみたいと思います。
「生活習慣病」とは一般的に、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、メタボリック症候群などの病気の事を指します。
また喫煙や過度の飲酒はそれらの生活習慣病のリスクを上げるとされています。
大人になって喫煙、飲酒を覚え、その後次第に生活習慣病となっていく事が多かったため、
以前「生活習慣病」は「成人病」と呼ばれる時代がありました。 しかし、時代が進むに連れて、そうした病気は成人に限らず子供にも起こってきている事が明らかになり、
加齢すれば必ず罹患しやすくなるのではなく、生活習慣の改善によって予防し得るという認識を人々の間に定着させるために、
1997年頃より「成人病」は「生活習慣病」と呼び直されるようになり、
国民の間で広く定着する言葉として用いられるようになりました。
その際、是正すべき生活習慣として喫煙、飲酒以外に必ずと言って槍玉に挙げられるのが、
「食の欧米化」と「運動不足」です。
食の欧米化の明確な定義はないと思いますが、
一般的には肉食や野菜不足に起因する「脂肪と動物性たん白質、砂糖の増加、及びビタミン・ミネラルや食物繊維の減少」を指す事が多いと思います。
しかし糖質制限をする事によって、悪いと言われていた脂肪と動物性蛋白をしっかり摂り、
野菜をそんなに一生懸命摂らなくても、体調がよくなり高血圧、脂質異常、糖尿病が改善してくのは一体どういうことでしょう。
これは食の欧米化自体が生活習慣病の原因ではなかったことを意味します。
そして糖質制限の理論を学び、真の原因は糖質の頻回過剰摂取と考えれば、全てのつじつまが合ってくるのです。
つまり「生活習慣病」の概念そのものは良かったけれど、
是正すべき生活習慣の捉え方が間違っていたという事だと思います。
ところがこの「生活習慣病」という言葉は、「食の欧米化」「運動不足」とセットでがっちりと定着しているが故に、
その考えを訂正するのに困難を伴うことも多いわけです。
もう一つ、生活習慣病と言えば高血圧、脂質異常、糖尿病、メタボリック症候群であって、
それに起因するがんや脳卒中、心筋梗塞、慢性腎臓病、最近は認知症を含める事もありますが、
それ以外の病気が生活習慣病と捉えられる事はあまりないと思います。
ところが、この生活習慣病をひとたび「酸化ストレス病」と捉えた時に、
あらゆる病気が生活習慣病の範疇に入ってくる可能性があると私は考えています。
例えば、酸化ストレスを受け続ける事によって、
免疫系が乱れれば、アレルギー疾患や自己免疫疾患の発症の元になります。
あるいは蛋白の変性が起これば、認知症のみならず神経変性疾患を起こす大きな要因となります。
あるいは高まった酸化ストレスに対応しようと、コルチゾールやオキシトシンなどのストレスホルモンがかく乱されれば、
種々の精神疾患の温床にもなると思います。
免疫が乱れれば感染症も起こしやすくなりますし、
DNAのコピーがうまくできなくなればウイルスそのものを生み出してしまう原因にもなります。
そう考えると「全ての病気は生活習慣に伴う酸化ストレスに起因する」と思えてきます。
そして運動不足とはいいますが、運動過剰だって酸化ストレスになるわけです。
いかに酸化ストレスとうまくつきあっていくか、
そのためにどういう生活習慣を心がけるべきかを考え直すことが、
全ての困難な病気に対する解決の糸口になるのではないかと考える次第です。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
No title
最近読んだNPOJIPの薬のチェックの最新号の特集が、「リウマチとそのくすり」ですが、その中に離脱性炎症という考え方が出てきます。
この考え方を取り入れると、より糖質の害が分かるのではないかと思いました。
糖質制限を理解した医師が、それぞれの分野で新たにいろいろな病気について検証して欲しいと強く思います。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
> 糖質制限を理解した医師が、それぞれの分野で新たにいろいろな病気について検証して欲しいと強く思います。
同感です。異なった目線で糖質制限を捉えるとまた違った解釈が出てくるのではないかと思います。
糖質制限推進派医師が増える事を願って止みません。
お尋ねします
よろしくお願いいたします。
Re: お尋ねします
> 最近知人よりIGG抗体のことを聞き検査を進められました。
IgG抗体のことでしょうか。
免疫グロブリンという抗体は大きく分けて、IgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類があります。
IgGは全体の70~75%を占める最も主要な抗体です。基本的な免疫能力を知るために必要に応じて測定されます。
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