気軽に精神科紹介しない
2014/10/24 00:01:00 |
普段の診療より |
コメント:6件
糖質制限を知り、実践をし、
自分の精神状態が良くなるという事を知りました。
それは薬物療法とは比べものにならない程大きな改善でした。
一方私が知る限り、糖質制限を理解している精神科の医師はごく少数です。
それ以外の精神科医は主に精神療法(カウンセリングなど)と薬物療法を主たる手段として治療を行っているのが現状です。
以前の私であれば、ちょっと精神面に問題がある患者さんはすぐ精神科へ紹介してしまっていましたが、
糖質制限の効果を実感してからは、精神科へ紹介する機会がかなり少なくなりました。 なぜならば、糖質制限の観点がない医師が診たところで、
根本的な解決ができない事が多い、それどころか逆に病状が悪化する事が多いと知ったからです。
一般的に医師が言われる事として、
「重度のうつ病患者は自殺の恐れがあるので自分で抱え込まず精神科へ紹介すること」
というものがあります。
紹介した結果、精神科で行われるのは自殺のリスクに配慮した抗うつ薬治療だと思います。
しかし、うつ病の原因が人生でのストレスのみならず、
ストレスに対処するための栄養の取り方に問題があるとするならば、
糖質制限を知らない精神科医は、必然的に原因の片割れを放置したまま問題に対処しようとしている事になります。
これではどんな名医であっても、その時点で治療が片手落ちになる事は確定です。
それであれば糖質制限を指導しながら、必要最小限の抗うつ薬を併用した方が、
よほど良い治療効果が出せるのではないかと思うわけです。
その考えの下、私は安易に精神科へ紹介することなく、
糖質制限をベースに栄養面からのアプローチで精神症状を治療しようと試みています。
それに糖質制限の観点がなければ、
断薬という発想は生まれにくいと思います。
なぜなら原因の片割れを放置している限り、
薬をやめるとまたいつ再発するともしれない状況が続くからです。
私であれば、糖質制限が軌道に乗って精神面が安定したら、
その時点で薬をゆっくり止めていく事を考慮します。
勿論、離脱症状にも細心の注意を払います。
私は精神科の専門医ではありませんが、
もしもこうした情報が前もって知らされていたとすれば、はたして患者さんはどちらの治療を希望されるでしょうか。
しかし、「言うは易し、行うは難し」で、
患者さんの精神科専門医への信頼は絶大です。
いくら私が声を上げようと、その声が患者さんに届かない事をしばしば経験します。
医師だけが変わるだけでもまた不十分であり、
患者と共に変わっていかなければならないと思います。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
賛同します
お久しぶりです
多くの精神科医は、初診は別として3分診療で、患者の病状を見ても、生活ぶりに思いをいたしません。訴えに対しては、次々と薬を投与します。私の場合もそうでした。睡眠剤だけでも、3種類出ていました。
多剤投与の結果、後遺症に苦しむ患者さんも多いです。
>医師だけが変わるだけでもまた不十分であり、患者と共に変わっていかなければならないと思います。
患者に寄り添う素晴らしい考え方だと思います。
困難、ご苦労が多いことと思います。
寒くなってきました。お気をつけください・・・
Re: 賛同します
コメント頂き有難うございます.
良い精神医療を展開するには,糖質制限と必要最小限の薬物療法の組み合わせが必要だと感じています.
薬物療法だけの問題は記事で触れた通りですが,糖質制限だけでもまたうまくいかない事を多く経験しています.患者が精神科を盲信する現状が変わらない限り,両者を理解した精神科医の存在が非常に重要になってくると思います.
No title
URL先の井原氏のようなまっとうな方が少しでも増えることを願って・・・
結局、医師は何が出来て何が出来ないかを提示できていないのが問題だと思うのですよ。その薬をどの程度の期間飲むべきか?想定されうる悪影響はどういったものがあるか?ちゃんとできないのであれば製薬会社の手先に成り下がった、もっと言えば麻薬の売人と変わらんじゃないかと。いや売人は自分が悪いことをしてる自覚はあるでしょうからもっと悪いか。誤報や捏造の朝日新聞と同じですね。
No title
SSRIやSNRI、果ては抗精神病薬まで4~5種盛りされている悲惨な薬手帳を見て驚かされる事が少なくないですね。その一方でクスリに頼らず食事療法や生活習慣の改善を推奨し、カウンセリングで地道に患者を治療しようという精神科医も少なからず存在します。また、本物の精神病(統合失調症、大うつ病、双極性障害)は精神科医以外の対応は現実的には困難ではないかと考えます。一般内科医がメンタルクリニックを開業して「この程度(精神薬を出すだけ)なら自分でもできる」と勘違いして患者とトラブルが絶えないという話もよく聞きます。私も高齢者の行動心理症状に関して精神科医を安易に紹介してしまい、患者の顔も見ず状態も確認せずにリスぺリドンを処方され続けた結果、患者の全身がカチンコチンにされてしまったという苦い経験があります。特に認知症・高齢者に対する投薬に関しては精神科医は若い患者と同じように平気でクスリを何種類も盛る傾向があるので非常に危険だと思います。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
「生活習慣病としてのうつ病」、同感ですね。
一般的には高血圧、脂質異常、糖尿病、肥満などが生活習慣病だと言われていますが、
糖質制限を学ぶとあらゆる病気が生活習慣病に思えてくる次第です。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
私も高齢者医療に携わる医師として、向精神薬の多剤内服が非常に多いと感じています。
糖質制限を知る前も、多剤内服は問題と感じていましたが、
当時は「でも、それでも暴れる人、眠れないと訴え続ける人には薬を増やすしか方法がないではないか…」と半ばあきらめの感を持っていました。
しかし糖質制限を知り、糖質の根本的な害について深く知る事で、
多剤内服の問題を、より問題として自覚するようになりました。
根本的な問題に対処しない限り、薬は増える一方だと思います。
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