免疫の本質を考える
2014/10/23 00:01:00 |
素朴な疑問 |
コメント:6件
物事の本質をとらえる必要性を感じています.
先日の記事で「オリゴ糖が免疫を高める」という話に触れ,
その本質は分解できない糖,いわば異物に対する免疫反応だという話をしました.
この話をただ「オリゴ糖が免疫を高める」と表面的にだけとらえてしまっていると,
「オリゴ糖はたくさん摂ればたくさん摂るだけ免疫が高まる」というふうに拡大解釈しかねません.
しかし,そもそも免疫というものは本来恒常性を保つために異物を処理して元の状態に戻すために自然に備わったシステムです.
この本質を忘れないようにすべきだと思います. 例えば,我々の免疫が如何なく発揮されるべき「感染症」についてですが,
細菌の細胞壁はペプチドグリカンやリポ多糖体などの複合糖質で形成されています.
容易に分解できない糖という意味では,オリゴ糖や配糖体と細菌の細胞壁は共通しているのです.
従って,オリゴ糖や配糖体で免疫が高まるという事と,細菌を排除しようと免疫が作動するという事は,本質的に同じ事を指していると認識すべきだと思います.
また自己免疫疾患と呼ばれる疾患群がありますが,
このメカニズムをよく我々は「免疫システムの誤作動」と説明します.
そこまでは良いですが,我々はこうした病気に対して誤作動した免疫を治療対象として,
免疫力を抑えるステロイドや免疫抑制剤という類の薬を使用し免疫を抑えようとします.
当座の対応はそれでよいとしても,
実際にはそれで解決した気になってしまっている医師がほとんどではないでしょうか.
本当に治療対象とすべきは,誤作動を起こした免疫システムではなく,「免疫システムを誤作動させた原因」であるべきだと思います.
そしてその原因の多くを占めるのが過剰な酸化ストレスにあると私は考えています.
その酸化ストレスの原因となる喫煙や過度の飲酒を避けるように指導されるのであれば,
最もありふれて,日常的かつ頻回に酸化ストレスが繰り返される糖質摂取は,一番に回避すべきよう指導されるべきではないでしょうか.
免疫自体は善でも悪でもありません.
その状態を作り出している原因はどこにあるのかを考え,
本質を見失わないようにしたいですね.
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
No title
http://blogos.com/article/97006/
困ったものです!
No title
ステロイドなどの免疫抑制剤は安易に使用するものではなく、「今これを使わなければ病気が悪化して生命の危機がある」というレベルでやむを得ず使うべきであり、たかだかアレルギー性鼻炎程度でセレスタミンを処方するのはおかしいですね。
無理にクスリで免疫抑制すると感染症だけでなく悪性腫瘍も誘発すると言われています。
劇薬を体に入れる事で確実に生体の自己調節能力のバランスが崩れます。
Re: No title
情報を頂き有難うございます。
ネガティヴキャンペーンの一環ですね。根拠がしっかりしていればよいのですが、そうではない批判は私はスルーします。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
御指摘のように、本来はステロイド薬は最初から頼るべき薬ではないと思います。
まずは自身でできる努力、即ち糖質制限がもっと一般に普及すればよいと思います。
No title
喘息で長年ステロイド吸入剤を使用しているだけでも副腎不全(免疫不全)になる
とはどういうことですか。
私は6年ほど吸入ステロイド剤を使用してますが、医師・薬剤師からそのような報告や説明は受けていません。
新しい知見でしょうか。詳細を教えてください。よろしくお願いします。
刀鍛冶さんへ
薬剤師です。
吸入ステロイドであっても、副腎不全の可能性はあります。
例えば、吸入ステロイドのフルタイドの添付文書を見てもらえれば分かると思いますが、副腎皮質機能抑制がない訳ではありません。
http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00057470.pdf
他の吸入ステロイドやステロイド点鼻薬も同様です。
のどや鼻は粘膜ですので、皮膚より吸収しやすいですし、ステロイド皮膚薬でも副腎皮質機能抑制はあります。
残念ながら、普通の医師や薬剤師はなかなかそういった説明はしません。
ご自分で使っている薬については、勉強されることをお勧めします。
参考になる本がありますので、よかったら読んでみて下さい。
http://www.npojip.org/contents/book/mag030.html
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