食事療法の限界

2014/10/03 00:01:00 | ふと思った事 | コメント:0件

「糖質制限」
「糖質制限+タンパク質制限」→ケトン食
「糖質制限+タンパク質制限+脂質制限」→→→絶食


この順に病気な状態を健康な状態に戻すという力が強い、という私見を前回述べました

しかしよくよく考えれば「絶食(食べない)」ことで体調がよくなるなんていう事は、

栄養素を補うべき、とする今のプラスの栄養学の考え方に逆行する出来事です。

私は「食べない事でよくなる」という事実を実際に経験しました。

ということは「食べる」ということ自体が体調不良の原因となっているという考えがあってもよいのではないかと考えます。

なぜそうなるかというと、やはり「食べる」という行為そのものが身体に負担を与える行為となるからです。 その影響度が高い順に「糖質」>「タンパク質」>「脂質」となるために、冒頭の私の見解に至りました。

言い換えれば、栄養素の割合によって影響度こそ異なれど、「食べる」ことは「代謝障害」の温床になるということです。

そういう意味では、糖質制限実践者が安全だと考える「脂質」でさえも、100%安全なものではないと私は考えています。


一方絶食療法は、糖質制限食、ケトン食以上にインパクトのある効果をもたらしています。

潰瘍性大腸炎を絶食で治したり絶食によって遺伝子が変化するというのはその一例に過ぎません。

こうなると絶食療法が体調を整える最強の方法ではないかと思われるかもしれません。

しかし、いかなる食事療法にも限界があります。生体には「不可逆的変化」というものがあるからです。

いくら絶食がすごいと言っても、重症の脳卒中、重度のパーキンソン病など、高度な不可逆的変化が起こった患者さんに対しては、もはや絶食を試みた所で遅いという事を、私は臨床的に経験してきています。

だから大切な事は、手遅れになる前に食事というものの本質を理解し、

食によってもたらされた不利益を、食によって取り戻す手段を知っておくということだと思います。

そうすればあらゆる病気はある程度自分の力でコントロールする事が可能になります。


しかし人間は常に完璧な存在ではいられません。時には失敗する事もあると思います。

そうした時に医者が必要最小限の医療や情報を提供し、不可逆的な状態になる手前で食い止めらるようになりたい。

その精度を高めることが、今まで私が関わった病気を食い止められなかった人に対する報いになるのではないかと思っています。

引き続き糖質制限を中心に学びを続けていきたいと思います。


たがしゅう
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