病理は必ずしも必要ない

2014/09/25 00:01:00 | 素朴な疑問 | コメント:4件

引き続き出浦先生の「低たんぱく・でんぷん食療法」についてです。

勉強会の中で「腎生検は重要だ。なぜなら生検しなければわからない状況があり、その結果によって治療方法が変わるからだ」というお話がありました。

例えば、IgA腎症という免疫抗体の一種であるIgAが腎臓の糸球体に沈着する病気であれば、ステロイドという薬が適応になりますが、

糖尿病の合併症として生じる「糖尿病性腎症」の場合は、ステロイドの使用は糖尿病を悪くするために副作用の観点から使用しにくいということになります。

しかし、私はどちらにしても正しい食事療法をすればいいのであって、

生検は必ずしも必要ないのではないかという気がしています。 そもそも腎臓の病気というのは、突き詰めれば原因がわかっていない事がほとんどです。

冒頭のIgA腎症もなぜ、IgAが蓄積するのかはっきりとした事はわかっていませんし、

微小変化型ネフローゼ症候群、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎、急速進行性糸球体腎炎、巣状糸球体硬化症などほとんどの場合原因不明です。

ウイルス感染によるものもありますが、ウイルスがどこからやってくるのか原因不明です。

高血圧による腎硬化症、糖尿病による糖尿病性腎症はありますが、高血圧、糖尿病の原因がほとんど不明です。

全身性エリテマトーデスによるループス腎炎もありますが、全身性エリテマトーデスの原因が不明です。

強いて言えば原因がはっきりわかるのは「薬剤性腎炎」くらいではないでしょうか。

そんなほぼ全てが原因不明だという中、その原因の最上流に位置する現象は酸化ストレスだと私は考えています。

酸化ストレスに端を発し、ある人は高血圧となって腎硬化症へ、ある人は血糖乱高下につながり糖尿病性腎症へ、

またある人は免疫をかく乱されて、IgA腎症になったり、ループス腎炎になったり、膜性増殖性糸球体腎炎になったりしているのではないかと思うのです。

また別の見方をすれば、全ての腎疾患は次の二つに分ける事ができます。

・ステロイドが反応する予後良好の腎疾患
・ステロイドが反応しなくなった予後不良の腎疾患

ステロイドはストレスに対抗するためのストレスホルモンという側面があります。

薬という形でもストレスホルモンを補ってあげる事で解決できる状況は可逆的な状態です。

しかしステロイドを補っても反応しない、あるいはステロイドの副作用の方が目立つという状況は不可逆的な状態となっているのではないかと思います。

そのようにシンプルにとらえれば、腎生検をしようがしまいが、

自前のステロイドを無駄打ちしなくてすむように、外からステロイドを使っても反応しない手遅れ状態にならないようにするために、

ストレスに速やかに対処できる生き方をしながら、食事で血糖値の乱高下を避ける事を基本とし、

腎臓が悪くなればタンパク制限を加えるという対応をする事で、

かなり腎臓を守っていけるのではないかと考えます。

私は腎臓の専門家ではありませんが、

糖質制限を通じて医療の構造全てが変わって見えてきている以上、

専門家の言うことだけを鵜呑みにするわけにはいきません

これからも恐れずにこうした他領域の問題についても考え続けていきたいと思います。


たがしゅう
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コメント

No title

2014/09/25(木) 10:55:29 | URL | 美月(30代) #-
こんにちは。
本日PM7時~日テレ
損する人得する人で、テーマが〝糖尿病〟

糖尿病に良い食べ物や、最新医療について
らしいのですが、糖質制限という言葉が出てくるのか見ものですね。

記事と関係ないコメントで失礼しました。

No title

2014/09/25(木) 16:26:24 | URL | へっぽこ #pwutJTUc
記事内容と関係なく申し訳ないのですが、
「食べない人たち」を読んでいてふと思ったこと。
出浦式は少ないおかず+多量の澱粉という形になります。
このうち澱粉の計算上の糖質は多いですが、
もしかしたら大半が吸収されずに食物繊維的な振る舞いをしており、
ちょっとした小食~不食療法になっているのではないかと思いました。
油にしても計算上のcalほどエネルギーになっていないように思えてなりません。
腎不全では蛋白の異化を防ぐため高calを推奨されてますので、
油を直飲み(大さじ8~12杯=1080~1620kcal/日)していますが、
どうも大して利用されていないような実感です。
まじめに油を飲んでも、面倒くさくて暫くさぼっても
体重が殆ど変わらないのです。
そもそもcalを摂取しないと蛋白から異化するというのも納得できませんし、
(なるとしても糖質過多生活者の場合で、
普段からケトン体体質なら脂肪から使われるのでは?)
食事療法・栄養学はなにか根本から考えなおさなければならないと思います。
唯一理論的に正しく実績もあるのが糖質制限であると。
というわけで糖質制限を基本に考察を重ねる
たがしゅう先生の情報発信に日々感謝している次第であります。
(本blogがなければ断食や不食は知ることもなかったと思います。)
この場を借りて感謝の意を示したいと思います。ありがとうございます。

Re: No title

2014/09/25(木) 18:29:16 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
美月(30代) さん

情報を頂き有難うございます。

> 本日PM7時~日テレ
> 損する人得する人で、テーマが〝糖尿病〟


観てみたいですが、仕事終わらなさそうです。

糖質制限について触れられているといいですね。

Re: No title

2014/09/25(木) 18:45:06 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
へっぽこ さん

コメント頂き有難うございます。

> まじめに油を飲んでも、面倒くさくて暫くさぼっても
> 体重が殆ど変わらないのです。


私も似たような事を考えていました。

糖質制限を基本にしていれば、やれビタミンだのミネラルだのを細かく意識せずとも

かなりおおざっぱにやっていても体調を崩す事がありません。

しかし一方で、糖質過多社会の中ではやせの栄養失調と肥満の新型栄養失調がはびこっています。

真の栄養失調の正体は食べることによって生まれる「代謝障害」なのではないかという考えに至っています。

私も、栄養学は一から建て直しだと思います。

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