酸化ストレスを使いこなす
2014/08/22 00:45:00 |
読者の方からの御投稿 |
コメント:7件
平成23年,厚生労働省の国民健康・栄養調査報告では,
糖尿病が強く疑われる人や可能性を否定できない「予備群」が合わせて27.1%と推計され、
今まさに国民の4人に1人以上が糖尿病かその予備群の状態だというすごい状況です.
この状況を普通に考えれば,糖質過剰社会によってもたらされた結果そのものであり,
全ての人が糖質を制限して健康を取り戻すべきだという考えにつながってもおかしくないと思います.
しかし,今回はあえてその逆に注目してみようと思います.
すなわち,4人に3人は糖質過多社会で生きているにも関わらず,糖尿病でもその予備軍でもないという事実です. 過半数の人は糖質過多であるにも関わらず糖尿病にならずに済んでいるわけですから,
全員が糖質制限をすべきだという考えを通すには若干無理がある状況です.
また,糖質制限など全然していないのにかっこよかったり,綺麗だったりする人達も確実にいらっしゃいます.
そういう人達はなぜ糖質をしっかり摂っていても理想的な状態でいられるのでしょうか.
私は思うのですが,
糖質摂取を酸化ストレスリスクととらえた時に,
抗酸化システムがしっかりしている人は,その酸化ストレスが害になるどころか,
もしかしたら,かえってヒトとして成長するための糧として,そのストレスを有効利用している人さえいるのではないでしょうか.
それができるかどうかは生まれ持っての体質の違いなので,糖質の害を受けまくっていた私にしてみれば羨ましい限りですが,
糖質制限してなくても健康で理想的な体型で元気に過ごしている人が存在する以上,認めざるを得ない事と思います.
そういう意味では,喫煙による酸化ストレスさえも有効利用できる人がいてもおかしくないと思います.
また,ブログ読者の 喫煙を部分肯定の非喫煙者 さんから「少量の喫煙が健康をもたらす」という斬新な見解を教えて頂きましたが,
抗酸化システムがしっかり働いている人であれば,それもさもありなんと思えてしまいます.
実際にものすごくヘビースモーカーであっても,不思議と病気をしていないという人も稀にいますよね.
ただ,以前勉強したように,喫煙による酸化ストレスリスクは加齢によるものの約3倍と強烈です.
そんな強い酸化ストレスを扱える人はそうザラにはいないと思います.
それに喫煙は強い酸化ストレスとともに強い中毒性をもたらすので.
これをコントロールしようとするのは至難の業と思えるので,私は個人的に手は出したくないです.
また,忘れてはならないのは,世の中にある病気は糖尿病だけではないという事です.
4分の3の糖尿病でない人達が皆健康かと言ったら,そうではありません.
例えば酸化ストレスリスクがかかり続け,糖尿病にはならないけれど,パーキンソン病になるという人がいます.
パーキンソン病だけではなく,原因不明のアレルギー,自己免疫疾患,がんなど酸化ストレスはあらゆる病気の根源的な部分に関わっていると考えられていますので,
そうした病気を全て回避して酸化ストレスを有効利用できる人は,ごくごく限られてくるのではないかと思うのです.
荒馬のような強烈な酸化ストレスを使いこなせる生まれ持ってのラッキー体質に期待するより,
凡人の私は日頃の生活の中で無駄にかかる酸化ストレスを効率的に減らし,自分に見合った酸化ストレスと付き合っていくために,
やっぱり糖質制限を続けていこうと思います.
たがしゅう
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プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
私も続けていこうと思います
ただ、日本人の死亡原因、病気90.8%、老衰3.4% 事故や自殺5.8%という数字を見ると、
老衰で死ねるような本当にラッキー体質の人はほんの数%なんだろうと思います。
タバコの添加物
「添加物」の酸化ストレスリスクを危惧します。
タバコそのものは長い歴史があり、地域・時代によっては「薬草」と認識されていたようです。
神奈川県庁 健康・福祉
タバコがやめられないわけ
から抜粋です。
「600種類以上の添加物を使い、ニコチンが大量に人体に送り込まれることによりニコチン依存症になり、タバコがやめられなくなってしまいます。添加物の量は、タバコの重量の10%以上になります。
タバコには、安全基準がないので、添加物でも何でも使い放題です。例えば、タバコにはアンモニアが添加されています。アンモニアで煙をアルカリ性にしておくと、発生するニコチンが蒸発して気化します。気体のニコチンは、肺からの吸収効率が非常に良くなります。煙を吸って3秒後には、脳にニコチンが大量に送り込まれます。(以下略)」
Re: タバコの添加物
数々の貴重な御意見を頂き誠に有難うございます.
おかげ様で,喫煙に対する自分の認識を軌道修正する事ができました.
喫煙にまつわる研究から学べる事も多いですね.これからも思考停止に陥る事無く考え続けていきたいと思います.
No title
http://www.npojip.org/contents/book/shohyo033_02.html
タバコでいかにニコチン中毒者を増やすか、そのためのタバコの研究開発が行われていたのかが分かります。
薬も似たような構図があるのではないかと思います。
自分の健康のために、必要な情報をうまく利用し、反対に利用されないように気をつけたいものです。
Re: No title
コメント頂き有難うございます.
> 「悪魔のマーケティング タバコ産業が語った真実」
興味深い内容ですね.また読んでみたいと思います.
さて,タバコやそれにまつわる産業がどれだけ人類に害を及ぼしてきたかはもはや疑いようのない事実だと思います.
しかし,ではそもそもタバコは何のために存在しているのか,我々に害を与えるためだけに世の中に生まれてきたのでしょうか.
そう考えると,今まで見えなかったタバコの別の側面も見えてくるような気がいたします.
No title
人間って、うまく植物を利用しているようで利用されているのではないでしょうか?
最近、植物を見ると、とても人間は太刀打ちできないなと思います。
Re: No title
コメント頂き有難うございます.
> 人間って、うまく植物を利用しているようで利用されているのではないでしょうか?
そうですね.
植物は動けない分,食べると美味しいだとか,薬になるだとかで,自身のテリトリーを広げるために動物と全く異なる戦略をとっています.
その結果,人間は植物を栽培し続けているわけなので,植物の戦略がうまくいっているという見方はできますね.
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