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いかに糖質制限を伝えていくか

category - ふと思った事
2014/ 08/ 12
                 
引き続き,きよすクリニック見学体験記です.

同クリニックでは特定健診を随時行っていて,

健康診断での数値が悪かったり,生活習慣病を指摘された方に,

炭水化物の害を説明し,糖質制限を積極的に勧めておられました.

私も糖質制限指導を行っているのでよくわかるのですが,

一番のネックは時間との戦いです.糖質制限を真に理解してもらうには時間がかかります.

きよすクリニックではその時間管理をどのようにされているのでしょうか.
            

まず診察台のパソコンに糖質制限関連のいろいろなデータが置いてあり,

患者さんにそれを見せながら説明し,必要に応じてそのデータを印刷して手渡せるようにされていました.

久山町の研究データや,長寿関連の新聞記事,ネットで公開されている糖質制限アンケート結果など,

いろいろなものを診療に応用されており,大変参考になりました.

また,糖質制限に理解のある常勤の栄養士さんの栄養指導の実際も見せて頂く事ができました.

初回60分,2回目以降は30分という時間をかけて,

糖質制限の意義,具体的な実践方法について患者さんに応じて細やかにアドバイスされている印象でした.

要するに省略できる所は省略し,時間をかけるべき所は時間をかけるという,

非常にメリハリのあるスタイルでなさっているという事がわかりました.



ただ,実際にそうした指導を受けている患者さんの中には,

「先生が言うのはわかるんですけど,やっぱり炭水化物はやめられないんですよね」とか,

「もうこの年になったらいいや」とか,「こんなにちっちゃいようかん食べただけ」とか,

糖質制限を十分に実践されていなかったり,本質を理解されていなかったりしている人も多々見られましたが,

それはどこの地域でも共通の問題なのだなと思いました.

いかなる上手な糖質制限指導をしたとしても,

それがうまくいくかどうかは情報を受け取る側の脳にかかっているという面があると私は考えています.

「変われない脳」を持っている人には,たとえ100点満点の糖質制限指導しても受け入れる事はできないでしょう.

そうすると具体的な指導方法にこだわるよりも,

もっと大きな視点で糖質制限を広めていく視点を持って

伝わらない人へはそれ以上干渉しない,伝わる人へ確実に伝えていくというのが,

一番着実な方法なのではないかと思います.



何より糖質制限の実践者が健康でいきいきとし続ける事が,

「変われない脳」を持つ人達への何よりのアピールにもなることでしょう.

その辺の事がこちらの漫画には大変わかりやすく書いていました.



マンガで伝えるというのは,糖質制限を広めるための有効な手段の一つとなりうると思いますが,

作者のおちゃずけさんは,自身の体験を元にそれをまさに今実践されているわけです.

実際に糖質制限に対する世の中の認識が少しずつ変わってきているのを私は感じています.

糖質制限を伝えていくことは確かに大変ですが,

そうした変化を糖質制限実践側から観察しながら

悪戦苦闘していくというのも案外悪くないものです.


たがしゅう

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コメント

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No title
たがしゅう先生こんばんは。
糖質についてのこびりついた考え方ってほんとに厄介ですよね。
私には栄養士の友達がいて、その子から糖質制限を止めろと言われています。
生理痛をひどくするのはタンパク質だ、と。
実際は違うんですけどね。
ほんとに糖質が原因かどうか今回試してみたのですが、やっぱりタンパク質は悪者ではありませんでしたよ。
糖質制限に関して「脳が働かなくなる」としか言わないのはあまりにも勉強不足というか、何も知らないでとりあえず批判という姿勢はいただけないと思います。ああいう人はケトン体という言葉すら知らないで批判しています。そういう考え方は個人的に気に入らないです。
なのでたとえ個人の意識を漫画で直すことはできても、生活に関わる仕事の方が変わらないと普及はしないと思いました。
きよすクリニックさんのような先駆的な医院がもっと増えてくれればいいですよね。
変えられないという方も、例えば「ご飯を食べなくてもいいんだ」とか「副食だけでもお腹は満たされる!」というように視点を変えられればと思います。
Re: No title
タバスコ さん

 コメント頂き有難うございます.

 糖質制限推進派医師の指導,糖質制限を取り上げた本や漫画,きっかけは何でもいいと思います.

 大事な事は,それを頭ごなしに否定せず,「自分で考える」ことですね.
本のご紹介ありがとうございます
たがしゅう先生、
本のご紹介ありがとうございます。
糖質制限を開始した時から、拝読させていただいていた、先生のブログに掲載させていただくことになるとは・・・本当に光栄です。

糖質制限を伝えること。

本当に難しいですね。
ただ、先日夏井先生より
「他のダイエット法は注目され、実行する人が増えると消えていく
でも糖質制限は注目を受ければ受けるほど、広まっていくんだよ」と
おっしゃっておりました。

これは、糖質制限が実際に効果があり、力ある証ではないかと感じております。

ですので、今の私にできることは
自分自身が楽しげに実行し、日々元気な姿で、身近な人に、さわやかに語っていくことか・・・と思います。

さらに、そのツールとして、この本が、皆様にもお役に立てれば
これ以上の光栄はございません。

おちゃずけ
Re: 本のご紹介ありがとうございます
おちゃずけ さん

コメント頂き有難うございます。

理論的な裏付けから、数々の実体験による効果の実証まで、私も糖質制限は本物だと思います。

自分の考えに絶対の自信があれば、何を言われても怯む必要はありません。

自分の思い通りにならない事を嘆いていても、損をするのは自分の身体ですから。

そんな事よりも、健やかに糖質制限を続け、伝えられる人に着実に伝えていきましょう。これからも宜しくお願い申し上げます。
きよすクリニック
きよすクリニックの伊藤先生は、本当に物腰が柔らかくていい先生ですよね!質問にも丁寧に答えてくれますし、子どもの通院も多いと思います!名古屋市や清須市周辺に住んでいる方には、きよすクリニックの先生は親切でいいよ!と伝えています。年に一度(11月頃)、東海ケア研究会が開催されています。
断食レポート、拝見させていただきました。『食べる』から『食べない』にシフトさせていくこと、『食べない』をスタンダードにすることで、体内での変化を素直に受け入れられたらと思いました。
断食とは違いますが、朝昼食事なし・飲水のみでも難なく業務をこなしている自分を思うと、一度どこかの断食を行っているところで経験するのもいいのかなと思いました。
Re: きよすクリニック
もうあかん さん

コメント頂き有難うございます。

きよすクリニック、伊藤先生もさることながら、

スタッフの皆さんも雰囲気がよく、居心地がよさそうなクリニックでした。

私もそんな医療を心がけたいです。

また断食を通じて、食の大切さを肌で感じる事ができました。

それは分かっているようで分かっていない事でした。今後も少食ベースを心がけていきたいと思っています。
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
Re:いかに糖質制限を伝えていくか
>ただ,実際にそうした指導を受けている患者さんの中には,
>「先生が言うのはわかるんですけど,やっぱり炭水化物はやめられないんですよね」とか,
>「もうこの年になったらいいや」とか,「こんなにちっちゃいようかん食べただけ」とか,
>糖質制限を十分に実践されていなかったり,
>本質を理解されていなかったりしている人も多々見られましたが,
>それはどこの地域でも共通の問題なのだなと思いました.

こういう患者の方が多い一方で,牧田善二先生の著書 「糖尿病専門医にまかせなさい」に書かれている,SMBGを使った患者の方の言葉が印象的ですね.

患者:『牧田先生があれこれ言う必要はありません. 黙ってこれ(=SMBG)で血糖値を測ってもらえば,賢い人はみんな自分で良好な血糖コントロールを覚えて,数値を良くしてしまいますよ』

実際私もその通りで,管理栄養士の言葉を信じて食品交換表と首っ引きで,『低蛋白・低脂肪で和食中心のヘルシーな食事』を続けていけばいくほど,血糖値とHbA1cが徐々にかつ確実に悪化していくことに疑問を感じて,SMBGを買って,すべての食事内容を詳細に記録し,これとSMBGの測定結果とを比較したところ,この管理栄養士が勧める食事は,ことごとく食後血糖値を跳ね上げるものばかりでした. それ以来,「自分の体で確認済みの,血糖値を上げない食事」を心がけたら,自動的に糖質制限にたどりついて,血糖値・HbA1cは正常域になりました.

すべての管理栄養士がそうではないと信じたいですが,この管理栄養士の方は,食品には『良い食品』と『悪い食品』とがあるという,極端な善悪二元論の考えで,『肉・油・乳製品は悪』,『米・魚・野菜は善』と,私だけでなくすべての患者さんに執拗に刷り込もうとしていました.

論より証拠,糖質制限食に納得がいかない方には,自分でSMBGで確認させるのが一番ではないかと思っています.実際,一時的に費用はかかりますが,ある年,日本の全世帯にSMBGを無料配布すれば,その翌年には新規糖尿病患者発生数や「糖尿病が疑われる人」などは激減して医療費低減に寄与するでしょうね. これは想像ではなく,米国の生命保険会社には,保険に加入した人にはSMBGを無料で提供する会社もあるようです. 米国ではSMBG本体やチップの価格は日本の三分の一以下ですし,無料配布してもその費用を補って余りある「保険金支払額の減少」という見返りがあるからなのでしょう. もっとも糖尿病医や製薬メーカーは,それでは困るかもしれませんが.


Re: Re:いかに糖質制限を伝えていくか
しらねのぞるば さん

コメント頂き有難うございます。

> 論より証拠,糖質制限食に納得がいかない方には,自分でSMBGで確認させるのが一番ではないかと思っています.

おっしゃる通りです。SMBG普及へのハードルはまだまだ高いですが、これが成し遂げられた時、糖尿病を取り巻く環境は大きく好転していくに違いないと思います。