基本的に身体に任せるべき
2014/08/09 00:01:00 |
ふと思った事 |
コメント:2件
私は正直言って細かい分子生物学の話は不得意です。
糖尿病やアレルギー、がんなどの問題を深く考える時に必ずと言っていいほど、細かい分子の名前が出てきます。
なぜそうした病気が起こるのかという事を分子レベルでメカニズムを解明しようとしているという点で、
そうした学問の発達は素晴らしいと思いますし、そうした研究に日々取り組んでおられる研究者の方々には敬意を表します。
ただそうした得られた結果から、ある特定の分子の阻害剤を作ればこの病気を抑制できるんじゃないかとかいう発想につながる事は必ずしもよいこととは思いません。
なぜなら自然に備わったシステムを操作する事は必ずどこかにひずみを生じるからです。 私は薬たるものは、もともとヒトに備わったシステムを活かす、邪魔しないものであるべきだと思います。
漢方や分子整合栄養医学の発想は、そういう考え方に近いと考えています。
スタチンもコレステロール合成のシステムを阻害した結果、糖尿病リスクを上げたり、横紋筋融解症をきたしたりするわけですし、
アルツハイマー型認知症でアミロイドβの合成を阻害する新薬の開発もことごとく成功していません。
もともと備わったシステムをフル活用できるのが食事療法ですが、
こと糖質摂取に関して言えば、食事療法の要素の中での最大のシステム阻害因子です。
さらに、食事療法を突き詰めれば、絶食を利用することで使っていなかった遺伝子をONにできることもわかってきました。
しかし、絶食によってどの遺伝子がONになるかという事は、自分で選ぶ事ができません。
その時ONになる必要があると身体に判断された遺伝子が実際にONになっていくわけです。
STAP細胞の再現性が低いというところの理由も、そういうところにあるのではないかと私は思っています。
将来的に遺伝子を操作する治療というのが実用化されたとしても、私はそれがうまくいくような気がいたしません。
結局のところ自分の身体に任せるしかないのではないかと思います。
薬中心主義の今の医学は、薬を使う事によってどれだけ身体本来の反応を無視し続けてきたでしょうか。
血圧が上がれば下げる、コレステロールが上がれば下げる、血糖値が上がれば下げる、
これらは皆本質は一緒で、身体の声に耳を傾けず強制的に数値を操作する行為です。
そのような治療がはたして本当にうまくいくでしょうか。
そろそろ医学は原点を思い出すべき時期に差し掛かってきたのかもしれません。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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やっぱダメじゃん
高齢者のポリファーマシー(多剤投与)が取り上げられていましたが、
やっぱダメじゃん!という感じでした。
番組の結末は、多剤投与による高カルシウム血症で、薬を三分の一に減らすことで改善できたというものでした。
カンニング竹山さんが「でも、お薬手帳に貰った薬のシールを貼っていくと嬉しいんですよね」と言っていたのが印象的でした。
Re: やっぱダメじゃん
コメント頂き有難うございます。
> 高齢者のポリファーマシー(多剤投与)
問題は深刻です。病院にかかるほとんどの高齢者がポリファーマシーを受けていると言っても過言ではありません。
また薬は必要というスタンスで薬を減らすのと、薬は不要(もしくはごく少量必要)というスタンスで薬を減らしにかかるのでは、似ているようで本質は全く異なっています。
後者のスタンスで薬を減らすためには、食を中心に見直す事が必須の作業と思います。
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