正しい断食との向き合い方を
2014/08/02 00:01:00 |
素朴な疑問 |
コメント:8件
これまで糖質制限の理論を学んできて、
断食(絶食療法)が糖質制限の延長線上にあるという考えに至りました。
なぜならば、人体にとって最も効率的なエネルギー源であるケトン体を上昇させる最強の方法であり、
また絶食により不溶性になる前の異常蛋白を融解させたり、
眠っていた遺伝子をONにすることで、記憶力を高めたり、難治性の疾患を治したりと、
糖質制限以上に多面的な効果をもたらす可能性があるからです。
少なくとも断食をただのダイエットと捉えてはいけないと思います。
しかし、それからというもの自己流で何度か断食に挑戦してはきましたが、
糖質制限と違ってなかなか難しい、というのが正直なところです。 なぜ難しいかというと、異常な程の食欲が身体に押し寄せてくるからです。
「そんなことは当たり前じゃないか」と思われるかもしれません。
しかし、食べるという事を基本に考えれば食欲が襲うのは確かに当然の事かもしれませんが、
食べないということを基本におく、と180度発想を変えてみた時に、
私達が当たり前のように食事を食べるという行為は、
一種の中毒とみる事ができるかもしれません。
身体が強くて毎日食べていても何も問題ないという人はそれでもいいのでしょうけれど、
何かしら身体に問題を抱えているという人は、
断食と正しく向き合う必要があるかもしれません。
断食にはリピーターが多いと聞きますが、
断食の本質をとらえ、継続的に身体を良好な状態を保つために、
間欠的に断食を継続することがよいのではないかという考えに現在至っています。
さて、糖質中毒から逃れる時の糖質制限は、
糖質を取らない代わりに、脂質、蛋白質をしっかり食べる事で食欲を満たす事ができます。
すなわち、代理行動がとれるので、理屈さえ理解してしまえば中毒からの離脱は比較的容易です。
しかしながら、食事さえも中毒である、と仮定した場合、
この中毒から逃れるためには、「食べない」以外の選択肢は他にありません。
それが一つ、糖質制限より断食が難しい理由だと思います。
もう一つは、断食前に高糖質食で、断食後にも高糖質食にしてしまうと、
まずケトン体が乱高下して身体にかなりの負担がかかる事が予想されますし、
断食により目覚めた眠れる遺伝子をONにし続けることもおそらく難しいでしょう。
先ほど申し上げたように、
断食の真の意義は、断食によって得られた多面的な効果を継続的に維持するために、
間欠的に断食を継続するという新たな食のスタイルに移行させるところにあるのであって、
また元の高糖質食に戻してしまえば元の木阿弥だと思います。
それはあたかも『喫煙者が禁煙に取り組んだけれども、数日で断念してまた喫煙を再開してしまった』かの如くです。
それでは中毒から逃れた事にはならないし、断食の意義は乏しいと思います。
断食後は最低でもケトン体を有効に使える糖質制限にすべきだと思います。
断食は長らく科学と関わりのないところで、
独自の発展を遂げてきたと思いますが、
ここに来て糖質制限理論との見事な融合を示し始めています。
明日より1週間の管理された断食に挑戦して参りますが、
ここでの回復食はお粥という高糖質食だと聞いています。
しかし先人の培ったノウハウというものも一方であるとおもいます。
今までの経験的に出来上がったスタンダードな断食の手法と、
糖質制限の理論を組み合わせて、いかなる治療効果をもたらすことができるか、
まずは自分で体験して、考えを深めていきたい所存です。
時間があれば、このブログで体験リポートもしてみたいと思います。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
断食
また、断食に関して参考になるものがありましたら
ご教示ください。
Re: 断食
応援コメント頂き有難うございます。
管理された場での断食経験、皆様とシェアさせて頂きたいと思います。
不食
不食の3人が、不食へ至る方法を、やさしく具体的に述べている名著です。
大きなパラダイムの可能性を秘めています。
きっと、たがしゅう先生の興味をそそる内容です(笑)
1日1食にして、さらに1食の量を減らしていく。
その過程で「食べなければ生きられない」という潜在意識に強く刻み込まれたプログラムを、「食べなくても生きられる」というプログラムに変えていけばO.K.というものです。
「食べること、やめました」(森美智代著)の中で、森さんは、ご自分の尿中ケトン体が、「強陽性」であることを述べておられます。
このことから、不食者はケトン体をメインエネルギーにしている可能性があると思います。
また1日1食にするのに、ケトン食は比較的楽だと思います。
1食で2000kcal摂ることもできるからです。
著者らは、不食に向かうのに玄米菜食を薦めていますが、ケトン食でアプローチするのもありかな、とおもいます。
私自身、2000kcalのケトン食を、2食から1食に変えたらふとりだしました。
今は1600kcalでちょうどいいみたいです。
Re: 不食
コメント頂き有難うございます。
> 「食べない人たち」(秋山佳胤・森美智代・山田鷹夫共著)
途中まで読みました。貴重な体験が書かれていますよね。
実は残りは断食中に読破しようと思っています。
不食者がケトン体を有効利用しているのは間違いないでしょうが、それだけでは説明しきれない部分があります。
不食の境地は現時点では到達できた人にしかわからない未開の領域だと思いますが、大事な事ははじめから否定しないことだと思っています。
断食後の食事
教えていただいた、糖質制限食でできる高雄病院での断食は、電話でたずねたところ、とにかく先生の診断を受けてからとのことですが、いつか行ってみようと思います。教えてくださりありがとうございました。
まだまだ、おかゆが消化の良いからだに優しい食事だと思われているのでどこでも断食後の回復食で出されていますよね。糖質制限食が選択肢になるよう、早く世間が追いついてきますように!
Re: 断食後の食事
コメント頂き有難うございます。
> 断食の速報を期待しています。
どうなるかやってみないとわかりませんが、気づいた事をレポートさせて頂きますね。
私も糖質制限ベースでの断食の方が良いと思いますが、そうだと自信を持って判断するためにもまずはお粥での断食からやってみたいと思います。
Re: タイトルなし
御質問頂き有難うございます。
私の私見にはなりますが、
> やはり断食明けは三食の回復食を断食を実施した日数だけ食べ、体を慣らした方が良いのでしょうか?
そんなこともないと思います。
1日3食にこだわらずゆっくりと少しずつ回復食をはじめ、自分の安定した食事ペースまで戻すというのがいいと私は思います。
> それから回復食や断食をするに当たっての注意点、回復食後の食事の注意点などお教え頂けたらと思います。
そうですね。やばいと思ったらいつでも逆戻りするということでしょうか。
断食は、代謝を大幅に切り替える作業とも言えるので、その変化に対応しきれない場合があるので管理された環境で実践するのが望ましいと思います。
> 断食前と後では体の状態はどのように変化しているのでしょうか?
私の場合は、より少量のエネルギーで現状を維持できるようになりました。エネルギーの吸収利用の効率がよくなったからではないかと考えています。
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