間違った医療から正しい医療へ
2014/07/18 00:01:00 |
ふと思った事 |
コメント:41件
糖質制限の事を深く知っていけばいくほど,
現在の医療に疑問を感じる事も多いです.
これまでの医学の歴史の中で培われてきた有用な医療というのは確かにあるはずですが,
どこまでが正しくて,どこまでが誤っているのか,
自分の頭で考えて見極めていく必要があると思います.
そんな中,また本屋を何となく見て回っていると,
次のような本を見つけました.
「ニセ医学」に騙されないために 危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る! 単行本(ソフトカバー) – 2014/6/25
NATROM (著) 世の中にはびこる,正しいようで正しくない医学,いわゆる「ニセ医学」について書かれている本です.
この本の目のつけどころはいいと思います.
しかしその書かれている内容については疑問を感じる所が多々あります.
とりわけ,食事療法については次のような事が書かれていました.
(以下,引用)
~がんに食事療法は有効?~
(前略)
現時点において,「がんを治す」と称する食事療法に科学的根拠はない.
特に標準医療を忌避させて食事療法単独でがんを治すと謳うものは,例外なくすべてインチキである.
ある食事療法で推奨されている食品が,別の食事療法では避けた方がいいとされている場合もあるが,
それぞれに科学的根拠なく提唱しているので,食い違いが生じるのも不思議ではない.
(引用,ここまで)
この意見には私は反対です.
食事はがんの発生に大きく影響を与える事は明らかです.
なぜならその根源には酸化ストレスという現象があり,
食事は酸化ストレスを増やしたり,減らしたりするからです.
確かに,たとえ糖質制限とはいっても,がんに糖質制限単独で立ち向かうのは困難を伴うとは思います.
でもだからといって,食事療法は全てインチキだと切り捨てる姿勢はどうでしょう.
どうすればがんを制御できるのか,がんをコントロールするために最も適した食事の在り方は何なのか,
わからないなりにもその方法を考えるという事は決して無意味なことではありません.
糖質制限が無理ならケトン食,ケトン食が無理なら断食,
そのように実践と検討を重ね,新しい科学的根拠を作っていけばよいのではないでしょうか.
またこの本には次のような事も書かれていました.
(以下,引用)
「お金持ちや専門家しか知らない秘密の食事療法が存在する」と考える人もいるようだ.
だが,アップル社を設立したスティーブ・ジョブズ氏の死因を思い出してみよう.
報道によると,2003年に膵臓がんと診断されたとき,ジョブズは手術を受けず,菜食や有機ハーブなどの食事療法を含む民間療法を試したそうだ.
しかし,9か月後の検査でがんの増悪がわかり,ようやく手術を受けたという.
あのジョブズ氏がアクセスできなかった秘密の情報が,存在するだろうか.
(引用,ここまで)
著者の方は大きな見落としをしています.
確かにスティーブ・ジョブズ氏はあらゆる情報にアクセスする事ができた情報化社会の智の巨人であったかもしれません.
しかしジョブズ氏の頭の中にあった「野菜はヘルシー」という常識の壁,
その壁こそがジョブズ氏が到達できなかった最大の要因だったのではないでしょうか.
いかに大きな力を持っていようとも,
常識の壁を打ち破る事ができなければ,
目の前にある情報を手に入れることはできないのだと思います.
それは一般的に頭がよいとされる医師の大半が糖質制限を認めていない現状を見てもわかることです.
頭の良し悪しは,さほど問題ではありません.
大事なのは,「変われる脳」を持っているかどうかだと思います.
このようになかなか賛同できない部分も多い本でしたが,
見方を変えれば,こういう本は「自分で考える力」を鍛えるよいトレーニングにもなるように思います.
書かれている内容を批判的に読むことで,自分自身の理解をより深めていく手法です.
このような作業を蓄積していき,新しい医療の形を具現化していきたいと思っています.
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
- 2023/09 (4)
- 2023/08 (9)
- 2023/07 (4)
- 2023/06 (5)
- 2023/05 (5)
- 2023/04 (7)
- 2023/03 (7)
- 2023/02 (5)
- 2023/01 (7)
- 2022/12 (5)
- 2022/11 (4)
- 2022/10 (11)
- 2022/09 (6)
- 2022/08 (6)
- 2022/07 (5)
- 2022/06 (6)
- 2022/05 (4)
- 2022/04 (5)
- 2022/03 (5)
- 2022/02 (4)
- 2022/01 (7)
- 2021/12 (14)
- 2021/11 (4)
- 2021/10 (10)
- 2021/09 (10)
- 2021/08 (8)
- 2021/07 (14)
- 2021/06 (11)
- 2021/05 (17)
- 2021/04 (9)
- 2021/03 (8)
- 2021/02 (9)
- 2021/01 (14)
- 2020/12 (9)
- 2020/11 (7)
- 2020/10 (6)
- 2020/09 (9)
- 2020/08 (11)
- 2020/07 (20)
- 2020/06 (22)
- 2020/05 (18)
- 2020/04 (22)
- 2020/03 (10)
- 2020/02 (7)
- 2020/01 (5)
- 2019/12 (9)
- 2019/11 (19)
- 2019/10 (31)
- 2019/09 (6)
- 2019/08 (7)
- 2019/07 (7)
- 2019/06 (13)
- 2019/05 (21)
- 2019/04 (9)
- 2019/03 (13)
- 2019/02 (15)
- 2019/01 (28)
- 2018/12 (9)
- 2018/11 (2)
- 2018/10 (11)
- 2018/09 (30)
- 2018/08 (31)
- 2018/07 (31)
- 2018/06 (31)
- 2018/05 (31)
- 2018/04 (30)
- 2018/03 (31)
- 2018/02 (29)
- 2018/01 (31)
- 2017/12 (31)
- 2017/11 (30)
- 2017/10 (32)
- 2017/09 (31)
- 2017/08 (31)
- 2017/07 (32)
- 2017/06 (31)
- 2017/05 (31)
- 2017/04 (31)
- 2017/03 (31)
- 2017/02 (29)
- 2017/01 (32)
- 2016/12 (31)
- 2016/11 (30)
- 2016/10 (31)
- 2016/09 (15)
- 2016/08 (11)
- 2016/07 (5)
- 2016/06 (10)
- 2016/05 (8)
- 2016/04 (5)
- 2016/03 (5)
- 2016/02 (10)
- 2016/01 (10)
- 2015/12 (7)
- 2015/11 (8)
- 2015/10 (7)
- 2015/09 (6)
- 2015/08 (6)
- 2015/07 (5)
- 2015/06 (5)
- 2015/05 (5)
- 2015/04 (3)
- 2015/03 (10)
- 2015/02 (28)
- 2015/01 (31)
- 2014/12 (31)
- 2014/11 (31)
- 2014/10 (31)
- 2014/09 (29)
- 2014/08 (53)
- 2014/07 (31)
- 2014/06 (30)
- 2014/05 (31)
- 2014/04 (30)
- 2014/03 (31)
- 2014/02 (28)
- 2014/01 (31)
- 2013/12 (32)
- 2013/11 (30)
- 2013/10 (33)
- 2013/09 (39)
カテゴリ
メールフォーム
スポンサードリンク
検索フォーム
ステップメール
リンク
QRコード

コメント
管理人のみ閲覧できます
No title
著者の内科医の先生は、ブログも書いており、近藤誠先生がテレビ番組で統計を使ったインチキを解説していると指摘していました。
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20140716
著者の先生の指摘は納得できるのですが、ただ、これだと数字のトリックがあるというだけで、近藤先生の「がんもどき」の理論が間違っているとは言えないと思います。
ガンを放置しても、転移しないガンがあるのかどうかを確かめるには、実際に放置療法をして継続的に観察しないと難しいと思うのですが。
統計だけでは事実を知ることはできないと思います。
そういえば、
コチコチな人ですね。。
進化論の問題は重要なテーマですが。
何を選ぶかはその人のセンス
金持ちだとかそういうのも多少は特別な情報が入ってきたりするかも知れませんが最後にそれを受け取れるかどうかは個人のセンス(周波数)だと思います。何を言っても受け取れない方もいます。それは、その人が情報に周波数を合わせる事ができないのだと思います。
いきなりのコメントすみませんでした。
No title
NATROMさんのHPは一時期読んでましたが、頭が良い方だとおもいました。ただいつものごとく糖質制限はやってみないとわかりません。車の運転と同じで、免許持ってない人に下手糞といわれてるのと同じですね。
まあそれはともかく、糖質制限そのものに抗がん作用がなくても、手術後の回復、放射線や抗癌剤の副作用を減らすことは十分期待できると思います。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
私は近藤誠先生のスタンスには基本的に賛成です。
ただし、がんは放置するだけでは不十分だと考えています。標準治療と比べてマシというだけで治療法としては片手落ちだと思います。
やはり食はがんに対する最大のアプローチとなりうると思いますが、予防ならまだしも治癒を目指すなら糖質制限でもまだ足りないと思います。がんは一度できてしまうと糖質制限の考えを以てしても非常に難敵です。
Re: そういえば、
> コチコチな人ですね。。
そうなのですか。
私は氏のブログを読んだことがありませんので、今度読んでみようと思います。
Re: 何を選ぶかはその人のセンス
> 何を選ぶかはその人のセンスだと思います。
同意見です。
決して頭の良し悪しや、権力の有り無しの話ではないと私は思います。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
> 糖質制限そのものに抗がん作用がなくても、手術後の回復、放射線や抗癌剤の副作用を減らすことは十分期待できると思います。
そうですね。
私も難病態に対して、少なくとも悪いことはしないだろうという考えの下、私は積極的に糖質制限を取り入れるようにしています。
Re: No title
返信ありがとうございます。
>ただし、がんは放置するだけでは不十分だと考えています。標準治療と比べてマシというだけで治療法としては片手落ちだと思います。
確かにそうですよね。
放置だけでは希望がないですもんね。
虫垂炎のように治療を受けたら、ほぼ治るような状況になれば、安心してガンの治療を受けれるのですが。
「がんを治す」と称する食事療法について
・「標準医療を忌避させて食事療法単独でがんを治すと謳うもの」
がインチキであると言っているのであって、がんの発生や再発の確率を低下させたり、がんの治療の副作用を減らしたりする食事が存在する可能性は否定していません。たがしゅうさんも「たとえ糖質制限とはいっても,がんに糖質制限単独で立ち向かうのは困難を伴うとは思います」と書いている通りです。
糖質制限なりの、何らかの食事方法が、がんの治療に役立つ可能性があれば、それこそ「実践と検討を重ね,新しい科学的根拠を作っていけばよい」のです。科学的根拠も無い段階で「食事療法単独でがんを治す」と謳うことは、そうした科学的根拠を作っていくというご意見と真っ向から対立すると私は考えるのですが、いかがでしょうか。
Re: 「がんを治す」と称する食事療法について
コメント頂き有難うございます.
著者の先生から直々にコメントを頂くとは恐縮です.
> 「標準医療を忌避させて食事療法単独でがんを治すと謳うもの」が例外なくすべてインチキである
先生の意図は理解しました.確かに巷にあふれるがんを治すという食事療法の中には科学的根拠のない怪しいものも多いですからね.
ただ「例外なくすべてインチキ」と言い切るのはやはりどうかと思います.
糖質制限に関して言えば,がんに対する有効性を示す科学的根拠はあります.
例えば,食後高血糖,高インスリン血症は明確な発がんリスクですが,
糖質制限によってそのリスクを確実に減らす事ができます.
一方で,確かに現時点で糖質制限にがんを確実に予防・治療する疫学的根拠はありません.
しかし理論的根拠はあるので,疫学的根拠のない段階でも実践し続けるだけの価値がある食事療法であり,決してインチキではないと私は考えています.
また私が申し上げている「たとえ糖質制限とはいっても,がんに糖質制限単独で立ち向かうのは困難を伴うとは思います」という言葉の真意は,
糖質制限の延長戦上にがんを制御する食事療法がきっとあると思うということであり,その行先は決して現在の化学療法,手術療法,放射線療法といった「標準医療」ではないのです.
なぜなら標準医療は全て対症療法の類であり,何一つ原因に根差した根治療法となりえていないからです.
つまりNATROM先生と私とのスタンスの違いは,「がん治療において標準医療を基本におくべきか否か」という所の違いにあるのではないかと思います.
予防と治療は異なります
>ただ「例外なくすべてインチキ」と言い切るのはやはりどうかと思います.
「標準医療を忌避させて食事療法単独でがんを治すと謳うもの」は例外なくすべてインチキです。たがしゅうさんが例外をご存知であれば教えてください。糖質制限については、「食事療法単独でがんを治す」とは謳っていないのでしょう?(謳っていたらそれはインチキです)
>例えば,食後高血糖,高インスリン血症は明確な発がんリスクですが,
>糖質制限によってそのリスクを確実に減らす事ができます.
糖質制限が発癌リスクを低減させるというのはありそうな話ですが、「がんを治す」ことができるとお考えですか?予防と治療を混同されていませんか。拙著にも書きましたが、禁煙によって発癌リスクを減らすことはできますが、禁煙によってすでに発癌した癌を治すことはできません。
>なぜなら標準医療は全て対症療法の類であり,何一つ原因に根差した根治療法となりえていないからです.
「標準医療は全て対症療法の類である」であるというのは事実でしょうか。早期癌に対する根治的切除も、たがしゅうさんにとっては対症療法なのでしょうか。代替医療に親和的な人たちの間で、「癌を切除してもがんになりやすい体質は変わっていないから根治的とは言えない。予防や体質改善こそが根治的である」という誤解がしばしばみられることは把握しています。そのような意味で「根治的」という言葉を使うとして、肺がんやCOPDの予防を目的とする禁煙介入は、「標準医療」かつ「根治的」と言えますね。
Re: 予防と治療は異なります
コメント頂き有難うございます.
> 糖質制限については、「食事療法単独でがんを治す」とは謳っていないのでしょう?(謳っていたらそれはインチキです)
現時点で謳うことはできませんが,糖質制限の延長戦上にがんを治す方法があると私は考えています.
インチキだと言い切ってしまうと,これまでの常識を覆す確固たるエビデンスが出ない限りは食事療法はあくまで補助的な役割に留まってしまいます.
ですが私はまだエビデンスが出揃っていない現時点においてでも,食事療法の未知の可能性を追求したいと思っています.
また予防の延長戦上に治療があると考えています.優れた予防法は治療法にもなりえるものです.
例えば禁煙は肺癌予防であると同時に,COPDの治療にはなります.しかし禁煙が肺癌の治療となりえないのは,予防法として完全ではないからであり,他にがん発生の誘因となる酸化ストレスリスクを取り切れていないからだと考えます.
> 早期癌に対する根治的切除も、たがしゅうさんにとっては対症療法なのでしょうか。
対症療法です.手術はがんの原因に対して何のアプローチも試みていません.
最上流の酸化ストレスにアプローチしない限り,術後再発するのは確率論であり,根治と言い難いと思います.
ESD, RFA
胃癌に対するESD、
肝臓癌に対するRFAをご存知でしょうか?
それらが対症療法であり
根治療法でないとお考えでしょうか?
でしたら、ある領域をもつモノクローナル増殖を
きたした悪性腫瘍の治療としてのESD, RFAは理論的にありえないし、
同じ部位での再発はまのがれないはずですよね?
異所性再発は見たことありますが、
マージンを十分にとったESD, RFA での再発は見たことありません。
私の手持ち早期胃癌、2cm以下の肝癌のデータご用意しましょうか?
Re: ESD, RFA
> 胃癌に対するESD、
> 肝臓癌に対するRFAをご存知でしょうか?
> それらが対症療法であり
> 根治療法でないとお考えでしょうか?
私はがんというものを代謝障害の結果としてみています。
いくら局所の再発を完璧に押さえたところで、大元の代謝障害が治っていなければ、また別の場所にがんができるリスクは高いままだと思います。
No title
原発巣は、放置されても良いとお考えでしょうか?
食餌療法だけで、原発巣も治癒するとお考えでしょうか?
再発"""予防"""には食餌療法は有用かもしれませんが、それは予防であって治療ではありありません。原発巣に対して、先生や近藤誠の「放置」いかがでしょうか?
Re: No title
私は食事療法を基本におき、必要に応じて最小限の対症療法を利用するというスタンスです。
従って、状況によっては手術や放射線療法なども考慮しますが、
それ以上に食事療法をどこまで高められるかが今後の課題だと思っています。
近藤誠先生のスタンスには部分的に賛成の立場ですが、それだけでは完全ではないとも思っています。
No title
たがしゅうさんが糖質制限の可能性を評価するのは自由ですが、「糖質制限単独でがんを治す」と現時点で謳ったらインチキです。
>インチキだと言い切ってしまうと,これまでの常識を覆す確固たるエビデンスが出ない限りは食事療法はあくまで補助的な役割に留まってしまいます.
もちろん「エビデンスが出ない限りは食事療法はあくまで補助的な役割に留まる」べきです。それで何か問題がありますか?それとも、エビデンスがなくても食事療法が主要な役割を果たすべきであるとお考えなのでしょうか?
>ですが私はまだエビデンスが出揃っていない現時点においてでも,食事療法の未知の可能性を追求したいと思っています.
それは自由に追求すればよろしいかと思います。
>> 早期癌に対する根治的切除も、たがしゅうさんにとっては対症療法なのでしょうか。
>対症療法です.手術はがんの原因に対して何のアプローチも試みていません.
たがしゅうさんの「根治療法」「対症療法」という用語は、一般の医学で使用される「根治療法」「対症療法」という用語とかなり異なると思われますが、いかがでしょうか。
>例えば禁煙は肺癌予防であると同時に,COPDの治療にはなります.しかし禁煙が肺癌の治療となりえないのは,予防法として完全ではないからであり,他にがん発生の誘因となる酸化ストレスリスクを取り切れていないからだと考えます.
たがしゅうさんは、糖質制限が「予防法として完全」だとお考えなのでしょうか?発癌リスクや再発リスクを下げるぐらいなら十分に可能性はあるだろうとは思いますが、「予防法として完全」だという主張は荒唐無稽のように思えます。
Re: No title
率直な御意見を有難うございます。
インチキだと決めつける事が、食事療法の可能性を狭めるのではないかと思っているのです。
単独でもがんを治す方法はもしかしたら存在するかもしれません。そして私はその方法が糖質制限の延長線上にあるのではないかと思っています。
エビデンスのある治療法しか認めないという立場から見れば、私の見解は荒唐無稽に見えることでしょう。
しかし糖質制限を突き詰めていく事で、予防から治療へとさらに発展していく可能性を秘めていると私は考えています。
その事は自分が糖質制限をしたからこそわかる事です。
エビデンスのない治療を否定される立場の医師にはわかってもらえないかもしれませんが、
たとえエビデンスがなくとも、理論的に正しい糖質制限をベースにした食事療法を、私は今後も推進し高めていきたいと考えています。
No title
結局、件の氏は、いったい何が言いたかった(したかった)のでしょうか?
氏の言葉をすれば、がんを完全に根治する術の無い今日においては、食事療法に限らずどの治療法でも「インチキ」なのではないでしょうか?
それをことさら食事療法をやり玉にインチキ呼ばわりする。だから何?食事療法は即刻止めなさいなのでしょうか?
話は変わりますがたがしゅう先生、私は最近「銀座東京クリニック」様のHP(http://www.f-gtc.or.jp/ketogenic-diet.html)と、ブログ(http://blog.goo.ne.jp/kfukuda_ginzaclinic)で(勝手にですが)勉強させて頂いてます。
福田先生の提唱する「中鎖脂肪ケトン食療法」ですが、これについてたがしゅう先生のお考えを聞かせて頂けないでしょうか?
私は糖尿病から江部先生の糖質制限の世界に入ったわけですが、神経変性疾患からがんに関わることまで人体に対する糖の悪影響を知ることができ、たがしゅう先生・両先生にとても感謝しております。
最近は長年蓄積してきたなかなか落ちない調査脂肪酸を燃やすべく、LカルニチンとVB1、ω3脂肪酸に期待しているところです。
(漸く3カ月の停滞から数㎏減と効果が見えてきたところです。)
ガン予防について素朴な疑問
いつも、ブログを拝見させて頂いております。
NATROM氏の著書の
>報道によると,2003年に膵臓がんと診断されたとき,ジョブズは手術を受けず,菜食や有機ハーブなどの食事療法を含む民間療法を試したそうだ.
そもそも、『膵臓がんと診断される以前』(←ここ大事)のジョブズ氏は日本食びいき。
とりわけ、『そば』と『寿司』が大好きだったんですよね。
若い頃は、『果物ダイエット』をやっていたそうです。
これって。糖質過多じゃないですか?
糖質過多はガンの予防にすらなってないと思うんですが。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
> 氏の言葉をすれば、がんを完全に根治する術の無い今日においては、食事療法に限らずどの治療法でも「インチキ」なのではないでしょうか?
そうですね。
いわゆる標準治療でも、現時点でがんを治すとは謳えないと思います。
局所を制御する事が治ったという事でよいのなら、早期がんなら手術で治ったという事になるのでしょうが、
私に言わせればそれは対症療法に過ぎず、酸化ストレスを受け続ける食事をしていれば、またいつがんになるともしれない日々を過ごす事になります。それは本当の意味で治ったとは言えないのではないでしょうか。
だから、がんを本当の意味で克服するには酸化ストレスを最小にすること、とりわけ食事療法の役割は極めて大きいと私は考えます。
> 福田先生の提唱する「中鎖脂肪ケトン食療法」ですが、これについてたがしゅう先生のお考えを聞かせて頂けないでしょうか?
「中鎖脂肪ケトン食療法」、「MCTケトン食療法」とも言いますね。
2014年1月5日(日)の本ブログ記事
「ケトン食の種類」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-142.html
も御参照下さい。
中鎖脂肪酸は、簡単に言うと「ケトン体を産生させやすい脂質」です。
効率的にケトン体を増やす事ができるので、古典的ケトン食ほど脂質の量を高めなくても同等のケトン体を産生できるというのがメリットです。
デメリットは取りすぎると下痢することがある事です。
ただ中鎖脂肪酸の扱いに専門的な知識が必要らしく、今のところ私は自分で「できるだけ中鎖脂肪酸が含まれた油を使うようにする」という事をしているくらいで、患者さんの診療には還元できていません。
現時点では、それ以上の詳しい事はわからない、というのが正直なところです。今後突き詰めていきたいと考えています。
Re: ガン予防について素朴な疑問
コメント頂き有難うございます。
> そもそも、『膵臓がんと診断される以前』(←ここ大事)のジョブズ氏は日本食びいき。
> とりわけ、『そば』と『寿司』が大好きだったんですよね。
> 若い頃は、『果物ダイエット』をやっていたそうです。
ジョブズ氏程の天才でも、糖質制限の情報に達する事が出来なかったという事ですね。
アメリカではバーンスタイン先生が1997年に著書「糖尿病の解決」の初版で糖質制限の情報を世に出しておられますので、
『情報はあったにも関わらず情報に到達出来なかった』という事になります。
そして、そこに立ちはだかったのがまさに「常識の壁」だったと思います。
再発の定義
胃癌は、ピロリ菌、食塩、獣肉、喫煙が危険因子として、疫学データからあげられています。ピロリ菌は胃の広い範囲に生息し、ガンを引き起こします。胃の広い範囲で発癌リスクを持っています。ある時、ある一箇所がガンになって、それを「完治」しても、胃の他の場所でピロリ菌がガンを起こすことがあります。(異所性異時性再発)
ピロリ除菌をすると、この再発リスクが約1/3になります。
このような、「再発リスクがあること」と「原発巣の完治」を混同して、やり取りをするのはいかがでしょう? 表現に問題をかかえたまま、「独自理論・独自表現」をされるのは、知識のない方々を間違った方向に導くのではないでしょうか?
Re: 再発の定義
率直な御意見を頂き有難うございます.
私のブログの見解をどのように利用するかは読まれる読者の皆様の自由です.
先生の御意見も参考に,各人が何が正しいのか,それぞれの考えで判断して頂きたいと思います.
それは答えになっていません
#2. 医学用語を「間違った」定義で使って、専門知識のない人を間違った方向に導いて、「読み手の知識や判断力がない」というスタンスで良いのですか? また間違った定義で議論をして良いのですか?
美を追求して見えたこと
私は美容女子です。でも、美容整形手術をしてきれいになる方向ではりません。
アンチエイジングとがん予防(一部治療も)って、とても似ているんです。ビタミンC、B群や水素、抗酸化食品(トマト、スピルリナetc.)
細胞を若々しく=がん予防と言えるくらいです。
細胞を老化させないにこしたことない。老化とは、酸化、糖化、慢性的炎症など。ピロリ菌は慢性炎症ですよね。
タバコや糖質に無自覚な女子には「早くおばあさんになってしまうわよ」と言ってあげたいけど言えません。すぐに理解できることじゃないから。
たがしゅう先生のブログを見に来るのは美容と健康に意識の高いインテリジェンスな人たちだから、自分で考え学び、自分で判断できると思います。
いろいろなご意見は勉強になります。
自分のバイアスから自由になるのは難しいので、情報をうのみにせず、情報を全否定せず、自ら学びたいです。
美容に良いことは健康にも良い。逆も然りです。
その線で健康美、知性美を追求したいです。
Re: それは答えになっていません
> #1. 「悪性腫瘍の完治」を定義を独自にしているのか?
私の考える悪性腫瘍の完治の定義は「悪性腫瘍が無くなり再発しないこと」です。逆に先生の言う医学的な「悪性腫瘍の完治」の定義は何なのでしょうか?
> #2. 医学用語を「間違った」定義で使って、専門知識のない人を間違った方向に導いて、「読み手の知識や判断力がない」というスタンスで良いのですか? また間違った定義で議論をして良いのですか?
ブログはあくまで個人の意見を述べる場です。
不特定多数の読者全てに自分の意見を自分の意図通りに伝える事など土台無理な話です。
私は私の考えを述べ、後は読者の方に任せるより他ないでしょう。私が全ての読者に理解できるよう説明する義務はありません。あくまでボランティアです。
それが無責任だと言うのなら、先生も「かくちゃん理論」とやらを明確に定義し、提示してはいかがですか?それを読んで勘違いしない人は皆無だと言い切れますか?
どこかで見切りをつけるしかないのではないでしょうか。
悪性腫瘍の治療
>> 私の考える悪性腫瘍の完治の定義は「悪性腫瘍が無くなり再発しないこと」です。
>> 逆に先生の言う医学的な「悪性腫瘍の完治」の定義は何なのでしょうか?
私の知るかぎりでは、原発巣からの局所再発・遠隔転移が無いことが「完治」(仕事でこの言葉は使いませんね。治癒が正しいでしょう)です。
異所性異時性再発(胃癌や肝細胞癌ではしばしばみられます)は、ハイリスク臓器での別の癌の出現ととらえます。原発巣は「治癒」ととらえます。先生は神経内科でらっしゃるそうですが、異所性異時性再発を理解してますか?詳しくないのなら、詳しい方に聞いてみてください。先生の「定義」は、独自のものです。また糖質制限食で再発が防げたというのは研究どころか、症例報告さえも聞いたことありません。独自の発想に過ぎません。
それから、このブログは私のブログではありませんので、私の理論をひけらかす気はさらさらありません。「間違った」定義で医学用語を使って、専門知識の無い方を混乱させるのが、納得いかないだけです。間違った知識が広がり、実地医家の先生方が困るので、自分の世界観があるのならば、自分で用語を作られるとよろしいでしょう。(「がんもどき」も世間を騒がせてますが、あれと同じです。カルチノイドとか境界病変とか使いませんね。誰かコメントしてましたが、近藤誠のテレビのフリップは明らかな捏造です)
専門的な話は素人なので理解出来る
限界が有りますが少なくとも冷静に
返答頂いている相手に無責任とか
患者を見殺しに等と自分のブログで罵倒
するなどとても理解に苦しみます
主張をする以上ある程度理解を
求めるものであるだろうし
当人もそれを望んでの行動のはずなのに
そこからかけ離れた行動は
自分の主張さえも貶しているも同然です
氏のブログも愛読しておりましたが
ここ最近の書き込みは非常に残念な気持ちです
Re: 美を追求して見えたこと
いつもコメント頂き有難うございます。
わからない人にはどう言っても難しいですよね。
わかってもらえる人へ伝えられるよう地道に活動を続けていきたいと思います。
Re: タイトルなし
御共感頂き誠に有難うございます。
> 氏のブログも愛読しておりましたが
> ここ最近の書き込みは非常に残念な気持ちです
私も全く同じ想いです。
でお答えは?
Re: 悪性腫瘍の治療
> 異所性異時性再発を理解してますか?
私なりに理解しています。
質問という事であれば誠意をもって対応させて頂きますが、
御批判という事であれば甘んじて受けますので、これ以上のやり取りはどうかお控え頂きたく存じます。お互いにメリットがないことと思いますので。
No title
普段は受け手専門で色んなブログを拝見しております
先生もご存知のカルピンチョ先生のブログも
チェックしており、最近更新がなかったのですが
最近ようやく更新された内容に「読者の皆様へ」との記述があり
やはりブランクの間、様々な批判に多少の自問が有られた様に感じました
我々受け手は鵜呑みにするのではなく様々な情報を受けた上で咀嚼し
自分なりの答えを出すのがネットとの付き合い方だと思います
不特定多数に無料で閲覧出来る状態にあって自分なりの考えを主張出来る方
は立派だと思いますし
今後も是非色々な情報を得られる事を願ってやみません
自分も糖質制限というものに出会い、自分なりのやり方を模索して日々
勉強させて頂いております
チェックしている情報には完全なアンチ糖質制限なるものもあります
ただ、どうしても発信する人となりを見てしまいます
たがしゅう先生のどんな意見にも
自分の答えを真摯にお答えする姿勢は素晴らしいと思いますし
カルピンチョ先生の批判を受け止めて
しばらく更新が無い(本人にお伺いした訳ではない、勝手な推論ですがw)
人間らしさが
本当に文章を読むだけで伝わってきて読むのが楽しくなってきます
たがしゅう先生にも色んな批判などあるでしょうがどうか
恐縮される事の無いよう今後の更新も楽しみにしております
長々とすみませんでした
Re: No title
御心配頂き有難うございます.私は大丈夫です.
極力わかりやすさを心がけて日々ブログを書いているつもりですが,それを私の意図とは異なった形で受け取られる人がいるという事はどうしても起こりうる事であり,ある程度致し方ない事ではないかと思っています.
けれど私のメッセージはきっとわかる人にはきちんと伝わっていると信じています.
ノータイトル
たがしゅうさんは、制糖食事療法に、理想主義的であるばかりかある種の使命感もっていらっしゃるのは感じていましたがこの記事のコメント欄を読んで、あなたが考えていらっしゃることの射程はずっと遠いものであるとわかりました。
がんに根治療法があるとは誰も言わない時にその理論的射程の先を見据えいらっしゃるのですね。
僕は感動しました。
Re: ノータイトル
コメント頂き有難うございます。
私が常々持ちたいと願っているのは使命感よりも「貢献感」です。
御指摘のように、私は糖質制限に深遠なる可能性を感じています。
従来の常識に捉われ直ちに否定するのではなく、糖質制限への理解を深めて今なお病気で苦しむ人達へ少しでも貢献できる可能性を模索したい、その想いで日々過ごしています。
思弁の必要性
柄谷行人というひとの『トランスクリティーク』という本に「思弁の必要性」という章があります。
読んだのはもう十数年前なので鮮明な記憶ではありませんが、米ソで原爆開発競争が熾烈だった時代、米が原爆の理論を確立したときに機密化したのはしようとしたのは、その理論の内容だけではなく、理論が成立したということそのものだったということです。理論成立の存在可否自体が判明すればソ連の原爆開発は加速されると予測したということです。
江部氏による胎児ケトン代謝発見から、疫学的裏付けより、理論成立より、思弁(エビデンスのない議論)を展開するのはたがしゅうさんのような医学者には場合によっては辛いこともあるかもしれませんが、科学史自体がたがしゅうさんを支持するでしょう。
Re: 思弁の必要性
コメント頂き有難うございます。
様々なしがらみはありますし、横やりが入る事もありますが、
私は私のいる場所で私のできる事を、ただただやり続ける、それだけだと思っています。
コメントの投稿