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糖質制限で改善しきらない病態への対応策

category - 読者の方からの御投稿
2014/ 07/ 08
                 
糖質制限の有効性は幅広い疾患で確認されています.

糖尿病,メタボリック症候群に対して有効な事はもはや反論の余地はないと思いますし,

アトピー性皮膚炎、多嚢胞性卵巣症候群、ざ瘡(にきび)、うつ病などに対してもその効果が確認されています.

一方で,糖質制限だけではうまくいかない病態があるという事も事実です.

例えば,ブログ読者のakiさんから,次のようなコメントを頂いています.

『糖質制限を始めた頃、貨幣状湿疹が悪化し、結果、自家感作性皮膚炎となりました。

糖質制限をすることでアトピー等皮膚疾患もよくなるということだったので、アマニ油を飲みながら糖質制限も並行して経過をみました。

滲出液が出る処はプラスモイストを使ってましたが、発汗もあり皮膚症状が悪化し、皮膚科に罹りました。
糖質制限で一週間に3kgほど落ちたのですが、脂肪分解の過程でアレルギー発症ということも考えられるのでしょうか?

元々、アトピーはないけれど花粉症ありのアレルギー体質です。』


一方でアトピー性皮膚炎は改善するが,他方で糖質制限で皮膚炎が悪化する人もいるという事です.

こうした事実を一体どのように捉えればよいのでしょうか.
            

その問題を考える前に、

同じくブログ読者のtomoさんからは次のような御質問を頂いています.

先生は糖質制限と遅延型フードアレルギーについて、どう思いますか?

この場合、お米、野菜など、アレルギーなりにくいものの摂取と糖質の身体への負担、どちらを優先的に考えたらいいとお考えしょうか。


遅延型フードアレルギーについては、

以前本ブログでTrue Life先生に教えて頂いた事があります。

メカニズムは「未消化(つまり抗原になりうる形を維持したまま)たんぱく質が 腸の粘膜細胞の隙間から入ってしまうために起きる」と考えられているようです。

糖質制限OK食材であっても、消化管機能が破綻している状態では、豆、卵、チーズなどの糖質制限OK食材でさえも抗原となってアレルギーを引き起こしてしまうというわけです。

そしてたとえ糖質制限でも1日3食の食生活を続けている以上は、消化管が休む時間が比較的短いという状態が続いてしまいますので、

akiさんのように糖質制限していてもアレルギーが出てしまうという方々の一部にはこの病態が含まれている可能性があると思います。



ここで糖質制限をしていて部分的な有効性に留まるという他の病態を考えてみますと、

がんや神経変性疾患(認知症、パーキンソン病など)、潰瘍性大腸炎などが挙げられます。

がんは酸化ストレスを起源にDNAが損傷し,細胞が突然変異を起こしがん細胞となり,

なおかつそのがん細胞が生体内の免疫システムをかいくぐって育った時にがんとして姿を現すと言われています.

身体防御メカニズム

※フリー百科事典 ウィキペディア「抗酸化物質」より引用

そのように考えると、がんというのは、

今までの酸化ストレスの蓄積の結果できあがった負の遺産という見方ができると思います。

一方で、神経変性疾患の方はどうかといいますと、

それで神経変性の全てが説明できるわけではありませんが、

一つ大きな要因として言われている事は、やはり酸化ストレスです。

酸化ストレスが繰り返され続けた結果、異常蛋白が作られ、それが神経細胞の中に蓄積して神経変性疾患ができるのであるとするならば、

変性してしまった神経も酸化ストレスによってできた負の遺産です。

糖質制限で酸化ストレスのリスクを大分減らすことができるとはいえ、

食べるという行為自体が酸化ストレスをもたらす行為にはなりえるでしょうから、

そうした病態の進行を抑えることはできても、改善にまでもっていくことはなかなか難しいかもしれません。

遅延型フードアレルギー、潰瘍性大腸炎に関しては、

前述のように、消化管機能が破綻してしまっている状態だと思いますので、

糖質制限であっても食べるという行為を繰り返している以上は、こちらも寛解はできても、なかなか治癒に持ち込む事は難しいかもしれません。

従ってそのような状況では、アレルギーの少ない米や野菜を食べても、アレルギーを起こしやすい豆、卵、チーズを食べても、五十歩百歩だと思います。

では、こうした病態に対しては、どう立ち向かっていけばよいのでしょうか。


私は今自分でできる最大の努力は断食(絶食療法)ではないかと思います。

断食をする事によって、まだ新しい異常蛋白を溶かす事ができるかもしれませんし、

食べるという事によって生まれる酸化ストレスリスクもゼロにする事ができます。

そうなると、食べない事を続けていてはたして生命を維持できるのか、という心配が生じると思いますが、

これについては3年食べずに生きているという人の存在が、この悩みに対しての一筋の光明を与えてくれます。

先日の記事でも触れたように、断食をする事によって生命維持に必要な遺伝子が新たに発現する可能性もあります。

食べなくても生命を維持できる理由に関しては様々な仮説が言われています。

例えば、今ある蛋白質を再利用するシステム(例:オートファジー)を動かす遺伝子がONになるという事も考えられていますし、

原子転換というヒトが光合成できるようになるという一見奇抜にも思える考えもあるそうです(ヒトのヘモグロビンと植物の葉緑素は中心のFeとMgが違うだけで、あとは構造は一緒なのだそうです)。

よく食べなければ筋肉がやせるという事が言われますが、

そうなる人はたいてい糖質文化の中で摂取エネルギーが足りていない人の事であり、

実際に断食している人の中ではそういう台詞は不思議と一切聞くことがありません。

私も2-3日程度の断食はこれまでに10回以上経験していますが、筋肉やせていません。


そんな断食ですが、断食といえども完璧ではないとも私は思っています。

というのも神経変性疾患に関して言えば、変性が始まって時間がたってしまった神経は、

もはや不可逆的な変化となってしまうからです。

そうなると、たとえ断食したとしても、その異常蛋白を溶かすことは不可能です。



あくまで私見ですが、

断食は今自分の身に起こっている病邪に対して、

立ち向かうための最大限の努力ではありますが、

実施するタイミングが遅れたら、たとえ断食でも手遅れになってしまいます。

断食という最終手段を使わないですむように、

普段から酸化ストレスのリスクを最小限にしておくことが、

健康を維持するための基本的な考え方になると私は思います。



たがしゅう

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コメント

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断食について
たがしゅう先生 いつもありがとうございます。

玄米菜食・断食小食・糖質制限

各食事療法を、10年単位で徹底的にやり抜いた先生のホームページです。患者さんのデータも数多くあるようです。

もしかしたらたがしゅう先生のヒントになるかもしれません。

断食や毒出しについて、詳しく書かれています。

参考になれば幸いです。

http://www.kaiten.jp/syokuji/dannjiki.html
水素
おはようございます。
美容の敵は糖化と酸化。抗酸化の今のブームは水素です。
ためしてガッテンレベルですが、酸化を還元するには水素。
O+H=水になって排泄。
水素水や水素サプリが人気です。
ただ、自分の酸化ストレスの度合いは、全く自覚は出来ません。
Re: 断食について
ミロ さん

 有意義な情報を頂き有難うございます.

 やせの人の少食・断食はよくないという見解を示されているのですね.

 私もやせの人が断食,糖質制限を行う場合には,より注意を払わなければならないとは思っていますが,

 そういう人が断食,糖質制限をやってはいけないとは思っていません.試行錯誤は必要ですが,うまくいくやり方は必ずあると思っています.

 また,骨が弱っていくという現象は,ただ食べないという事に加えて何らかの条件が加わって起こるのではないかと思います.これについてもいずれ私の見解を記事にしたいと思います.
Re: 水素
エリス さん

 コメント頂き有難うございます.

> 酸化を還元するには水素。
> O+H=水になって排泄。
> 水素水や水素サプリが人気です。


 水素ですか.勉強不足ですが,ヒトの身体はそんなに単純にはできていないような気がします.

 自覚できない事だけに,ニセ科学かそうでないかを慎重に見極めていきたいです.
糖質制限と少食について
コメントを取り上げてくださりありがとうございます。
遅延型フードアレルギー、糖質制限との間で色々悩みましたが、今は糖質制限を体調を見ながら続けています。

私も小食には賛成ですが、糖質制限をしながらの小食は危険ではないのでしょうか。糖質制限中はたんぱく質、脂質はたっぷりとりましょうともききます。

私は、玄米を取り入れながらの断食(玄米粥、野菜のみを3日→断食3日(ファスティングドリンクのみ)→玄米粥、野菜のみを3日)をしたことがあります。
胃腸をいたわるという点で、少量の糖質を含むもの、根菜や玄米粥などはもしかしたら、小食を実践する上で不必要なものではないのではとも感じます。
精進料理なども玄米や雑穀、野菜、小魚などが主な食材で、断食セミナーなども、玄米と漬物のみというのが多い気がします。

糖質制限中はどのように断食や小食を実践するのが安全なのでしょうか。

もうひとつ、酸化ストレスについてですが、肉食は体内が酸化する、野菜や果物は抗酸化作用があるとききます。
赤身肉をたっぷりとる酸化ストレスと適量の糖質(お米、根菜、果物など)による酸化ストレスはどちらが身体に影響があるとお考えでしょうか。


Re: 糖質制限と少食について
tomo さん

 コメント頂き有難うございます.

> 私も小食には賛成ですが、糖質制限をしながらの小食は危険ではないのでしょうか。

 私はむしろ糖質制限しながらの少食がキモだと思っています.

 糖質制限をベースにおくことで,ケトン体を有効に使える体質へ切り替わるからです.

 逆に玄米菜食ベースの断食だと,急にケトン体が増える変化に耐えきれずに体調不良を起こすパターンはありうると思います.徐々に断食に慣らしていく工夫が必要になるでしょう.

 またやせで太れないという人はずっと断食するよりも短期間の断食を繰り返し,消化管機能を徐々に建て直していく工夫も必要になるかもしれません.

 ただし,いずれもかなり困難を伴う作業です.

 これら一連の断食にまつわる話は,糖質制限でうまくいっている人は気にしなくていいと思います.あくまで糖質制限だけで克服できない問題がある人にとっての一つの選択肢という位置づけです.

> 赤身肉をたっぷりとる酸化ストレスと適量の糖質(お米、根菜、果物など)による酸化ストレスはどちらが身体に影響があるとお考えでしょうか。


 糖質を制限し脂質タンパク質をしっかり確保する事で劇的に体調が改善する人が多い事を考えますと,

 食事における最大の酸化ストレス要因は糖質摂取による血糖の乱高下だと私は思います.

 従って,私は糖質を摂るより赤身肉をたっぷりとる方が酸化ストレスの影響は少ないと考えます.
ありがとうございます
コメント返答ありがとうございます。
菜食の小食についてはよく耳にしますが、糖質制限中の小食についてはなかなかわからないことが多かったので、先生のご意見はとても助かります。

私の場合、思い起こせば長期に及ぶ糖質中毒が原因であろうと思われる症状がいくつも
思い当たり、その中には容易には解決できないものもあります。

糖質制限を続けていて、もちろん恩恵も多いのですが、糖質を摂取しない分、たんぱく質や脂質を一生懸命食べようとすると胃腸が疲れることもよくありました。(特にたんぱく質)

体調をみながら、糖質制限をしながらの小食や定期的な単発断食を少しづつ試してみたいと思いました。

その中で変化があればご報告させてください。
No title
はじめまして。
今年初めから糖質制限しています。女子30代。

3年ほど前から私も貨幣状湿疹から自家感作湿疹になり大変な思いをしました。
ほぼ治ってからも原因分からない湿疹がたまに出るのでびくびくしていたところ、糖質制限を始めた今年から皮膚の調子が飛躍的によくなりました。

もともと食事量は少ないほうで、たんぱく質の摂取増加がよかったのかと考えて
おりました。体重もわずかに減り、体脂肪にいたっては22%から15%にまで絞ることができました。ジムでワークアウトや有酸素運動を日常的に行っています。
ただ先週から腰のあたりにまた湿疹がでて自家感作のときのように全身にリンパに沿ったチクチク感が出てきたので、再発か?と本当に憂鬱です。
糖質制限が大正解だったと思っていた矢先。
どう考えてよいのかわからず私も困っています。
Re: No title
RB さん

 コメント頂き有難うございます.

 結局糖質を制限する事が一番インパクトのある改善を与えますが,

 そこで思考停止しているとその先のトラブルに対応できません.

 例えば油の種類を見直すとか,隠れ糖質を摂っていないかチェックするとか,完全に体質が安定するまで最小限の薬を使いながら地道に糖質制限を継続してみるとか,

 御自身の生活を振り返って最も適した方法を考えてみられる事をおすすめします.自分自身に勝る主治医はいないと思います.
自家感作性皮膚炎について
先日のご解答及び、今回コメントを取り上げて頂き、重ねてお礼申しげます。
コメントに親身に答えて下さる先生がいて下さることは本当に心強いです。
ありがとうございます。

湿疹が出始めた頃は主にMEC食だった為、遅延型アレルギーやリーキーガット症候群も疑いました。腸内細菌の影響も調べ、糖質制限と並行してビタミン・ミネラル(塩)・EPAを摂取しました。が、結果、自家感作性皮膚炎との診断。
断食も効果がありそうですが、3日以上継続しないと効果は現れにくいとのことで踏み出せません。始めた頃より、朝なし・昼少量で、夕食を摂取するとういう食生活です。
6段階のうち最強のステロイド剤塗布と抗ヒスタミン+ステロイド配合剤内服で治療をしながら、糖質制限を並行しております。皮膚症状以外メリットの方が大きいので、体調を考えながら食事に気を付けています。自家感作性皮膚炎は全身に広がることなく、退色しているところです。核はしぶとく残っていますが。内服薬は4日ほどで自己判断で止めました。
先生の言われるよう、自分を総合主治医として身体の声を聞いて対応して行くことが大事だと思います。
皮膚科に行った件は、診断を知る上で良かったと思っていますが、今後ステロイド継続とならないよう糖質制限についての知識を広げたいと思います。
(ステロイド内服による糖質制限への影響はまだ勉強出来ていませんので…)


Re: 自家感作性皮膚炎について
Aki さん

 コメント頂き有難うございます.
 
 皮膚炎が改善傾向にあり,症状が許容範囲であればこのまま経過をみるというのでもよいかもしれませんね.

 ステロイド薬は確かによい薬ですが,同時に副作用に注意が必要な薬です.

 本来一過性で済むはずのストレスホルモンをずっと薬で補充し続けているようなものなので,長く使えば使う程体に不自然な変化が起こり,様々な副作用が出現してくるというわけです.後日記事にしたいと思います.
自家感作性皮膚炎
返答頂き、ありがとうございました。
先日、皮膚状態の確認の為皮膚科に再受診しました。外用薬も弱いものへの変更を期待して。
結果、治っていると言われました。しっかり視て、ステロイドも弱いものに変えるくらいなら塗らなくてよいという説明。診察は数時間待ちだけれど、このような皮膚科医に出会えて嬉しい限りです。(以前別の皮膚科で悪化したので)
自家感作性皮膚炎なので長引くことも危惧していましたが、糖質制限食(プラス必要な栄養素の補充)とステロイド併用で治ったと考えます。
最近は腸内細菌環境を整えるために、玄米から発行を促して作る玄米ヨーグルトの摂取を考えているところです。
2年後に再発されたという、上記の方のコメントもありますので、糖質制限を続けることで、免疫力UPを期待したいと思います。

ステロイドの記事、楽しみにしております。
Re: 自家感作性皮膚炎
Aki さん

コメント頂き有難うございます。

皮膚炎、改善してよかったですね。今後も糖質制限ベースで好調を維持して頂ければ幸いです。

> ステロイドの記事、楽しみにしております。

記事のアウトラインは頭にあるのですが、テーマが大きくてまとめるのが難しく、なかなか筆が進みません。

どうか気長に待って頂ければと存じます。
その後です、、、
たがしゅう先生、

断食レポート楽しく拝見しました。
本当にお疲れさまでした。

ところで以前に投稿させていただいたのですが、あれからいろいろ試行錯誤していますが、
早朝空腹時血糖値が3ケタのままです。。。

夕食後に筋トレでなく、15分ほどステップ台をするとぎりぎり2ケタ台になります。筋トレは1日置きに15分ほどですが、効果ないのでしょうか???

(体重49kg身長160、BMIが18ぐらいの痩せです。)

一日のタンパク摂取は
玉子2個、とうふ(味噌汁の中に入ってるぐらい)
魚か肉80~100gのどちらか。
(チーズ、ナッツ類は1/3に減らし、30gに)
そんなに多いとは思わないのですが・・・

もっと減らすほうがいいのでしょうか?

肝臓か何か疲れているのでしょうか?

診察していただいているわけでないのに
こんな質問をしてすみません。

糖尿で医者にかかっているわけでもないので
すが・・・
(たぶん数値的には糖尿とは診断されないと思いますが。)



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No title
たがしゅう先生

血糖値と飲酒についてお聞きしたいのですが

グラス1杯のワイン(辛口)が血糖値を下げると聞きましたが、朝の血糖値を下げるため?
や宴会が避けられない場合には有効でしょうか?

私は普段飲酒の習慣はないです。
血糖値を下げると聞き、週に1、2回ほど
辛口の赤ワインをたしなむのはどうなんだろうと・・・

アルコールが乳がんのリスクを上げるとかも聞き
(どのくらいの量は?)
女性にとっていかがなものでしょうか?


Re: その後です、、、
さゆり さん

 御質問頂き有難うございます.

 ただ,数値的に糖尿病だと診断されないレベルの血糖値であれば,過度に心配しすぎる必要はないかもしれませんよ.

 結局,情報の不十分な他人が判断するより,自分の情報を一番よく知っている御自身がいろいろ考えるというのが一番いいのではないかと思います.
Re: No title
さゆり さん

 御質問頂き有難うございます.

 私の考えとしてはアルコールは嗜好品です.

 血糖値を下げるために飲むようなものではなく,好きな人が飲むという類のものだと思います.

 また糖質制限をしながらアルコールを飲みすぎると,糖新生がブロックされ低血糖を起こす可能性もあります.

 基本は食事,次に運動で御自身の健康を管理していかれてはいかがでしょうか.
ありがとうございました。
たがしゅう先生

いつもながら迅速にお答えいただき
ありがとうございました。

ワインは嫌いではないけど
好きでもないので、
ほどほどにしておきます☆