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必ずしも意味づけしない姿勢
私達は知らず知らずのうちに,自分の価値観という色めがねを通して世の中を見ていると思います.
つまり,その人の価値観によって言葉のとらえ方は変わってきます.
ストレスが良いものととらえるか,悪いものととらえるかもその人次第です.
しかしストレスそのものは良いものでも,悪いものでもなく,ただ存在しているものです.
場合よって人体に悪影響を及ぼしたり,活性化させたりという変動はあれど,
それ自体は善でも悪でもないのです.
そのように私達がいつの間にか特定のイメージでとらえてしまっている言葉は他にもあると思います.
例えば,「活性酸素」はどうでしょうか?
活性酸素と言えば,酸化ストレスを増加させる物質としておそらく皆さん悪いイメージを持っているのではないでしょうか.
ところが一方で活性酸素は,細菌などの外敵に攻撃するための武器としても利用する事ができます.
これもまた善とも悪ともとれるものですね.
次に「LDLコレステロール」.
コレステロールそのものは人体の主要な構成成分です.
糖質制限賛成派はLDLはいいもの,糖質制限否定派はLDLは悪いものという価値観でみている傾向があると思います.
同様に,「インスリン」
糖質制限賛成派は「ゼロはダメだが,少なければ少ないほどいい」,糖質制限否定派は「しっかり出ているべき」といったところでしょうか.
要するに価値観が違えば,良い悪いは別にしても,たとえ同じ物質であってもここまで捉え方が変わるということです.
でも今回私が言いたいのは,「賛成派のようなとらえ方をしましょう」ということではありません.
どちらの考え方にしても,「これは良い」とは「あれは良くない」というように意味づけを固定してしまうと,
それがたとえ糖質制限賛成派の価値観であっても,事実を偏った視点でとらえてしまい,今後理解を深める上でそれが障壁となってしまうかもしれません.
できるだけフラットにその言葉をとらえて,必ずしも意味づけをしないという姿勢が大事がもしれないと思った次第です.
では最後にそういう姿勢で「ステロイド」というものをとらえてみます.
ステロイドホルモンは,人体にとって不可欠なホルモンです.
免疫,血糖,血圧,覚醒,骨代謝,性機能など様々な機能に重要な役割を果たします.
しかしだからと言ってたくさんあればよいというものではありません.
ステロイドを薬として用いた時には,量が多ければ多い程,期間が長ければ長いほど,
満月様顔貌,易感染性,骨粗鬆症,消化性潰瘍,高血圧,脂質異常,糖尿病,緑内障,白内障,精神障害など様々な副作用が起こりますし,
ステロイドホルモンが過剰に産生される事で起こるクッシング症候群という疾患もあります.
すわなち,ステロイドは時と場合によって益にも害にもなりうるものですが,
出るべき時に適量だけ出てくれれば,身体の恒常性を維持するのに力を発揮してくれるもの,ととらえるべきではないかと私は考えます.
何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」です.
臨機応変に糖質制限の勉強を続けていきたいと思います.
たがしゅう
コメント
神経伝達物質
2014-06-02 10:24 ペトロナイアシン URL 編集
No title
かつて佐藤栄作首相が昭和天皇に円高で経済状況が思わしくない、といったところ円高なら原料費が安く済むのだから一概に悪いことでもないのではないか?と返されたことがあったそうです。統治者として、また自然科学者として一流の方はやはり違いますね。
ステロイドや血糖値はあまりにも人体にとって重要すぎるのでしょうね、ほんの少しの変動さえ良くも悪くも恐ろしい結果になりうる。自転車競技でのドーピングを長年見ていてここまで差が出るものかと愕然とします。
市販の風邪薬さえドーピング効果のため禁止されている事実を医師や薬剤師をふくめ我々は認識するべきでしょうね。
2014-06-02 10:31 SLEEP URL 編集
Re: 神経伝達物質
その節はいろいろな情報を教えて頂き有難うございます.
糖質制限は非常に基本的な要素ですが,それ以外にも漢方とか,鍼灸とか,瞑想とか,ヨガとか,世の中には西洋薬による治療以外にもいろいろ良い治療があると思います.おっしゃるように,私も将来的には様々な方法を扱えるように日々勉強を続けていきたいと考えています.
2014-06-02 19:49 たがしゅう URL 編集
Re: No title
コメント頂き有難うございます.
> 市販の風邪薬さえドーピング効果のため禁止されている事実を医師や薬剤師をふくめ我々は認識するべきでしょうね。
確かに.裏を返せば,風邪薬にはドーピングとして成立する程のシャープな作用があるという事だと思います.
薬の本質を見誤らないようにしたいです.
2014-06-02 19:59 たがしゅう URL 編集