脳を豊かにする

2014/05/18 11:24:10 | 医療ニュース | コメント:0件

「笑う」事は大事です.

いつもにこやかな人はいろんな人から好かれますし,

ストレスがたまった時にもテレビなどで面白い事を見て笑ったりするとおおいにストレス発散になります.

一方で,「笑い」を提供する事を職業にしている人はすごいと思います.

どんな人であっても生きていて多かれ少なかれ悲しみを抱えているはずなのに,

それをおくびにも出さず,人に「笑い」を提供し続ける事にはある種の覚悟を感じますし,なかなか真似できない事です.

そんな事を考えていると,毎度おなじみケアネットから興味深いニュースが届きました.

笑いは瞑想と同じ効果をもたらす

提供元:Healthday News公開日:2014/05/15

笑いは瞑想と同様の脳波を生み出すことが、米ロマリンダ大学(カリフォルニア州)医療学部准教授で、医学部病理学・人体解剖学研究准教授のLee Berk氏らの研究でわかった。

Berk氏らは、被験者31人に、面白いビデオ、スピリチュアルなビデオ、痛ましいビデオを見せて脳波をモニターした。
その結果、被験者の脳では、面白いビデオを見ているときには、瞑想中に出るガンマ波が多量に認められた。

スピリチュアルなビデオでは、休息時と同様、アルファー波のレベルが高かった。痛ましいビデオを見ているときには、その場にいたくないと感じるときなどと同様、平坦脳波が見られた。

Berk氏は、「今回の研究では、陽気な笑いを伴うユーモアは高振幅のガンマ帯振動を持続させるということが判明した。ユーモアによって、頭脳が明晰になり統合的思考ができるようになる。瞑想と同様の効果がある」と述べている。

研究結果は、米サンディエゴで開催された実験生物学学会年次学術集会で発表された。データと結論は、ピアレビューを受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。



笑いが脳波に影響を与えるということは,

言われてみれば理解できる事でしたが,そのような視点は私にとって盲点でした.

しかも,それが瞑想と同様の効果をもたらすというのが興味深いですね.

瞑想にしても,断食にしても,宗教的な怪しいイメージをもたれる方も多いかもしれませんが,

何だか昔の人達は,医療だの科学だのが発展するずっとずっと昔から,

病邪に対する対処法を経験的に会得してきていたように思えます.

我々神経内科医は脳波をよく診療で取り扱うのですが,

一般的には正常な状態はリラックスした状態で観察されるα波(アルファ波)という1秒間に8~12回くらいの振動する波(8-12Hz)の波がみられる状態のこととされています.

また眠っている時など,脳の活動性が低下している時はδ波(デルタ波:0.2-3Hz)や,θ波(シータ波:3-8Hz)の波が観察されます.

ところが,笑いも瞑想もそれよりもはるかに速いγ波(ガンマ波:40Hz以上)が出ているというのです.興味深いですね.

瞑想について私はほとんど知識を持っていないので,

手元の本でまずはそれを確認してみます.



瞑想の重要性

(前略)

世界50カ国で行われた調査によって,

瞑想は知力を高め,創造性を養い,認知力を高め,規律正しさを増し,血圧を下げ,不安を和らげ,通院回数を減らし,ストレスを弱め,老化現象を抑え,呼吸を変え,深い安らぎを生み,生産性を上げ,気分をよくし,自意識と自尊心を高めることがわかっています.

(中略)

瞑想によって心と体は,独特の深い静かな覚醒状態に達します.体は非常に深く休息し,心は内面的に落ち着いて覚醒します.

このプロセスは,深いところに根ざしたストレスと緊張を解き,全身を若返らせ,心に創造性と知性を吹き込み,成功に結びつくダイナミックな活動の基盤を提供します.

(後略)



こうしてみると瞑想の効果も多面的だという事がわかります.

笑いも瞑想もそのように多面的な作用をもたらすという意味では共通しているという事になります.



俗世を生きていると,

誰だって嫌な事の一つや二つあると思います.

そんな中でもいかに心を穏やかに保ち続けるかということ,

そして俗世のあらゆるストレスに対して負けずに生きていくために,

脳を豊かにする方法を追求する事が大事であり,

そのために笑いや瞑想を利用するのも一つだと感じました.


たがしゅう
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