真に骨を強くする食事
2013/09/19 01:22:51 |
糖質制限 |
コメント:8件
『世の中には二つの病気しかない.医者がいなくても治る病気と,医者がいても治らない病気である』という言葉を聞いたことがあります.
これは,医者がやってることなんてほんの少し患者さんの背中を押す程度のことなんだと,傲慢な医者に対しての戒めの言葉だと私は解釈しています.
そして,これだけ医療が発達したと言われる現代でも,周りを見渡すと医者から完全治癒をあきらめられている病気は意外とたくさんあります.
糖尿病,認知症,アトピー,一部のがん,神経難病の類などがそれに当たります.
しかし,糖質制限の考え方を知れば,そうした「治癒をあきらめられた病気」とも闘える術を我々は持つことができます.
そうした病気の一つに「頸椎症」という病気があります.
これは一般的には首の骨が年とともに脆くなり,軟骨がすり減って,脇に飛び出した軟骨が神経にあたり,手足のしびれや麻痺をきたしたりする,と説明される病気です.
この病気はだいたい「年とともに進んでいくものだから」などと言われ,リハビリや症状を和らげる薬を処方されて様子をみられることが多いのではないかと思います.それでも徐々に進行していくので非常に厄介な病気なのですが,世の中に非常にありふれている病気でもありますので,できればなんとかしてあげたいものです.
そしてその背景には「骨粗鬆症」と呼ばれる現象があります.これも多くの医師は「年とともに進んでいくもの」という認識なのではないかと思います.
ただ骨粗鬆症の治療については,実は薬物療法がかなり発達していて,様々な種類の薬が使える状況になってきています.また整形外科の先生を中心に予防のために骨を強くする運動を推奨されておられる方も多いと思います.
しかしそうしたことをしていてもやっぱりじりじりと進行していくというのが骨粗鬆症治療の現状ではないでしょうか.
それでは骨粗鬆症を予防する食事療法としては,今はどのような指導が行われているのでしょうか?
骨と言えばカルシウムですが,「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2011年版」によると,『骨粗鬆症の予防,治療を考えた場合には,700~800㎎のカルシウム摂取が望まれる.』とあります.
また『骨の健康を考える場合には,カルシウム以外にビタミンD,ビタミンK,そしてB群ビタミンなどの摂取も重要であり,基本的にはバランスの良い食事(多くの食品を摂取する)を心がけるようにするとよい.』ともっともらしいことが書かれています.
しかしこの文章には大事な視点が欠けていると私は思います.みなさん,どう思われますか?
すなわちここでの栄養指導は,「骨がもろくなっているからこの栄養素が足りない,だからこの栄養素を足さなければいけない」という,いわば「足し算の栄養学」なのです.
私個人的には,認知症を予防する食事療法についてもそうですが,何か画期的な栄養素を足して問題を解決しようとする方法だけではあまり効果がない印象を持っています.
一方で,「今の食事の中で骨の維持にとって有害な要素はないか?もしあればそれを取り除くべきである」という「引き算の栄養学」の発想が重要だと私は考えています.
それでは,骨の維持にとって有害な要素とは何か.それは「糖質の過剰摂取」です.
骨はセメントのように固まっているように見えて,実は造骨と破骨を繰り返され常に新しい骨に生まれ変わっています.つまり骨も生きているのです.
一方,糖質の頻回過剰摂取によるグルコーススパイクは全身の血流・代謝を乱します.
糖質の過剰摂取があると骨の生きた代謝が乱されて,骨の修復スピードが遅くなり,結果的に骨がもろくなっていくというわけです.
ところで,糖質制限をすることによって肌がすべすべになるというのは糖質制限実践者なら皆感じることだと思いますが,
その皮膚で起こっていることが,同じく骨でも起こっているのではないかと私は考えます.
つまりそのマイナスの部分をも取り除けば,骨粗鬆症が進行するのをかなり食い止めることができるし,さらに足し算の栄養学とも組み合わせれば,うまくいけば骨が強くなることさえ期待できると思います.
というわけで,本日は頸椎症と思われる患者さんにも糖質制限をお勧めした次第です.
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
お世話様です
私は、昨年まで脊柱管狭窄症で手術の一歩手前、連続で5分程度しか歩くことが痛みがひどく、歩くことができませんでした。糖質制限を始めて半年を過ぎるころから、痛みが減りいまでは、1日中歩けるまで、回復しました。これも糖質制限と関係あるのでしょうか。
それと指の関節や膝がはれて痛みがひどい症状も完全になくなりました。
糖質は、本当に必要でしょうか。
必須アミノ酸はあっても必須糖質ないですね。
今日のブログ友達も納得してました。
ありがとうございます。
最後にスーパー糖質制限9カ月ですが血圧が150.89前後から下がららず
特に朝が高いです。薬は必要でしょうか。ご指導ください。
患者でもないのにすみません。
私の場合の糖質制限
私の場合の話しですが、毎夏を乗り切るのが本当にきつくて、今までにビタミン類、にんにくサプリ、クエン酸、セサミン、栄養ドリンク類 いろいろ試しましたが、効果のほどは、う~ん??? 摂らなかったらもっと夏バテかも知れないが、わからんなあ、でした。
が、糖質制限をするようになって、夏も元気です。 夜に女子会などで多めの糖質を取ると、翌朝「ダル重っ!!」がテキメンです。とてもよくわかります。
私の場合は、メンタルと体調のコントロールにローカーボはとても重要です。
糖質を摂りすぎると、やる気がなくなるのと身体がだるくなるのです。これもテキメンです。
もっと早くこのことに気づいていればよかったなあと思います。
糖質をやめてみないとこのことはわかりません。今はある意味覚せい剤を打っているかのように(打ったことないけど想像)とっても元気です。
3食主食糖質の過去には、戻りたくありませんよ。
Re: お世話様です
いつもコメント頂き有難うございます。ブログ書く側といたしましては大変励みになります。
さて、腰部脊柱管狭窄症に糖質制限食が効いたという貴重な御報告有難うございます。
おそらく狭くなった脊柱管によって神経が圧迫されたために生じた足の症状であったと思われます。
もし糖質制限によって同時に減量ができているのならば、一つは減量によって物理的な圧迫がかかりにくくなった可能性が考えられます。
もう一つはケトン体の神経保護作用です。これにより痛みや腫れなどを来たす神経の炎症から身体が守られたのかもしれません。いずれにしても、改善してよかったですね。
私は血糖とインスリンは必要最小限必要だけど、わざわざ外部から糖質を意識的にとる必要はないと思っています。
血圧についてですが、今のスーパー糖質制限食が無理なく実践できているのであれば、あと1〜2年で落ち着いてくる可能性も十分あります。もうしばらく薬なしで様子をみてもよろしいのではないかと存じます。
Re: 私の場合の糖質制限
いつもコメント有難うございます。
そうですね。^_^夏バテも医学的な定義があいまいな状態ですが、この中の多くに糖質の関与がありそうですね。
ローカーボでメンタルが安定するという御報告も有難うございます。これは私も実感するところです。
おそらくケトン食のメカニズムでセロトニンが自然に賦活されるメカニズムが関係しているのだと思います。
私も糖質制限、これからもずっと続けていくつもりです。
2013年9月10日(火)の本ブログ記事
「ケトン食のメカニズムから見えること」
も御参照下さい。
夏バテの話しの続きです。
夏バテしやすいけど、今は覚せい剤を打っているかのように元気なエリスです。
私、実は、偏食があって、肉類がダメなのです。だから夏の食事は、冷麺(糖質)などが中心だったのです。それが夏バテの元凶だったと分析できます。
なぜこんなに夏に弱いのかよくわからないころにも、血液検査してもらっても、結果はオールAで、悪いとこなんてないんです。
前書いたように、元気の出るサプリは何でも試したけど、著効のものはなかったです。
家族には「気のせい」「なまけ病」と揶揄されてました。よく身体がきつくて横になってたりしましたから。
それで今度は秋になると、「夏の疲れが秋に出る」というやつで、秋は秋で疲れやすかったんです。これも今思うと、気候がよくなって食欲が戻ってくるから、米飯をはじめとする糖質がたくさん摂れたからだと思います。
私はきっと糖質制限して、セロトニン活性がとってもよくなるタイプなんだと思います。覚せい剤打っているかのようですから。拒食症の女性が、何も食べなくてもハイになるって、こういうことかも。これはこれで、気をつけなきゃいけませんね。
我が家だけで通じるワードで、
糖質を食べすぎてだるくなるのを「糖質負け」
明日は特に頑張らなきゃというときに特に意識して糖質を控えることを「勝負糖質制限」(←勝負服、勝負靴と同様に使います。) と、言います。
Re: 夏バテの話しの続きです。
いつもコメントを頂き有難うございます.
>夏バテしやすいけど、今は覚せい剤を打っているかのように元気
今エリスさんの本来の体調が前面に出ている状態なのでしょうね.
いわば今までの食事が鎮静剤を打たれていたようなものなのだと想像致します.身体にとって悪いものを抜くという「引き算の栄養学」の重要性を感じるお話です.
実際に症状があるのに,人(家族)に理解されない,理由がわからないというのは当人にとって本当に辛いことですよね.血液検査で異常が出ないというのもその事態に追い打ちをかけてしまいます.
こういう状態で無理解な医師に出会うと精神的な問題だ(抑うつ状態など)と診断されそうです.それで抗うつ薬など出された日には副作用なども出てたまったものではありませんので,皆さんもくれぐれもご注意下さい.
かくいう私も糖質制限を知るまでは,そういう患者さんと会うと「ストレスや疲れのせいでしょう」とわかったようなことを言いながら糖質入りの点滴をして様子をみていたと思いますが,今は違います.
今や原因不明の病気や状態の多くには糖質の過剰摂取が関わっている可能性が高いというように考えるようになりました.これからも患者さんを通じて検証していきたいと考えています.
ところで,「拒食症の女性が、何も食べなくてもハイになる」という現象には興味がありますね.ケトン体が出すぎてブーストがかかるような状態があるってことなのでしょうかね.
糖質制限と骨折
毎日ブログの更新を楽しみにしている58歳♀です。
スーパー糖質制限はまだ半年位ですが、とても好調です!
さて1週間前にバイクで転倒し肋骨骨折、左の膝下から脇腹にかけて強打しました。
制限前は肋骨ヒビで1ヶ月くらい痛みましたが、今回はテーピング4日間のみで回復したようです! 整形外科医もビックリです。
打撲も、皮下脂肪薄めの肘下を除き、ほとんど内出血の跡が出ませんでした。
やっぱり糖質制限すごい!!
何年も前のご投稿にn=1の例ですが、何かの参考になればと(嬉しかったし♪)コメントさせていただきました。(^-^)
長くなりましたが、先生のご投稿+みなさまの数々のコメントは、とても有り難い情報源です。
同じ記事を読み返しても、自分の「今」に合った内容がどこかに見つかります。
これからも更新を続けていただきたく、どうぞよろしくお願いいたします。
Re: 糖質制限と骨折
コメント頂き有難うございます。
糖質制限で全身の血流・代謝が改善するので、怪我からの回復に功を奏したのだと思います。良かったですね。
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