笑いは人を健康にする
2014/04/05 00:01:00 |
ふと思った事 |
コメント:6件
こないだある朝のニュース番組を見ていると、
新人の若い女性タレントが出ていて、司会者にチャームポイントを聞かれ、
「私のチャームポイントは笑顔です」
と答えていました。何気なく答えていましたが,これって素晴らしい事だと思います.
男女関わらずいつも笑顔でいられる人って素敵ですよね。
笑顔でいる人を見ていると、自分も幸せな気持ちになる事があります。
でもなかなか普段から笑顔を絶やさずにいるというのは、簡単なようで私にとってはとても難しい事です。
しかしこの「笑う」ということ、医学的にもとても大事なことです。
よく知られた話かもしれませんが、笑う事はリラックスを与える副交感神経の活動を優位にします。
またガン細胞をやっつけるために自然に備わった免疫細胞である「ナチュラルキラー細胞(NK細胞)」の働きを活性化します。
笑いはヒトを健康にするのです。
しかも、笑いの効果はそれだけにとどまらず、
近年は高血圧や糖尿病などの生活習慣病の改善にも有効である事がわかっています。
中には笑いで難病を克服した人もいます。
例えば、米国のジャーナリスト、ノーマン・カズンズ氏は強直性脊椎炎という膠原病を,「面白ビデオを10分間見て大笑いした後2時間ぐっすり眠るという行為を1週間続ける」という方法で克服したという事を著書に記しています。
本日はそんな笑いの医学的効果を示した以下の記事を紹介します。
笑う門には「健康」きたる 笑いが血圧や血糖値を下げる
糖尿病ネットワーク2014年01月06日記事より
(前略)
副腎皮質から分泌されるホルモンでストレスに関わるホルモンとされる「コルチゾール」や「アドレナリン」は、過度なストレスがかかると血液中に増える。不安やうつ、怒りに満ちた状態は精神的なストレスを高め、睡眠不足、たまった疲労は肉体的ストレスを生む。こうした状態が続くと体内ではストレスホルモンの分泌が促進される。
米ロマリンダ大学の研究で、笑うことでストレスホルモンの分泌が減ることが確かめられた。また、笑いによって脳内神経伝達物質の「セロトニン」の分泌も活性化する。これにより精神が安定し、うつ病などの発症を抑えやすくなる。
笑いが糖尿病患者のコレステロール値を改善
毎日の笑いは、糖尿病患者の血中コレステロール値の改善を助け、心臓発作のリスク低減にもつながるとの研究が、2009年の米国生理学会(APS)年次集会で発表された。
米ロマリンダ大学のリー ベルク博士(予防医療)らは、2型糖尿病で高血圧と高コレステロール血症のある成人患者20人(平均年齢50歳)を対象に実験を行った。参加した患者は糖尿病の治療を受け、降圧薬とコレステロール降下薬を服用していた。
参加者を、生活に積極的に笑いを取り込む笑い群と対照群に無作為に割り付けた。笑い群には、テレビのお笑い番組やビデオのコメディ映画などを自分で選び、毎日30分以上視聴するように指導した。通常の治療は、笑い群と対照群の両方に続けた。
12ヵ月後に、コレステロール値と心疾患との関連性が示される炎症マーカーであるC反応性タンパク(CRP)値を比較した。笑い群では善玉のHDLコレステロール値が26%増加しており、対照群の3%増に比べて有意な改善がみられた。CRP値も、笑い群では66%の低下に対して、対照群では26%の低下にとどまっていた。
「笑いは炎症性の刺激を抑え、善玉のコレストロールを増やし、結果として心臓病のリスクを減少するという結果になりました。笑いには健康維持や治療改善に効果がありますが、受けている治療に対する付加的効果もあると考えられます」と、ベルク博士は述べている。
「糖尿病や高血圧症は自己管理がつきまとう病気ですが、多くの患者はそれが原因でストレスに悩まされています。笑いには、ストレスを解消し、緊張をやわらげる作用があります。治療が長期にわたる疾患では、笑いを生活に取り入れて、ストレスをコントロールすることが大切です」(ベルク博士)。
(後略)
まるで糖質制限のように万能な効果を示す「笑い」ですが、
さすがに四六時中笑い転げているわけにはいかないので、
「笑う」という行為はストレスに対する臨時対応装置のようなものではないかと思うのです。
考えてみれば、病院というところはかなり笑いから縁遠い所です。
またたとえ診療中に笑わせようとするにしても、軽い雑談の中でのやりとりやジョークで笑わせる事はあっても。
ふざけたり、モノマネとかしたりしようものなら不謹慎だと捉えられかねません。
残念ながら日本はそういう文化だと思います。しかし本当は病院だろうとどこだろうと笑った方が健康にはいいのです。
今の医療体制で「笑い」を健康に取り入れようとした場合には病院から離れるのが一番かもしれません。
ただ日本にはまだそんなに普及していませんが、病院で笑いを提供する「臨床道化師(クリニクラウン)」という職業もあるようです。
いずれにしても「笑う」こと、おおいに大事にしていきたいですね。
たがしゅう
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
ラフターヨガ
<「ラフターヨガ(笑いヨガ)」は笑いとヨガの呼吸法を組み合わせたエクササイズです。笑うことで多くの酸素を自然に体に取り入れることで、心身共にすっきりし元気になることができます。だれでもすぐにでき、冗談、ユーモア、コメディーに頼らない「ただ笑うだけ」の画期的なエクササイズです。>
面白くなくてもただ笑っているだけで効果があるんだそうです。一度参加したことがありますが、結構なエクササイズになりましたよ。
<糖質制限+笑いヨガ>の会なんて楽しそうです。
Re: ラフターヨガ
貴重な情報を頂き有難うございます.
「笑い」と「ヨガ」の融合ですか.面白そうですね.どっちにも興味があるので一度やってみたいです.注目してみたいと思います.
No title
それだけで、健康になって、人間関係がうまくいくなら、
めっけものですね。
Re: No title
コメント頂き有難うございます.
そうなんですよね.笑顔も挨拶も気持ち次第で簡単に実行できます.
ただ簡単なようで難しい側面もありますが,できるだけ心がけたいものですね.
No title
神様が人間に与えてくださった贈り物という気がします。
私も辛い時、自分で切り替えが無理だと思ったら、笑える動画を見たりします。仕事が忙しい時は、同じように忙しい友だちと、そういう動画を送り(つけ)あったりしています(笑)
もっと辛くて、とても笑顔になんてなれないという時は泣くのもよいらしいです。笑いと涙は同じような効果があると聞いて、なるほどそうかもしれないと思いました。感情の開放ということでしょうか。医学的にはどうなのでしょうか。
Re: No title
コメント頂き有難うございます.
> もっと辛くて、とても笑顔になんてなれないという時は泣くのもよいらしいです。笑いと涙は同じような効果があると聞いて、なるほどそうかもしれないと思いました。感情の開放ということでしょうか。医学的にはどうなのでしょうか。
確かに,泣くこともストレス解消になりますものね.
ざっと調べてみると,泣く事でもACTH(副腎皮質刺激ホルモン)というストレス対応ホルモンが放出されるので,笑いと同様ストレスに対する臨時対応装置の側面がありそうです.
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