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片頭痛と気管支喘息の関連性
category - お勉強
2014/
03/
29片頭痛をお持ちの方は多いと思います.
片頭痛というのは原因のはっきりしない一次性頭痛の中の一つです.
平たく言えば体質的な頭痛で,典型的なものは脈打つような拍動性の痛みが4~72時間くらいの時間幅を持って続き,次第に痛みが治まるというものです.前兆を伴ったり,吐き気を伴ったりすることもあり,一般的にはかなり強い頭痛です.
肩こりやストレスが誘因で起こる緊張型頭痛に次いで二番目に多い一次性頭痛とされています.
ある調査では片頭痛の有病率は6.0%,疑い例を含むと日本全国に1000万人もの片頭痛の患者さんがいるという報告があります(Sakai F,Igarashi H.Prevalence of migraine in Japan : a nationwide survey. Cephalalgia. 1997 ; 17 : 15-22.)
そんな片頭痛ですが,実は背景に共通の病態の関与が想定される共存症(comorbidity)というものがあります.
片頭痛の共存症には心血管疾患やうつ病の他にも気管支喘息を含むアレルギー疾患があることが注目されてきています.
今回は片頭痛と気管支喘息を示した以下の論文を紹介します.
片頭痛というのは原因のはっきりしない一次性頭痛の中の一つです.
平たく言えば体質的な頭痛で,典型的なものは脈打つような拍動性の痛みが4~72時間くらいの時間幅を持って続き,次第に痛みが治まるというものです.前兆を伴ったり,吐き気を伴ったりすることもあり,一般的にはかなり強い頭痛です.
肩こりやストレスが誘因で起こる緊張型頭痛に次いで二番目に多い一次性頭痛とされています.
ある調査では片頭痛の有病率は6.0%,疑い例を含むと日本全国に1000万人もの片頭痛の患者さんがいるという報告があります(Sakai F,Igarashi H.Prevalence of migraine in Japan : a nationwide survey. Cephalalgia. 1997 ; 17 : 15-22.)
そんな片頭痛ですが,実は背景に共通の病態の関与が想定される共存症(comorbidity)というものがあります.
片頭痛の共存症には心血管疾患やうつ病の他にも気管支喘息を含むアレルギー疾患があることが注目されてきています.
今回は片頭痛と気管支喘息を示した以下の論文を紹介します.
気管支喘息と片頭痛の関連性について
小林威仁ら.日本頭痛学会誌, 40:429-433, 2014
要旨
気管支喘息を含むアレルギー疾患と片頭痛の共存症を認めた報告は多数認められる.
喘息の治療経過中に繰り返す片頭痛をきたす複数の患者を経験したので,喘息のコントロール状況と片頭痛の発作の間に関連があるか否かについて検討した.
片頭痛の喘息患者7名において,喘息のコントロール状況と頭痛の発症状況(性状,強さ,持続時間など)をレトロスペクティブ(後方視的)に検討した.
全例で喘息コントロール悪化時に頭痛の強さの増悪を認めた.
短時間作用型β刺激薬(SABA)の投与を受けた4人中2人は,頭痛症状が改善した.
以上,喘息の症状悪化に連動して頭痛の性状が悪化することが確認された.
片頭痛に糖質制限が有効である事は以前も本ブログで取り上げた事がありますが,
片頭痛と気管支喘息に共通の病態があり互いに関連があるという事であれば,
当然,気管支喘息に対しても糖質制限が有効であると考えます.
なぜ片頭痛に気管支喘息のようなアレルギー機序が関わるのかという理由としては,
Churshmannらはアレルギーに対抗する自律神経系の反応が不安定になるためだと主張しています(Churshmann H: Zur Frage der allergishen Migraine. Nervenarzt 4:71-75.1931).
また英語圏では気管支喘息は「肺の片頭痛」と記述されたこともあります(Tucker GF: Pulmonary migraine. Ann OtoRhinolLaryngol 86:671-676, 1977.).
しかしやっぱり私は糖質の過剰摂取とそれに伴う血糖の乱高下が両者の共通病態ではないかと考えます.
もっと言えば,同じく片頭痛の共存症である心血管疾患やうつ病にも同じ病態が関与していると考えられます.
また糖質制限をするとアレルギーが改善する一因には,おそらく脂質メディエーターの関与もあると思います.
というのは脂質メディエーターの中にはアレルギーを抑える系が存在するからです.ただ一方でアレルギーを起こす系もあります.
そのバランスが糖質制限をすることによってどのように整っていくのかという事に関しては私はまだ理解し損ねていますが,
糖質制限で気管支喘息が改善したという話も実際多く聞きますので,
理屈は後からついてくると思っています.
「片頭痛」と「気管支喘息」,一見全く別の病気に見えますが,
糖質制限の観点を持てば,実はこれらがつながっているという事がよくわかりますね.
たがしゅう
コメント
No title
しかし小食で身体はガリガリ、小学2年生には既に酷い冷え性&便秘症で、アレルギー性鼻炎とアトピーも発症していました。
大人になってからは20代で気管支喘息を発症、30代で偏頭痛も発症、更に謎の疲労感(倦怠感?)に悩む毎日。
・・・と、典型的な糖質依存者っぽい感じですね(苦笑)
現在、糖質制限を始めて約3ヶ月、ようやく3食糖質抜きに突入したところで、少しでも体質が変われば良いなと思っているところです。
でも子供の頃からの体質なので時間がかかりそうですよね。
まあ先生のブログも参考にしながらユルユリと頑張ってみます!
2014-03-29 23:48 ゆるママ URL 編集
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
現代は普通に食生活をしている限り、糖質の頻回過剰摂取にさらされます。
太ったり糖尿病になる事がクローズアップされがちですが、ゆるママさんのように糖質摂取でやせて健康を害する方も多くおられるということも確かなことですね。これが体質の違いによる糖質の多面的な害を反映していると思います。
> 現在、糖質制限を始めて約3ヶ月、ようやく3食糖質抜きに突入したところで、少しでも体質が変われば良いなと思っているところです。
> でも子供の頃からの体質なので時間がかかりそうですよね。
3食糖質抜きにすることで、きっと良い方向に行くと思います。また慣れれば3食糖質抜きの方が楽になると思います。
2013年9月17日(火)の本ブログ記事
「徐々にやめることの難しさ」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-22.html
も御参照下さい。
ただしやせ型の人は、しっかりとエネルギー(摂取量)を確保する事が大事のようです。制限することばかりに意識を向けすぎて、エネルギー不足にならないよう御注意下さい。
また間食(チーズやナッツ類)も多用することをおすすめいたします。
2014-03-30 07:21 たがしゅう URL 編集