痛みを知る事ができた医師
2014/03/17 00:01:00 |
自分のこと |
コメント:14件
「医者は病気を診るプロだ」と人は言います。
「医者に聞けば病気の事はなんだってわかる。だから医者の言う事を効いていれば間違いない」
そう思っている人も多いのではないでしょうか。
しかし私は自分が医者だからよくわかるのですが、
実は「医者はそんなに病気の事はよくわかっていない」のです。
いえ、もう少し正確に言うならば、
「医者は病気の知識はたくさん持っているけれど、病人としての経験は欠如している」ということです。 「患者さんが最高の教科書」という言葉があるのですが、これは
「患者さんは十人十色だから同じ病気でも症状の訴え方は様々、だから実際の患者さんから学ぶことは大きい」
という意味で捉えられる事が多いです。ただこの捉え方だけではまだ浅いと私は思います。
実際には「自分が病気になって初めて人の痛みがわかる」という意味も込められていると思います。
糖質制限を医師が推奨するか否かをめぐっては一つ特徴的な現象があります。
それは糖質制限推奨派の医師は皆糖質制限を実践していて、
糖質制限反対派の医師は皆糖質制限を実践していない、もしくは一時だけやっただけという人ばかりだということです。
注目すべきは糖質制限推奨派の医師の中で、糖質制限を自分でやったことがないという人は、私の知る限りただの一人もいないということです。
それは一体どういうことでしょうか。
要するに糖質制限推奨派の医師は皆、糖質制限をすることによって何らかの体調の改善を経験しているということであり、
言い換えれば、皆「患者の気持ちを理解できた」ということなのです。
痛みを知ってはじめて、人は優しくなれるのだと思います。
自分がいじめられた事があれば、いじめが良くないという事は痛いほどわかると思います。
糖尿病の治療だって同じ事です。多くの医師は、糖尿病の苦しみを知らないから、平気でカロリー制限などという極めて非効率で実践困難な指導をし続けているのです。
同様に人生で太った事のない医師が、「あなたの食生活は乱れている」と言って一体何がわかるというのでしょう。
健康な人ほど糖質制限の事はわかってくれないのも、痛みを知らないからです。
しかし一見健康に見える人も、
おそらく糖質制限をすることで何らかの体調の改善が得られると思います。
すなわち、糖質制限をすれば痛みを知ることができるかもしれないのです。
そういう意味で糖質制限推奨派の医師は「人の痛みがわかる医師」です。
今この過渡期において糖質制限を推奨してくれる医師の中に、
基本的に悪い人はいないと私は思います。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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変わることへのハードル
友人に10年以上うつ病を患っている子がいるんです。
私は彼女に「たがしゅう先生のブログを見て。糖質制限してみて」と何度も(友人をやめられそうになりながら)言ってきました。
前に、私では全く分からないリストカットのことを「どうしてリストカットをするの?痛くて嫌じゃないの?」と、率直に聞いてみたことがあるのです。
彼女は「私はこんなにつらい。このつらさを、わかってもらいたい。手首を切って死にたいと思うほど、私がつらいことをわかってもらいたい。」
というのです。
「誰にいちばんわかってもらいたいの?」
「主人」
彼女のだんなさまは、とてもやさしい方なのですが。
糖質制限を私が勧めたある時、「なぜ、糖質を控えるのがそんなに嫌なの?」と聞いたら
「ラーメンやうどんは大好き。やめられない。今、投薬して何とか現状維持で問題なく暮らしている。いまさらうまくいってる生活を変えたくない。」というのです。
そういうものなのだなあと、何となくわかるような気がしました。
Re: 変わることへのハードル
コメント頂き有難うございます。
お辛いですね。ご友人の言葉が象徴的するように「辛いのをわかってもらいたい」のですよね。
しかし一方でその辛い症状を緩和する術があってなお行動に移すことができない程、中毒性の問題は強固なのだということ、・・・やりきれない思いです。
すべてを解決する事はできないかもしれないけど、解決のための第一歩として糖質制限、是非ともやって頂きたいです。
No title
アレルギー性鼻炎にずーっと悩んでまして、経験上で言えば医師からすれば正直他人事なんですよね。薬を患部に塗るのが物凄い苦痛だろうとそれが業務だから仕方ない、レーザーで少し違うところを焼いても仕方ない。
糖質制限で完治してから思ったのですが、ああ、健康人ってのは病人の気持ちなんて全然わからんものだなと。なにせ自分自身がかつての自分のつらさを忘れてますから。患者の気持ちに寄り添うなんて嘘ですね、不可能ですから、いやそういう超能力者ももしかしたらいるかもしれませんけど。
糖質制限を批判する資格があるのは最低でも1年は続けた人だけでしょう。そのほかの人は車の免許を持ってないくせに助手席でうるさい人と同じですね。
百聞は一見にしかず
その友人には数か月前から糖質制限をすすめていたのですが、糖質が大好きで、なかなか重い腰が上がらなかったようです。でも、私がわずかな期間でどんどん健康になっていくのを目の当たりにして、やる気になってくれたようです。
百聞は一見にしかずのこの世界を、特に医師の方々にはぜひ実感していただきたいですね。
糖質制限を自ら実施して推奨されている医師にみなさんは、こちらの話しをしっかり聞いてくださる印象があります。
謙虚な気持ちがなければ、糖質制限をやってみようなんて思わないのかもしれません。
同じ痛み
ありがとうございます。
私が6年前、糖尿病のことを調べ始めた頃、
本を選ぶ際に基準にしたのは、
その本を書いた医師が糖尿病であるということでした。
やはり同じ痛みを持つ人の考えを聞きたいと思ったのかもしれませんね。
そして釜池先生や江部先生の御本に出会え、
糖質制限を知ることができました。
大変運が良かったと思います。
2型糖尿病&糖質制限歴約1年半、薬剤師のマユコデラックスと申します。
内科の隣の調剤薬局に勤めてますので、糖尿病の患者さんにも日々接しています。
今日も長年糖尿病を患い、カロリー制限で血糖とHbA1cがなかなか下がらず、困った様子の患者さんに糖質制限の情報提供を行いました。
ところが、その方が帰られた途端、薬局長が
『そういう話をしないで!
病院から苦情がきたら困るから!
ウチは極端な食事はすすめないから』と…。
ええっ、アナタは患者さんの健康より病院・医師との関係重視ですか⁉︎
確かに病院や医師に対する薬局の立場は弱いものです。
近隣の医師とトラブルを起こせばその薬剤師は他店舗へ転勤、ひどい時は解雇もありえます。
しかし、医療人として困ってる患者さんを目の前にして、そして何より私も同じ病気を患っている者として、ガイドライン通りの事だけ言って帰らせるなんて、私にはできませんでした。
確かに長期的な安全性はまだわからないけど、少なくともカロリー制限に比べたらよっぽど有効で生化学の理論にも適っているので、安全性も高いんじゃないかと思います。
その薬局長は以前
『どうにかして痩せたい』
と嘆いていたので糖質制限ダイエットの本を渡しましたが
『私には無理!』と、挑戦することもせず、お昼におにぎりと焼きそばを同時に食べたりしています。
薬局長曰く
『私は血糖値はむしろ低すぎなくらいだから!』
糖尿病なんて自分とは関係のないことだと思っているのでしょう。
恥ずかしいことですが、私自身も自分が糖尿病とわかるまでカロリー制限食に対する疑問を長年放置していました。
糖尿病になったのはショックでしたが、それによって自ら情報を集めて考える大切さを実感し、そして患者さんの気持ち・苦しみが本当の意味で分かるようになったと思います。
そういう意味では、医療人として、また人として成長できて良かったと思っています。
Re: No title
コメント頂き有難うございます.
> ああ、健康人ってのは病人の気持ちなんて全然わからんものだなと。なにせ自分自身がかつての自分のつらさを忘れてますから。
のど元過ぎれば熱さを忘れる,という事ですね.
確かに本当の意味で医者は患者の気持ちを理解することはできません.しかし,限界を知った上で理解しようとはし続けたいです.
> 車の免許を持ってないくせに助手席でうるさい人と同じですね。
わかりやすい例えです.
たった2,3回仮免許で運転しただけで,車の全てを語ってほしくないですものね.
Re: 百聞は一見にしかず
コメント頂き有難うございます.
百聞は一見にしかず,私もそう思います.
難しい事は考えず,まずはとりあえずやってみたらよいだけなのですけどね.肯定するにも否定するにも,話はそれからだと思います.
Re: 同じ痛み
コメント頂き有難うございます.
> 本を選ぶ際に基準にしたのは、
> その本を書いた医師が糖尿病であるということでした。
> やはり同じ痛みを持つ人の考えを聞きたいと思ったのかもしれませんね。
極めて大事な選定基準です.
どんなに高名な先生よりも,実体験を持った医師の言葉の方が説得力が大きいと私は思います.
Re: タイトルなし
貴重な経験をコメント頂き有難うございます.
患者さんより組織を守ろうとする医療関係者,いっぱいいるのが現状だと思います.
そういう状況の中,本当に大切な事を見失わないようにしていきたいですね.
> 糖尿病になったのはショックでしたが、それによって自ら情報を集めて考える大切さを実感し、そして患者さんの気持ち・苦しみが本当の意味で分かるようになったと思います。
> そういう意味では、医療人として、また人として成長できて良かったと思っています。
素晴らしいと思います.そして私もまた同じ思いです.
卒業シ-ズン真っ盛りですね。
只今、明日のお祝い会でクラスみんなで歌う
「ありがとうの花がさくよ」を卒業目前の息子と、声を張り上げ練習中です♪
この時期検索数がとたんに増える、おかあさんといっしょ発のこの歌、よろしかったらふと聴いてみてください。
意識するでもなく
糖質制限の輪が広まれ・・どんどん広まれ・・!♪♪と歌詞に願いをこめて
ウルウルきてしまうのは私だけでしょうか。(^^)/
Re: タイトルなし
コメント頂き有難うございます.
> 卒業シ-ズン真っ盛りですね。
そうですね.出会いと別れの季節です.私の職場でもこないだ送別会がありました.
「ありがとうの花」初めて聞きました.良い歌ですね.
とても大切なこと
同じ目の高さに立つということ
人の痛みが分かるということ
目の前に居る患者は、大勢居る患者のうちの一人ではなく、他に代えられない唯一の人だと思うこと・・・
かけがえのない人であること・・・
Re: とても大切なこと
コメント頂き有難うございます.
痛みを感じる経験は一見悪いことのように感じますが,「人の痛みがわかるようになった」という点では貴重な経験になります.
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