特殊な病気ではなく、環境適応パターンの個性だ

2023/07/13 11:15:01 | 主体的医療 | コメント:0件

しつこいようですが、「ホジキン病」という悪性腫瘍を切り口に、

私たちが「悪性腫瘍という病気」だと認識している「血液細胞中心の環境適応パターン」について熟考を続けます。

こうすることで仮にホジキン病だと言われても、特殊なことが起こっているわけではないのだと納得してもらい、

医師に言われるがままの治療方針を採用するのではなく、一旦立ち止まって自分の頭で考えられるようになるということは勿論、

あるいはホジキン病以外の他の病気であったとしてもこのような考察が当てはまり、自分で何とかすることができるかもしれないという希望を広めることを狙っています。

今回も前回に引き続き、医学部時代に私が使っていた比較的説明のわかりやすい参考書からの文章を引用します。



STEP内科〈2〉感染症・血液 (STEP Series) 単行本 – 1998/11/1
若林 芳久 (監修), 松岡 健


まず今回はホジキン病の初発症状として知られている「リンパ節腫脹」の項目から読み進めてみます。

(上記書籍p284より引用)

4) 症状
a) リンパ節腫脹

本症の初発症状となり、ほとんどがまず横隔膜より上部に出現します。

なかでも頸部リンパ節腫脹が最も多く、周囲との癒着もなく、痛みも伴いません(ただし、原因は不明ですが、アルコール摂取後にしばしば痛むケースがあります)。

リンパ節腫脹は隣接したリンパ節に次から次へと連続性に進展し、後述する非Hodgkinリンパ腫とは対照的です。

病勢が進行すれば横隔膜を越え、肝腫大や脾腫を伴うようになります。

なお、腹部リンパ節に初発し、横隔膜を越えて上行するケースもありますが、その頻度はかなり少ないとされています。

b) 全身症状

本症では、非Hodgkin病と異なり、全身症状を伴うことが多く、発熱、盗汗、体重減少、掻痒感などがしばしば認められます。

発熱は、典型的にはPel-Ebstein型として知られ、平熱期と高熱期を周期的に繰り返しますが、解熱薬を頻用する現在では典型例をみることが少なくなっています。

盗汗とは、汗を盗まれるように発汗することで、具体的には睡眠中に寝汗でびっしょりになって着替えなくてはならない状態などが挙げられます。

掻痒感は後述する病期分類の基準には含まれませんが、しばしば出現し、これもアルコール摂取後に強くなります。

(引用、ここまで)



まずなぜかホジキン病のリンパ節腫大はほとんどの場合、横隔膜より上、特に頸部リンパ節から始めるのだと言います。

これをホジキン病を原因不明の悪性腫瘍(せいぜい遺伝子損傷が原因で起こった悪性腫瘍)としてしか捉えられなかったら、

その横隔膜より上の頸部リンパ節で初発するというのも原因不明で、「ホジキン病はそういうもの」という暗記すべき特徴としてしか理解できなくなってしまいます。

しかしホジキン病を「血液細胞中心の環境適応パターン」の一部と捉え、

しかも血液細胞の中のリンパ球が細胞増殖性の環境適応パターンを呈しているという風に考えれば、

リンパ節腫大という現象は、リンパ球の細胞増殖性の環境適応の表現型そのものであり、その現象はリンパ球の主要な役割の一つである「自己」と「非自己」の区別、及び「非自己と認定したものの排除」です。

ということはそのリンパ節腫大は、異物と接触しやすい現場で一番起こりやすくなって然るべきだと考えることはできないでしょうか。

そうするとのどは食べ物がひっきりなしに入ってくるし、ほこりもチリも、あるいは細菌やウイルスなどの病原体(※これらを本当に病原体とみなすかどうかは一旦置いておいて)も入ってきたりしますから、

しかもホジキン病におけるリンパ球の環境適応は秩序の比較的保たれた細胞増殖性のパターンですから、

無秩序に全身で細胞変化が起こるのではなく、隣接した細胞やリンパ管を通じた隣接リンパ節や同質の臓器(脾臓、肝臓)へ連続的に細胞増殖性の環境適応パターンが伝わっていくことにも説明がつきます。

あとは稀にある腹部リンパ節腫大から初発するパターンをどう考えるかについてですが、

これについては想像の域を出ませんが、ホジキン病が男性に多いという疫学的特徴を踏まえますと、

例えばの話ですが、MSM(men who have sex with men:男性同性間性的接触者)の方の場合であれば、肛門性交などが異物との接触機会を増やし、腹部の炎症を引き起こしリンパ球の活動を活性化させる可能性もあります。

そのような出来事でなかったとしても、頸部でのリンパ球接触よりも稀でインパクトの強い異物接触(血液と直接接触すしうるような出来事)であれば、しかもそれが腹部に近い領域で起こるのであれば、理論上はホジキン病の初発のリンパ節腫大が腹部から起こったとしても不思議ではありません。

だからホジキン病を原因不明の悪性腫瘍と捉えるよりも、血液中のリンパ球が過剰に刺激され続けるという環境変化に適応しようとリンパ球が適応しようとしている一連の反応パターンの一過程と考えた方が合理的だと私は思います。


もう一つ気になる記載があったので続いて引用します。

(引き続き、p284-285より引用)

c)感染症の合併

後述するように、本症では細胞性免疫が低下するために、帯状疱疹などの合併がしばしばみられます。

5)検査

a) 末梢血

体力の消耗に伴って貧血を来すことがありますが、それほど著明なものではありません。ただし、なかには免疫機構の乱れを反映して、自己免疫性溶血性貧血を合併することがあります。

白血球数は増加から減少までさまざまですが、リンパ球はその数も白血球中に占める割合も低下しています(絶対的リンパ球減少症)。また、しばしば好酸球の増加がみられ、これはリンパ球が何らかの理由でIL-5を過剰分泌しているためと考えられています。

b) 生化学検査

全身症状の強い本症では、血沈の亢進、CRP値の上昇などの炎症所見が認められます。

白血球の崩壊を反映して、血清LDH値が上昇し、肝への進展によってALP値が上昇します。

しばしば血清Ca値の上昇も起こりますが、その原因はリンパ球が骨に浸潤することとPTH関連蛋白質(PTHrP)を分泌することが考えられています。

また、理由はよくわかりませんが、血清銅は上昇傾向にあります。

c)免疫学的検査

本症は、病勢が進行するに従って、細胞性免疫が侵されていきます。

したがって、ツベルクリン反応が陰性になります。T細胞系の機能を反映するPHA芽球様化試験も低下します。

他方、液性免疫は末期まで低下せず、血清γ-グロブリン値も正常のままです。

(引用、ここまで)



ここではホジキン病で環境適応しているリンパ球が、B細胞性リンパ球中心ではなくT細胞性リンパ球であるという様子がわかります。

なぜならば細胞性免疫を司っているのがT細胞性リンパ球ですし、ツベルクリン反応はT細胞性リンパ球の活動性を反映したものであるからです。

一方でホジキン病では細胞性免疫が低下した結果、帯状疱疹が発症するという記載もあります。

ここで一つ考えないといけないのは、帯状疱疹という現象は基本的に神経を通じて皮膚に起こった炎症だということです。

細胞性免疫が低下しているということは、T細胞性リンパ球の異物除去システムとしての活動が不活発だということを意味します。

であるならば、帯状疱疹のような皮膚や神経に炎症を引き起こす現象が起こるというのは矛盾があるのではないでしょうか。

一般的には帯状疱疹は、神経に潜伏した水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化が原因だとされています。

細胞性免疫がきちんと働いている状態にあれば、潜伏する水痘・帯状疱疹ウイルスが活動するのを防ぎ、帯状疱疹の発症を抑えていると考えられており、

その細胞性免疫による抑えが効かなくなると水痘・帯状疱疹ウイルスが暴れて帯状疱疹が引き起こされると考えられているのです。

ところがなぜか細胞性免疫は潜伏する水痘・帯状疱疹ウイルスを完全に排除せず、潜伏を許し続けているというところにまず違和感があります。

私の考えでは、ウイルスは病原体ではなく、「自己と非自己の中間的存在」だと受け止めています。

細胞性免疫、すなわち自己と非自己を判別し、非自己を排除するシステムは、このような「自己と非自己の中間的存在」に対しては、細胞性免疫の仕組みがうまく働いている状況では自己として受け入れるようになり、

細胞性免疫の仕組みがうまく働かないとき、言い換えれば身体全体にストレスがかかり、心身のシステム全体が過剰に駆動され続けているような状況では、「自己と非自己の中間的存在」を非自己として認識しこれを排除するように働きかけてしまいます。

すなわち、健康な時には味方だと捉え、身体の活動性が高まり過ぎた時には敵だと捉えて攻撃してしまうと、

そしてその傾向がさらに高まると、「自己と非自己の中間的存在」だけではなく、「自己」そのものも非自己として認識して攻撃してしまうという自己免疫疾患やサイトカインストームへとつながる流れが生み出されてしまいます。

つまり細胞性免疫の低下というのは、T細胞性リンパ球の働きが低下した状態のことではなく、

むしろT細胞性リンパ球の働きが過剰となり過ぎたために、本来の「自己と非自己を区別し、非自己を排除する」という本来果たすべき役割までも過剰となり過ぎてしまい、

結果的に
「非自己」だけではなく「自己と非自己の中間体」を攻撃したり、ひいては「自己」そのものでさえ攻撃してしまう状態へと導かれてしまう状態のことを指しているのだと思います。

ツベルクリン反応が陰性となることもその仮説を支持します。

以前、「ツベルクリン反応陰転化」について考察した際に、これはT細胞性リンパ球の過活動状態の末に働きが消耗疲弊してしまった状態だと示したからです。

ただそのT細胞性リンパ球の消耗疲弊状態というのが異物除去システムが起こせなくなった状態を意味するのではなく、

むしろ「自己的存在」や「自己そのもの」までをも異物として排除し続けてしまうような状態を意味していると考えれば、

細胞性免疫が低下した際に、帯状疱疹のような皮膚や神経における炎症が起こること、そして健康な時には攻撃しないはずのものを攻撃してしまう現象に説明がつくのではないかと思います。

そう言えばコロナ禍においても帯状疱疹が増加したのではというニュースが話題になったことがありました。

コロナワクチンは一つ帯状疱疹の増加へとつながる一つの要因であることは理論的に十分考えられます。

なぜならばコロナワクチン接種は本質的には強制的な異物接触行為であり、しかも血液中で異物と直接的に接触させられる以上はT細胞性リンパ球の過活動を誘発させられ、それが細胞性免疫の低下(機能のアンバランス)へつながり帯状疱疹を発症するというストーリーが合理的であるからです。

一方でコロナワクチン接種は帯状疱疹増加と関係ないという医学論文は探せば色々出てきますが、こういう論文には大抵利益相反や巧妙なトリック(例:ワクチン接種後2週間の最もワクチントラブルの起こりやすい時期を抗体がまだ上がっていないからという理由でワクチン接種時期としてカウントしない、など)があるので、そういうのは盲信せずに判断保留にしておくのが無難です。

ただ私が調べたところ、こちらのネット資料によりますと、2020年に帯状疱疹患者数が激増し、2021年に少し減り、2022年にさらに少し減る、でも2022年の帯状疱疹患者数は例年に比べるとものすごく多いというデータが示されています。

あくまでも診療所ベースの小さなデータではありますが、2020年〜2022年全国規模の帯状疱疹患者数データが見当たらない中で貴重なデータです。

もしもこの傾向が全国的にも当てはまるのだと仮定したら、少なくとも2020年の帯状疱疹の患者数の激増をコロナワクチンで説明することはできません。

一般的にはコロナ感染のせいで細胞性免疫が低下してという解釈をされることが多いと思いますが、

私はコロナは結局新型でも何でもなくて、コロナは「一般の風邪+不安・恐怖情報による修飾を受けた状態」だったと考えています。T細胞活性化症候群だという表現でまとめたこともあります。

何が原因であろうとも悪くなるべくして悪くなった人がコロナPCR検査によって症状との因果関係関係なしに「コロナで亡くなった」とラベリングされてしまい、コロナパンデミックが世界中で演出されてしまった状況だったと思うのです。

ということは2020年における帯状疱疹患者の急増の要因は、不安・恐怖情報による慢性持続性ストレスに伴う自律神経過剰刺激、言い換えれば「不安・恐怖で多くの人が帯状疱疹になるほどにT細胞性リンパ球の過活動を引き起こした」ということだったのではないかと思います。


私は今回の話を「ホジキン病だから細胞性免疫が低下する」などと理解してしまうと本質を見失ってしまうと考えています。

あるいはコロナワクチン接種後や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の特徴として帯状疱疹が発症しうるという理解もまたミスリーディングだと感じます。

人は異物と接触し続けたり、あるいは異物と接触するシステムが過剰に駆動されるような刺激を受け続けたら、

様々なシステムのオーバーヒートが起こってしまい、そのオーバーヒートがT細胞性リンパ球という血液細胞を中心に起こしてしまうパターンの人が、

中でもまだ比較的秩序の保たれている細胞増殖性の環境適応パターンで対応しようとしているタイプの方が「ホジキン病」と名付けられているだけであって、

あるいはそのオーバーヒートがT細胞性リンパ球を中心に引き起こされるのだけれど、次第に秩序が乱れて神経における自己と非自己の中間的存在までにも異物除去反応が駆動されてしまい、神経とそれが支配する皮膚領域にまで炎症が引き起こされてしまった段階のことを「帯状疱疹」と名付けられてしまっただけではないかと。

要は「ホジキン病」も「帯状疱疹」も、異物除去システムを司るT細胞性リンパ球中心の環境適応のグラデーションなのではないかという考えに至ることができます。

でもそれは初期条件の違いによっても変わってきて、同じようにT細胞性リンパ球を中心にオーバーヒートが起こるタイプの人であっても、消化管の自己細胞を中心に炎症を起こす人もいるだろうし、関節の自己細胞を中心に炎症を起こす人もいるであろうと思います。

それはその人がもともと持っている反応パターンの個性だとしか言いようがなく、別の病気でも何でもなくて本質的には同じ反応の違う表現型を意味しているだけではないかという気がします。


最後にT細胞性リンパ球のオーバーヒートが起こったとしても、末期まで液性免疫は低下せず、血清γ-グロブリン値が正常だという点にも注目したいと思います。

これは不完全ながら細胞増殖性の環境適応パターンをとっている「ホジキン病」タイプの人だからこその特徴なのかもしれませんが、

細胞増殖性の環境適応パターンは原則、隣接する細胞群でかつ自分と由来が近い細胞群には影響を与えますが、自分と場所や特徴が離れている別の細胞へは影響をもたらしません。

抗体産生系が中心の液性免疫を司るのはB細胞性リンパ球なので、そちらには影響が及ばないような環境適応パターンをとっているのだろうと思われます。

一方で他の細胞には影響が及ばずに過剰適応が起こっているということであれば、「ホジキン病」タイプの人ではT細胞性リンパ球中心のシステムに相当な負担がかかっているということが示唆されます。

その結果として、リンパ球の絶対数が減少し、減少したリンパ球でシステムを維持しようとするからオーバーヒートしてしまうのではないでしょうか。まるで5人で回していた飲食店が、2人で回さなければならなくなって、料理の提供が遅れたり会計ミスを多発したりする状況のようなものです。

さらには好酸球増多も、自己免疫性溶血性貧血の合併も、特定のシステムへの過剰負荷を反映している所見なのかもしれません。

ひょっとしたらチラッと書かれているPTH関連蛋白質(PTHrP:PTH-related protein)の分泌もシステムのオーバーヒートによって、好中球を作ろうとして不完全型の好酸球、IgG(IgG1)を作ろうとして不完全型のIgG4の流れとリンクしていて、PTH(副甲状腺ホルモン)を作ろうとして不完全型のPTHrPが作られてしまう、という流れがあるのかもしれません。

ちなみにPTHrPというのは一般的には悪性腫瘍があると分泌されやすい物質で、がん患者における高カルシウム血症の原因の一つとして知られています。これも本当は悪性の物質などではなく、単なる環境適応の結果ではないかとも解釈可能です。

そうならばやるべき対応はがんの排除ではなく、環境そのものや環境への適応方法の見直しということに変わってくるはずです。


他にも主体的医療の観点で捉え直すと見方が変わるポイントがたくさんあります。

例えば引用文の中でツベルクリン反応と並んでチラッと書かれている「PHA芽球様化試験」についても考察の余地があるのですが、長くなるしマニアック過ぎるので今回は控えておきます。もし機会があれば語れればと思います。

ともあれマニアックな内容で恐縮ですが、「ホジキン病」の人に限らず今回の話が、

一部の読者の方にとって「特別な病気に罹患した不幸な自分」というナラティブから、

「環境変化に必死に適応する自分の反応パターンの個性を知る」というナラティブに変わり、

ひいては「自分が最も居心地が良くなるように環境や適応方法を整えていく」という生成的な方向に変わっていくきっかけになれば嬉しいです。


たがしゅう
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