コロナの経口治療薬は使うべきではない
2022/08/11 12:00:00 |
よくないと思うこと |
コメント:2件
2021年12月24日に厚生労働省からの特例承認を受けた経口コロナ治療薬「モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)」ですが、
これまでは流通量の問題から特定の手続きを行なった医療機関でしか処方できない仕組みになっていましたが、
安定供給の見通しが経ったということで、2022年8月18日より薬価収載され、一般に流通するようになるとのニュースがありました。
気になる薬価は200mg1カプセルで2357.80円で、同剤は通常、1回4カプセルを1日2回、5日間の経口投与で用いるため、1日薬価は18,862.40円(2357.80円×8錠)にのぼります。
これはインフルエンザの薬として有名な「オセルタミビル(商品名:タミフル)」の1日薬価が500円程度であることを考えますと、恐ろしい値段の高さですが、コロナ診療は公費負担になるので患者にこの高さが実感されることはありません。
私はコロナにまつわっては、ワクチンの話もたいがいひどいと思っていますが、このコロナ治療薬の話も相当ひどいと思っています。端的に言ってそんな高いお金を払って手に入れるような価値はありません。
おそらく何も知らない多くの人達は「ようやくコロナの治療薬が国に承認された」くらいにしか思っていないかもしれませんので、このコロナ治療薬がいかにひどいものであるかを解説してみたいと思います。 実は今日の話は「ラゲブリオ」だけに限った問題ではないのですが、話をわかりやすくするために今回は「ラゲブリオ」の話にしぼります。抗ウイルス薬全般に対する私の見解は過去記事をご参照下さい。
ラゲブリオが特例承認を受けるきっかけになった医学論文を読んでみますと、次のような内容が書かれています。
こちらは「コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 8.0 版」から翻訳文の引用です。
日本国内の3 施設を含む20カ国,107施設で実施した多施設共同,プラセボ対照,ランダム化二重盲検試験.重症化リスクのある非重症 COVID-19 患者(目標症例数 1,550 例)の外来治療を対象にモルヌピラビル 800 mg またはプラセボを1日2回,5日間経口投与する群に1対1で無作為割付した.
目標症例数の50%が投与 29 日目を完了した時点で行うことと事前に計画されていた中間解析において,発症5日以内の治療開始で偽薬群(377 名)の重症化(ここでの重症化は投与開始後29日目までの入院と死亡)が53名(14.1%)に対し,治療群(385名)では28名(7.3%)と相対リスクが48%減少した(p=0.0012).
この結果を受け,中間解析以降の被験者登録が中止されたが,組み入れられたすべての被験者(1,433名)を対象とした解析の結果においては,発症5日以内の治療開始で偽薬群(699 名)の重症化が68名(9.7%)に対し,治療群(709名)では48名(6.8%)と,相対リスクが30%減少となった.
また、死亡例は治療群で1名(0.1%)に対して,プラセボ群では9名(1.3%)と治療群で少なかった.
要するにプラセボ群、つまり薬のように見せかけて何の薬効成分もないものを飲まされた群で発症後5日以内の重症化が9.7%起こったのに対して、ラゲブリオを飲むことでその確率を6.8%に下げたと、こういうわけです。
9.7%を6.8%に下げたって、そんなにインパクトのある数字に思えますか?私には誤差の範囲と言われても不思議ではないくらいの小さな差に思えます。
でもこれをエビデンス重視派の人は有意な差だと認識しますし、この下げ幅に注目(9.7-6.8/9.7=0.298≒30%)して「相対リスクが30%減少した!」などと強調して表現します。「ワクチン有効率95%」のカラクリと同じことをしています。
それでも少しでもコロナの重症化リスクを下げるのであれば、使った方がよいと思われるでしょうか。
そう思う前にもう2つ知っておいてほしい情報があります。まず上述の引用文には書かれていませんが、実はこの論文ではプラセボ群とラゲブリオ群との副作用を比較したデータも書かれています。
有害事象は,治療群で710人中216例(30.4%),プラセボ群で701人中231例(33.0%)報告された。
「なんだ、治療群の方が有害事象(副作用)は少ないじゃないか」と思われるかもしれませんが、私が言いたいのはそこではなく、「プラセボ群における有害事象の異様な多さ」です。
だってプラセボって何の薬効もない乳糖の塊のような薬なんですよ。なんでプラセボを飲んだ3割もの人が何らかの有害事象で悩まされてしまうのでしょう。
それってどんなプラセボ何だと思って、どんな物質がプラセボとして使われたのかを確認しようと論文を隅から隅まで読んでもプラセボの詳細情報は書かれていません。
というかプラセボや薬効成分以外の差は実薬と同じように作る必要がありますので、もしもプラセボでそんなにも副作用が出るのであればそれは実薬にも含まれているものでもあると考えるのが普通です。
それなのに実際には実薬の方がむしろ副作用が少ないという結果が導かれているということになれば、その時点でこの試験結果には恣意が入っている可能性が否定できないという話になってきます。
もう一つの問題は実は引用文の下の方に書かれている次の文章です。
動物での非臨床毒性試験において,胎児の体重減少,流産,奇形などの影響が報告されている.妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与しないこと.
これは読んだままです。要するにラゲブリオは動物実験で胎児の体重減少、流産、奇形の有害事象があることが実証されている薬だということです。
妊婦に投与して危険性のあるような薬が患者にとっても安全な薬であるはずがないでしょう。
論文上でも微々たる効果しかないし、その論文には疑わしい部分があるし、しかも毒性さえ確認済の薬なのに、
それなのにコロナの特効薬のように扱われて、決して安くないお金が費やされてこれから「ラゲブリオ」がどんどん処方されていくことになるかと思うと、私は苦しくてたまりません。
これを科学の暴走と言わずして、なんと言ったらよいのでしょうか。
それにしてもこの「ラゲブリオ」にしても、「タミフル」にしても、
なんで世界の医学者の叡智が結集させても、こんな効いているのか効いていないのかわからないような薬、しかも有害性は決して無視することのできない薬しか開発できないのでしょうか。
今後、薬の開発技術が進歩していけば、よりよい薬が出来上がっていくのでしょうか。
それは全て「ウイルスは病原体だ」とする「病原体病因論」で薬を開発しようとするからそうなってしまうのだと私は思うのです。
ウイルスが「自己と非自己の中間的存在」である以上、どこまで行ってもウイルスへの攻撃は自分自身への攻撃につながります。抗がん剤と全く同じ構造がそこにはあります。
だからこれははなから勝ち目のない試合、というよりも本来戦わなくてよい相手である自分自身と闘い続けて「あぁでもない」「こうでもない」と人類全体で苦悶しているような状況に私には思えます。
でもそれはある意味で仕方がないんです。ずっと今まで「病原体病因論」で考え続けてきたわけだから、それを変えるなんていうのは誰にとっても至難の業だと思います。
しかし私が苦しいのは、これだけバランスを欠いた薬が承認され、それによって自分達が苦しむかもしれないのに、
そのことが誰にも問題視されることなく、多額のお金が浪費されていき(私にとってはドブにお金を捨てる以上の愚行です)、
本来使うべきところにお金を回すことができなくなり、巡り巡って誰も幸せではなくなっていくこの状況に対して、
どれだけ叫んでも声が届いていかないということについてです。
正直、あきらめてもう何も言わないでおこうかとさえ思ってしまいます。
でも小さな声を上げてそれがなかなか届かないことと、何も声を上げないことはイコールではないと思います。
さぁ皆さん、考えてみましょう。これはあなたにもできる社会運動です。
風邪になってもむやみに病院にはかからないこと。かかったとしてもコロナの治療薬の処方を受けるのは断固拒否すること。
その選択が自分と社会にもたらす利益を是非考えてみてほしいのです。
まず病院にかからなければ医療費の節約にはなるでしょう。医療費の節約は税金の節約でもあり、浮いたお金が必要な人に届く可能性が上がります。
でもそれだけでは偽善にも聞こえるかもしれませんね。病院にかからないことでの個人のメリットももちろんあります。
病院に行かずに風邪を治すということは、言うまでもなく全て自分の力で治しているということです。
言い換えれば自分で治す力を鍛えるプロセスでもあるということです。これはかけがえのないプロセスです。
このプロセスを繰り返せばその経験は他の病気を治すときにもきっと活きてきます。
薬を飲み続ける高齢者の方々が、その果てにどのようになっていくか皆様は想像したことがありますでしょうか。
薬を言われた通りに飲み続けたその先に、ある日薬を飲まなくて良くなる日がくるでしょうか。答えはその逆です。薬を飲み続けたその先に薬を飲まなくてもよい状態になる高齢者を私は知りません。
なぜそのようになるかと言えば、薬を飲むことは自分で治す力を衰えさせるからです。薬を飲むことでしか現状を保てない状況にある人はもはや薬を飲み続けていくしかなくなってしまう構造があるのです。
もちろん全ての薬を飲むべきではないというつもりはありません。症状を和らげるなど短期的には服用のメリットがある薬であれば一時的に飲む意義はあると思います。
しかし「ラゲブリオ」に関して言えば、そのメリットさえありません。それどころか明確な毒性を身体に引き受けることになってしまいます。
コロナ治療薬を拒否する行為はそうした有害性から人体を守る行為です。妊婦にとってその意義はなおも大きいことは言うまでもありません。
そしてもう一つ、この選択は私たちが「病気には自分達自身が主体的に向き合っていく」ことを示す意思表示でもあるのです。
誰のせいにもしないし、何のせいにもしない、今自分の身に起こっているこの病気という状態は様々な要因が複雑に組み合わさって今この瞬間に起こっている現象なのだと、その現象が整うように自分は主体的に関わっていくのだと、
そういうメッセージを周りに発することで、医療が、暴走した科学に支配された社会が変わっていくことに一票を投じることができるわけです。
最後に私が「ラゲブリオ」を飲まないし、医師としても処方しない理由をまとめます。
・ラゲブリオ特例承認の医学論文によれば、ラゲブリオ内服により個人が受ける恩恵は個人で感じられないくらい小さい
・ラゲブリオ特例承認の医学論文には内容に怪しい部分(例:プラセボの有害性が高すぎる、など)がある
・ラゲブリオには動物実験で明確な毒性(胎児の体重減少、流産、奇形)がある
・ラゲブリオの薬価が非常に高い
そしてラゲブリオを拒否することが社会にとってどのように良いことかもまとめます。
・ラゲブリオを飲まないことで浮いた税金を必要な人のために回せる
・ラゲブリオを飲まないことで自分の病気を治す仕組みを鍛えることができるようになる
・ラゲブリオを飲まないことで毒性のある物質をむやみに身体に取り込まないようにすることができる
・ラゲブリオを飲まないことで自分の病気は自分の力(+周囲との総合力)で整えていくことができると社会にアピールすることができる
遠い道のりかもしれないけれど、
私のこうした社会活動に一人でも賛同者が増えて、
医療が、社会が良くなっていくことを願っています。
そのためにも小さな声を上げ続けていきたいと思います。
たがしゅう
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
たがしゅう先生のブログに私は毎度勇気づけられており、感謝でいっぱいです。
今後もよろしくお願いします。
Re: タイトルなし
コメント頂き有難うございます。
そのように行って頂けると報われます。
今後もできる範囲で微力を尽くして社会に貢献していきたいと思います。
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