インフルエンザウイルスが2年間発症者を出さずに生き延びられた真の理由
2022/06/16 12:50:00 |
医療ニュース |
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オーストラリアで直近2年間でほぼゼロで推移していたインフルエンザ患者が5月頃から急増しているというニュースがありました。
オーストラリアと言えば、ゼロコロナ政策を推進し、強権を発動してマスクしない市民を警察が逮捕するなどの権力の暴走していたイメージが個人的には強いですが、
2021年8月頃に国民の大半がコロナワクチンの2回目接種を完了したとのことで、その後緩和の方向に大きく舵を切り直したという背景があるそうです。
ゼロコロナ政策がうまく行ったのか否か、2021年11月頃まではコロナ患者の数はかなり少なく抑えてきていたようですが、2021年12月より急増し、ピーク時には1日のPCR検査陽性者数が10万人を超えるほどまで増えたそうです。
この数字はオーストラリアの人口が大体2500万人と日本の5分の1の数で、日本の2022年2月頃の第6波のピークで1日のPCR検査陽性者数が9万人程度だったことを考えますと、その数がいかに大きいかということを伺うことができます。
こういうところからも私はオーストラリアでワクチン政策がうまくいったとは到底思えない訳ですし、ゼロコロナ政策でコロナ患者が少なかったことさえ、国の強権が怖くて余程でない限り受診を控えていたが故に統計に反映されなかっただけではないかと思える訳です。
またこのPCR検査の陽性者も「コロナ(COVID-19)」だとは思わずに、単に「のどに炎症が起こっている人」と捉えれば、それぐらいの数いても決して不思議ではないようにも感じます。
そんな中で今回記事で取り上げたいのは、2年間観察されなかったインフルエンザについてです。この病気の元とされるインフルエンザウイルスはこの2年間、どこで何をしていたのでしょうか。 ウイルスの性質で基礎医学的に合意が得られているものとして「ウイルスは自律的に増殖することができない」というものがあります。
つまり「何か生きている細胞に感染していることでしかウイルスは生命活動を維持することはできない」ということです。
ということは、2年ぶりにインフルエンザが急増したということは、この2年間の間、インフルエンザウイルスは少なくともオーストラリア国内で人間に一切インフルエンザを発症させることなく、どこかの細胞の中で生き延び続けて、2年ぶりに人間に発症させ、しかも流行させることを叶えたということになります。
これはよくよく考えればとても変なことだと私は思います。
これまでの医学の考えでは、インフルエンザウイルスはヒト以外にもニワトリ、アヒル、ウズラ、ウマ、ブタ、イヌ、アザラシ、クジラなどの他の動物の細胞に感染し生きることができると言われています。
ということは、2年間の間はインフルエンザウイルスは必然的にヒト以外の他の動物の中で生き続けたと考えるしかないことになると思います。
しかしそれらの他の動物の中では、インフルエンザウイルスはインフルエンザを引き起こさずに済んでいたのでしょうか。鳥インフルエンザという概念もあるように、動物にもインフルエンザを発症させることがあることは確認済です。
その一方で「自然宿主」という概念もあります。動物種の中にはウイルスがいても全く症状を出さない、ウイルスがただそこにいるだけの状況を保つことができるという、ウイルスにとってとても都合のいい動物がいるという考え方です。
この「自然宿主」という概念がおかしいことは以前にも触れましたが、ここではもう一つ別の観点でこの概念のおかしさを説明したいと思います。
先ほど述べたようにウイルスは自律的には増殖できない生き物です。それゆえに「生物」であるかどうかも怪しいという見方もよく言われています。
もっと端的に言えば、ウイルスは「遺伝子がタンパク質の殻に包まれているだけの構造物」です。細菌のように棲息状況に合わせて酸や酵素を生み出すなどの自律的な臨機応変性などはなく、条件が整えば増殖し、条件が整わなければ増殖しない(死滅する)というだけの存在です。
そんな構造物が何かの動物細胞に感染したら、まず増殖活動は行われて然るべきだし、それが無制限に行われたら動物に異物として認識され、感染症として発症しても不思議ではないわけですが、
それが起こらないということは、動物側の方で増殖したウイルスを攻撃し死滅させるという免疫の異物除去システムが働いているということになります。
しかしこの異物除去システムが働きすぎると、ウイルスは完全に死滅してしまうことになります。従って、ウイルスが感染してその場で死滅されきることなく生き延びるためには、「ウイルスの増殖速度=宿主のウイルス攻撃効率」という絶妙にバランスが保たれた状況でしかありえないと思われます。
その絶妙にバランスの取れた状態が自然宿主だという見方もできるかもしれませんが、なぜそのようなウイルスと宿主のバランスが動物種によって決まるのかという点にまず疑問が出てきます。
例えばヒトにおいて、ヘルペスウイルスやB型肝炎ウイルスのような潜伏感染(キャリア)と呼ばれる状態も、あたかもウイルスからすれば自然宿主のような振る舞いをしている様に思いますが、
ヒトという動物種であれば常にバランスが保たれているかと言われればそういうわけではなく、同じヒトであっても疲労や抗がん剤など何らかの原因で免疫が低下したら、ウイルスが再活性化して発症することになるわけです。少なくとも「この動物だからこのウイルスにとっては自然宿主だ」という考え方には無理があるように感じています。
そう考えると、2年間のヒトにおけるインフルエンザ患者が不在だったのに、再びインフルエンザ患者が急増する事態は、従来理論で考えると非常につじつまが合わないのです。
2年間ヒトの中でインフルエンザが流行らなかった現象を「ウイルスの干渉現象」で説明する動きもあります。
「ウイルスの干渉現象」と呼ばれる現象についての疑義も以前私は記事にしましたが、もしそれが正しいと仮定したとしてもやはりおかしいです。なぜならば、インフルエンザが急増している今、オーストラリアではまだコロナ患者はたくさんいるからです。なぜ昨年はコロナによってインフルエンザウイルスは著しく干渉されたのに、今年はそれほど干渉されないのでしょうか。
動物の中で誰にも症状を起こさずに、しかも死滅せずに一定の数で感染状態であり続けることが難しい、そしてウイルスの干渉現象でも説明できないということになれば、一体いま起こっている現実をどのように説明できるのでしょうか。
私はウイルスを病原体のように扱うことをもはや止めるべきだと主張し続けています。
一言で言えばウイルスは単なる「外在遺伝子」だと捉えるべきだと思っています。
これはHPVワクチンへの疑念についての記事の時にも述べたことなのですが、ウイルスという病原体が自己細胞の仕組みを利用して病気を引き起こしているのではないのです。
ウイルスと呼ばれている「外在遺伝子」が、自己細胞と接触した際にその遺伝子との親和性があれば遺伝子の水平伝播が起こるし、親和性があればただそこにウイルス側の遺伝子が自己細胞に組み込まれただけの状態になるということです。
そう考えればウイルスの遺伝子は見つかるのに、ウイルス粒子がいくら探しても見つからない理由も説明できますし、細菌では感染巣(膿)と呼ばれる細菌(死骸)の塊が形成されるのに、ウイルスではいくら重症化してもウイルスの塊が出ることはないということも説明できます。
じゃあ自己に親和性がある遺伝子が組み込まれただけなのに、なぜまるで病原体が悪さをしているかのような症状が引き起こされるのかと言いますと、そこに自己免疫疾患的な病態プロセスが刺激される要素があるからだと私は思います。
つまり感染される側の動物の状態が整っていれば、ウイルス感染はただの遺伝子の水平伝播で済むだけですが、何らかの原因でその動物のシステムが自己細胞をも攻撃する方向へ傾いてしまっているとすれば、
自己細胞からの離れ具合が強い細胞、もしくは何らかのきっかけでターゲットだと認識されてしまった細胞を中心に自己細胞攻撃が始まることになります。この異物除去システムの暴走がいわゆる症状として現れていると私は考えます。
遺伝子の水平伝播が起こったばかりの自己細胞をシステムが乱れている人では異物だと認識してしまいやすいのかもしれませんし、組み込んだ遺伝子が何らかの非協調的なタンパク質(私たちが子ウイルスと認識している何か)を産生してしまうとそれを攻撃しすぎてしまうのかもしれません。
後者はウイルスが病原体的な振る舞いをしているように思えなくもないわけですが、この状況でさえ自己システムが落ち着いていれば、NK細胞などの異常自己パトロールシステムによって速やかにその遺伝子が伝播した自己細胞ごと死滅するように導かれるだけで平穏が保たれるはずです。
すなわち、実は私たちの世界で日々起こっている遺伝子の交換に伴う多少のいざこざに、私たちはその遺伝子の一部を検出する検査や遺伝子によって産生されるタンパク質の一部を検出する検査を使って、やれこの人は「コロナだ」とか、この人は「インフルエンザだ」などとラベリングしているだけなのではないかと思うのです。
だから、コロナが流行してインフルエンザがいなくなった様に見えたのも、「従来から一定数いる風邪様症状を呈する患者(遺伝子の水平伝播がうまくいかずに若干トラブルを起こした人)に対してコロナのラベルをつけることへ人間側の意識が偏ってしまったこと」が主要な原因ではないかと私は考えています。
でも少なくとも2021年からはインフルエンザとコロナの同時検査キットも使われたので、インフルエンザは検査の問題ではなく本当にいなかったのだという意見も聞きます。ただこの同時検査キットは高価で大きな病院以外はあまり普及していないという話も聞きます。またコロナ前に使っていたインフルエンザキットと同じものではないので、本当に今までと同じようにインフルエンザかどうかを調べられているのかについては疑いの余地があります。
これは私の予想ですが、おそらくインフルエンザやコロナ、あるいはライノウイルスとかRSウイルス、コクサッキーウイルスなどあらゆる風邪様症状をきたしうる感染症のそれぞれの数は年ごとに違う様に見えていたとしても、
「風邪症候群をきたした患者」の数で総計すればおそらくその数はコロナ禍前後で大差はないのではないかと見ています。これを調べたデータがないので何とも言えませんが、おそらくオーストラリアでは夏、日本では冬を中心に風邪症候群の患者が増え、季節の落ち着きと共に患者数は現象するというサイクルを繰り返しているだけで、
そのラベリングの仕方が異なっただけで、私たちにはあたかも例年とは全く違うことが起こっている様に見えているだけではないかと私は考えています。
少なくともそのように考えれば、ウイルスにまつわるあらゆる矛盾は解消されるように思うのです。
繰り返すようですが、私たちはすべきことはウイルスという名の外在遺伝子との接触を避けることではありません。
季節の変わり目になっても体調を崩さないように心身を整えることだと思います。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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