糖質への依存と認知症

2013/09/15 08:37:06 | 認知症 | コメント:0件

ピック病という病気があります。

認知症の原因の一つで、最近は前頭側頭型認知症(FTD)という呼ばれ方もします。

不機嫌、横柄、集中力がないという態度的な特徴や、盗癖などの反社会的行動、あるいは記憶を調べるテストでの質問の意味がわからなかったり、おうむ返しをしたりすることが多いとされ、認知症の原因疾患の中では比較的稀とされている病気です。

しかしコウノメソッド的には結構グレーゾーンや複合症例なども多いため、実感としては結構多くおられるのではないか、ということのようです。

そんなピック病の特徴の中に「病的に甘いものが好き」というものがあります。

これはもしや糖質依存のことではないか?と思い、私は普段日常診療の中で認知症の方、もしくは認知症が疑われる方へ「好きな食べ物を3つあげてみてください」という質問をしてみるようにしています。

これによってピック病に近い認知症の方は甘いものが3つ出てくるのではないのかな、というのが私の予想でした。

しかし実際は違っていました。

それは何度かその質問をしていてわかったことですが、実際に認知症になってしまっている人の多くは、「何だって好きです」とか「何でも食べます」とか、たとえ促しても特定の食べ物をおっしゃらなくなるのです。

ここで糖質依存ということを改めて考えなおしてみます。

今自分はかつて糖質依存症にかかっていたと自覚できますが、

それは糖質制限をしはじめて初めてわかったことでした。

それまでは米が大好きな人間でしたし、これからも米が好きな自分は変わらないと思っていました。しかし実際は糖質制限をすることで米への執着が速やかにとれました。

このことによって「米が大好き」と思っていた自分は作らされた自分だったということがわかったのです。

そして糖質への嗜好性が糖質の摂取により高められていくと、タバコをやめられない状態と同様にそれが強固なものとなり、徐々に脳の認知機能へ不可逆的な損傷を引き起こし、ひいては米が好き、甘いものが好きといった認識そのものすら消えていってしまうのではないか、と。

そう考えると、好きな食べ物は特にないと答える認知症患者さんに、少し恐ろしいものを感じます。

3つはともかく、好きな食べ物を一つも具体的に挙げることができない方は、もしかしたら高率に認知症であるという事があるのかもしれません。私の思い過ごしであればよいのですが…。


たがしゅう
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