「無害なウイルス」とは言い切れない

2021/12/23 17:00:00 | ワクチン熟考 | コメント:2件

日本でのコロナワクチン接種は「mRNAワクチン」というタイプの遺伝子ワクチンが使われることが主流で、

製薬会社のファイザー社とモデルナ社が開発したものがよく知られているわけですが、

もう一つのタイプの遺伝子ワクチンとして「ウイルスベクターワクチン」というものがあります。

アストラゼネカ社という製薬会社が開発し、商品名は「バキスゼブリア」と言います。

日本でも当初18歳以上に使用できるコロナワクチンとして緊急承認されましたが、稀ながら海外で使用された際に深刻な血栓症が発生したという報告を受けて、40歳以上の人に限って使用を認める方針に転換しています。

最終的に目的とするウイルスの抗原を作らせる遺伝子を人の身体に注入するという意味では共通しているのですが、

その運び方が「mRNAワクチン」が「脂質ナノ粒子」と呼ばれる内部に遺伝情報を包み込む微小球状構造物をポリエチレングリコールという化合物でさらに安定にしたものを用いている一方で、

ウイルスベクターワクチン」はその運び屋に「無害なウイルス」を用いている、という触れ込みになっています。

私はこの「無害なウイルス」という表現に非常に恣意性を感じています。

というのも、ウイルスが有害になるか無害になるかを決定するメカニズムはまだ明らかになっていないからです。 なんで「無害」だと言い切ることができるのでしょうか。

私は「ウイルスは自己と非自己の中間体」という視点でウイルスを捉えていますので、ウイルスそのものと接触しても異物除去反応が駆動されない状況がありうることは十分理解しています。

ですが、異物除去システムが駆動されるかどうかは、ウイルスの特徴によってのみ決まるのではなく、宿主の状況如何によっても変わってきます

ということは一見、「無害」と思える状況であっても、宿主の状態が変われば一転して「有害」になるということは大いに起こりえるという話になります。

ましてやそのウイルスが「自己」「非自己」認識の要となるリンパ球と直接接触するとなればなおさらです。

だから「無害」とされているウイルスを、血液とおおいに接触しうる筋肉注射で注入して入れ込む行為を、

大勢に行えば行うほど「無害」では済まなくなる事象がきっと現れるはずだと思っていました。

そう思って「ウイルスベクターワクチン」の開発経緯について調べてみると、おかしなことに気づきました。

国立感染症研究所 IASR(病原微生物検出情報)
新型コロナウイルスワクチンの国内導入にあたって―mRNAワクチンとウイルスベクターワクチンの基本
(IASR Vol. 42 p36-37: 2021年2月号)


(以下、一部引用)

ウイルスベクターは, もともと1990年代初頭に欠損遺伝子を導入する遺伝子治療のツールとして開発が始まり, 大きな期待を呼んだ。

しかし, 1999年にアデノウイルスベクターを使用した遺伝子導入治療の治験に参加していたオルニチントランスカルバミラーゼ欠損症罹患男性が, 接種4日後に死亡するという事例や,

2002年にはX連鎖重症複合免疫不全症に対してレトロウイルスベクターによりアデノシンデアミナーゼ遺伝子をex vivo導入した造血幹細胞を移入する治験において,

原疾患は治癒したものの, 遺伝子導入された細胞由来の白血病を発症した事例が報告され,

ウイルスベクターで起こる重大な副作用に対する懸念からウイルスベクター療法の実用化は進まなかった

しかし, これらの負の歴史を乗り越えて, 2019年に感染症に対するウイルスベクターワクチンとして初めて,

エボラウイルス病に対するrVSV-ZEBOV(VSV: 水疱性口内炎ウイルスをベクターとして使用)が欧米で承認されている。


ウイルスベクターワクチンの利点としては, 抗原タンパク質発現の安定性, 細胞傷害性T細胞応答誘導, アジュバントが必要ないこと, などが挙げられる。

しかし, 使用するウイルスベクターによっては, ヒトゲノムへのウイルスゲノム挿入変異による発がん, ウイルスベクターに対する既存免疫によるvaccine failure, ウイルスベクターそのものによる病原性, 低力価, などのハードルがある。

(引用、ここまで)



まず一番おかしいと思うのは、ウイルスベクターワクチンの安全性が確認されたのは2019年とごく最近だということです。

しかもその少し前までは、かなり重大な副反応をもたらしている、という始末です。発がんさえ引き起こされています

ところがそのようなウイルスベクターワクチンの問題点が「負の歴史を乗り越えて」という一言で、無事に解決したような書き方がなされています。

しかしその理由はここに書かれていませんし、引用文献らしきものを参照しますが、そこに無害化されることになったメカニズムは表記されていませんでした。

で、実際には「ウイルスベクターワクチン」の血栓症を中心とした副反応が世界的な問題となってきているわけですから、一体何をもって「負の歴史を乗り越えた」のか全く理解できません。

また、「ウイルスベクターワクチン」のメリットに「アジュバントが必要ないこと」、とも書かれています。

一般的にアジュバントというのは、ワクチンにおいて抗体を作る免疫反応を眺めに惹起させるためにわざと入れ込まれた除去されにくい異物のことですが、

病原体そのものを入れる「生ワクチン」であれば必然的な炎症が引き起こされることからアジュバントは必要とされず、病原体の一部を用いる「不活化ワクチン」では単独では十分な炎症が起こらないのでアジュバントが必要とされるという特徴があります。

「mRNAワクチン」で用いるmRNAは厳密には病原体の一部ではありませんが、不活化ワクチンに近い発想で、抗体を作らせるために長めに炎症を起こし続ける必要があるので、ポリエチレングリコールやポリソルベートというアジュバントが用いられています。

一方の「ウイルスベクターワクチン」は、ウイルスそのものを使うという点で「生ワクチン」に近いので、「アジュバントが必要ない」というのは理解できるのですが、

このアストラゼネカ社のバキスゼブリアには、ちゃんとポリソルベートというアジュバントが含まれています

想像でしかありませんが、おそらくアジュバントを入れないと十分な抗体が産生されなかったのではないかと推察されます。

さらにバキスゼブリアの添付文書を細かく確認していきますと、いろいろ引っかかることが書いています。

例えば、有効性を確認するための臨床試験のデータが載せられていますが、

緊急承認ということもあって、国内の臨床試験は第1相試験(動物実験)/第2相試験(少人数の実証実験)しか行われておらず、大人数で有効性を検討する第3相試験は海外の論文を使用しています。

で、日本の第1/2相試験でのワクチン接種群(バキスゼブリア)が192名であるのに対し、プラセボ対照群(生理食塩水)は62名とおよそ3分の1の人数しかいません

これだとプラセボ群では1名有害事象が出たら、ワクチン接種群に比べて3倍パーセンテージの数値が上がりやすいことになり、フェアではありません。普通同数程度で比較するものですが、なぜそのようになっているかの理由が不明です。

また副反応の中に発熱とあり、これもワクチン接種群とプラセボ対照群とで比較されていて、前者は9.9%、後者は0%となっています。

なるほど、少しだけ発熱が出る人がいるけど概ね問題ないんだな」という印象を持つかもしれませんが、

よくみると発熱のところに小さな字で注釈が書いてあって、「37.9℃以上」と書かれているのです。

ということは発熱があっても37.8℃以下であれば、「発熱なし」とカウントされているということであり、この辺りは実情を反映しているとは言い難い基準に思えます。

モデルナ社のmRNAワクチンの接種業務に従事していた時に、1回目接種後の発熱はかなり高頻度で認められた現象でした。

それならばアストラゼネカ社のウイルスベクターワクチンでも同じようなことが起こっていて然るべきですが、この臨床データだとその辺りの実情が巧妙に隠されているように感じてしまいます。

けれど承認する側の政府は、「とにかく早くワクチンを確保したい」との思惑で、その辺りのトリックに気づくことなく、欧米でのデータを盲信して次々と緊急承認してしまっている始末です。

この不自然さには真摯に向き合わなければならないと私は思います。

このワクチンはそこまでしないと有効だと見せることができないワクチンだという可能性を示しています。


たがしゅう
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コメント

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2021/12/28(火) 15:53:14 | | #
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Re: 本読みました

2021/12/30(木) 09:02:02 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
neko さん

 コメント頂き有難うございます。

 本場フィンランドのオープンダイアローガーの方々から聞いた話では、身の危険を感じるような状況になったら、無理に「対話」を続けず、一旦警備員的な人に介入してもらいその場の制止を図ることもあるそうです。

 そういう場面もある以上、「対話」はどんな時でも継続されるべき根本原理のようなものではないと私は解釈しています。逆に言えば、だからこそ「対話」とは人間が社会の中でうまくやっていくための人為的な工夫だと私は考えています。

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