HPVはウイルスではなく「がん遺伝子」

2021/12/09 11:00:00 | ウイルス再考 | コメント:2件

前回、「HPV(ヒトパピローマウイルス)は本当に子宮頸がんの真の原因だろうか」という私の疑問を提示しましたが、

ここからしばらくの回は、なぜ私がそう思うのかについてもう少し深く掘り下げていきたいと思います。

その際、なるべく視点に説得力を持たせるために、客観的な事実や論理的な矛盾をもとに説明していくつもりです。

ではまず今回は「子宮頸がんの病理組織からはHPVウイルスの子ウイルス粒子が検出されない」という点について深めていきます。

HPVに関する基本的な性質を確認するのに、先日来紹介しているこびナビ副代表の木下ドクターの著書がわかりやすくまとめられていて便利なので、

まずはHPVの基本的特徴と、これがなぜ子宮頸がんの原因ウイルスだと解釈されるに至ったかの歴史的経緯について書かれている箇所を少し引用するところからはじめたいと思います。

みんなで知ろう! 新型コロナワクチンとHPVワクチンの大切な話 単行本(ソフトカバー) – 2021/11/26
木下 喬弘 (著)


(以下、p68-72より引用)

HPVは、新型コロナウイルスのように急性の感染症を引き起こすウイルスとは、生活のスタイルが大きく異なります。

新型コロナウイルスは、大量の子孫を産生しながら次の標的に感染し、数週間のうちに免疫システムに認識され、治癒・排除されます。

一方、HPVは、数ヶ月から数年間、時には生涯に渡って感染を維持する「持続感染」が特徴として挙げられます。

感染した細胞を破壊したり、大量のウイルスを体内に放出する「ウイルス血症」を起こしたりもしません。

このため、身体の中で炎症を引き起こすことがなく、免疫細胞を刺激しにくいという特徴があります。自分の棲み家となるヒトとむやみに争ったり、負担をかけたりする症状を出さないこと、ヒトの免疫システムから上手に隠れることが、HPVの生存戦略における成功の秘訣なわけです。

(中略)

1976年ドイツのウイルス学者ハラルド・ツア・ハウゼン博士は、良性のHPV感染症である「尖圭コンジローマ」がごく稀にヒト性器がんに進行することから、「HPVが子宮頸がんの原因となるのではないか」という仮説を発表しました。

(中略)

子宮頸がんウイルス発がん説の問題点は、子宮頸がんの組織からウイルスが発見されないことでした。尖圭コンジローマにはHPVのウイルス粒子がたくさん見つかるのですが、子宮頸がんからはウイルス粒子が見つけられないのです。

博士は、これはウイルスの量が少ないからだと考えました。このため、当時の最新の分子生物学的手法を用いて、直接ウイルスを探すのではなく、ウイルスDNAの検出を試みることにしたのです。

この手法は、患者から取り出した組織の中にある、ウイルスのDNA配列を検出できるというものです。

ツア・ハウゼン博士は、尖圭コンジローマから発見された『6型』のHPVが子宮頸がんの原因であると仮説を立て、子宮頸がんの患者の組織からHPV6型の検出を試みます。

しかしHPV6型のDNAは、子宮頸がんのサンプルからは検出されませんでした。

(中略)

再発性軌道乳頭腫症という気道にイボができる病気から、『6型』に似ている『11型』のHPVを発見します。

そして1982年になって、ついに『11型』に似ている新しいHPVを、子宮頸がんの組織から発見したのです。

のちに『16型』のHPVとして知られるこの新型HPVは、6割の子宮頸がんから検出されること、良性のイボからは検出されないことが大きな特徴です。

さらに詳しく調べていくことで、新しい『18型』のHPVも子宮頸がんに関与していることがわかりました。ツア・ハウゼン博士の発見以降、無数の科学者が研究を続け、HPV感染が子宮頸がんを起こすメカニズムが詳しく解明されることになりました。

(引用、ここまで)



ここの文章を読むと、「なるほどHPVというのは子宮頸部の細胞に巧妙に隠れているウイルスで、一人の優秀な科学者がこだわり抜いてその隠れたウイルスを見つけ出し、それが子宮頸がんの原因ウイルスであると証明する偉業を成し遂げたのか・・・」という印象を持つ方も多いかもしれません。

ただ、ここで間違ってはいけないのは、ツア・ハウゼン博士が子宮頸がん組織から発見したのはウイルス粒子ではなく、「ウイルスDNA」だということです。

そしてどれだけ頑張ってもウイルス粒子は未だに子宮頸がん組織から確認できていないということが私はやはり気になります。

HPVがウイルスである以上、たとえどれだけ巧妙であろうと、細胞に組み込まれ、増殖し、子ウイルスを産生するというサイクルは行われていないとおかしいです。それがウイルスの生命活動そのものであるからです。

もしもウイルスのDNAは存在するけれども、子ウイルスを一切産生しないのだとすれば、それはもう生きたウイルスというよりは単にヒトDNAに組み込まれたただの外部遺伝子です。

ここでふと気づきました。ひょっとしたらHPVはウイルスではなく、ただの「がん遺伝子」なのではないかと。

仮にHPVを「がん遺伝子」だと仮定しますと、何らかの手段で子宮頸部に組み込まれたその「がん遺伝子」は、普段は「がん抑制遺伝子」との共存によってただそこにいるだけの状態を保ちます。

ただそこにいるだけなので、その遺伝子が増殖されることはありませんので、当然子ウイルスの粒子など産生されることはありません。

それならば、「数ヶ月から数年間、時には生涯に渡って感染し続けている」と解釈されていても不思議ではないわけです。

しかし「がん遺伝子」なので、何らかの刺激でこれが発現した場合、細胞のがん化が起こります。この時もあくまで「がん遺伝子」の発現によって引き起こされている現象なので、どれだけがんが増殖しても、いつまで経っても子ウイルス粒子が観察されることはありません。

そう考えると、ツア・ハウゼン博士がどれだけ頑張っても、子宮頸がん組織からウイルス粒子を検出できなかったことにも説明がつくのではないでしょうか。

ただ、そうなると木下ドクターが書かれている「尖圭コンジローマにはHPVのウイルス粒子がたくさん見つかる」と書かれている部分が矛盾します。病変部からウイルス粒子が確認できるのであればそれは明らかにウイルスのふるまいです。やっぱりHPVはウイルスだという話になります。

しかし最新の分子生物学的手法を用いても未だに子宮頸がん組織から検出できないウイルス粒子を、尖圭コンジローマではどうやって検出しているのであろうかということが気になって、尖圭コンジローマの組織でどうやってHPVが確認されているのかを調べてみました。

そうすると、実は尖圭コンジローマの組織では直接ウイルス粒子が確認されているわけではなく、ウイルスの核内増殖によってもたらされているとされる「コイロサイトーシス(Koilocytosis)」と呼ばれる核周囲の空胞、核腫大、核形不整などによって特徴づけられれる細胞変化が確認されているようだとわかりました。

要するに「尖圭コンジローマの組織からもウイルス粒子が直接検出されているわけではない」ということです。

なぜ「コイロサイトーシス」がHPV感染の証明のように扱われているのかと言いますと、「HPV DNA を構成する E4 という領域がコードする蛋白がウイルス粒子を放出するために 細胞質のケラチンネットワークを破壊した結果、空胞が形成される」ということがわかっているからだそうです。

一方で「コイロサイトーシス」はHPVに感染している子宮頸がん患者の30〜50%にも認められる所見です。「コイロサイトーシス」がHPVの存在証明になるのであれば、子宮頸がん組織を調べてウイルス粒子が一向に見つからない事実はやはり不自然です。

となると、子ウイルスの増殖によってコイロサイトーシスが引き起こされるという解釈自体が間違っている可能性が考えられます。これもHPVという「がん遺伝子」の発現によって細胞が無秩序増殖し、核が変形すると考えれば、子ウイルス粒子が一向に見つからない事実を説明可能です。

ところでHPVのウイルスは正二十面体の形をしていると言われています。私はこのことにも強烈な違和感を覚えます。


(画像はWikipediaより引用)

何故、不完全な生物と称されることがあるとは言え、自然界に存在する生物様物質であるウイルスはかくも人工的な幾何学図形のような形をしているのかと。

これもHPVを「がん遺伝子」及びこれによって産生されるタンパク質の集合体だと考えれば、

これが自ら粒子構造を作るわけではなく、そうしたものを人為的に取り出すことで、物理学的な安定構造を保つよう分子間引力などの物理法則に従った結果、正二十面体構造をとることがあると考えた方が自然であるように思います。

では、「HPVが性交渉によって感染する」という事象はどうでしょうか。これはあたかもウイルス粒子が伝わって病気が引き起こされているという印象を与える事象だと思います。

ところがこれも前記事で示しましたように、もしもウイルス粒子の伝達によって子宮頸がんが引き起こされるのであれば、HPV保有者のごく一部にしか子宮頸がんが発生しないという事実がまず不自然です。

それにウイルス粒子の伝達で引き起こされるのであれば、母子感染もありうるHPVで10代女子にも子宮頸がんが発生していないとおかしいです。しかし実際には性交渉可能な年齢以降の女性で子宮頸がんが発生しています。

若くて免疫力が高いからHPVがいてもがんにならないという説明では無理がありますね。20代という十分若い世代では発生しているわけですから、20代で発生するのに10代で発生しない理由が若さでは説明しきれません。

一方で性交渉可能な年齢に患者が集中発生しているからこそ性交渉が原因だと思ってしまうわけですが、例えば性交渉によって伝わったウイルス粒子が原因なのではなくて、性交渉に伴う物理的な刺激で細胞のがん化が引き起こされやすくなると考えてみるのはどうでしょうか。

子宮頸部の細胞にはHPVと呼ばれる「がん遺伝子」がかなりの頻度で組み込まれていますが、それは普段は別に悪さをすることなくその細胞の中で静かに居座っています。

しかしその細胞に何らかのストレスがかかり続けると、普段はおとなしいその「がん遺伝子」が発現し、細胞のがん化によって環境適応しようとします。

この「細胞のがん化で環境適応しようとする」という表現を初見の方は意味がわからないかもしれませんが、それについてはこちらの私のブログ過去記事を参考にしてもらえればと思います。

ともあれ、細胞をがん化させるストレスとして子宮頸部に限局して物理的刺激を与えうる性交渉の在り方が大きく影響しているのではないかと考えてみるのはどうでしょうか。

そうすれば子宮頸がんがHPVがすでにいるはずの10代女性にほとんど発生しない理由、性交渉可能年齢になって以降で子宮頸がんが発生する理由も説明できるのではないでしょうか。

なお、「がん遺伝子」という表現にネガティブな印象を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、

私は「がん遺伝子」は生命活動における意義があって組み込まれているシステムの一部だろうと考えています。

「がん」という難治の病気を引き起こす、しかもいつ爆発するかわからないような時限爆弾のような遺伝子を、人類のデフォルトシステムとして備えているとは私にはどうも思えないのです。

そう考えると「がん」も「ウイルス」も実は味方であるという従来医学にない視点が見えてこないでしょうか。

ただそうするとHPVがウイルスだという前提で設計された「HPVワクチンが子宮頸がんの予防に明らかに有効だ」とする種々の医学論文についてはどうなんだという話になってきます。

ここにおいても94-95%の有効率だというコロナワクチンがこれだけ理論と乖離した現実をもたらしたのですから、

そのことも教訓にして、決して医学論文の結論を鵜呑みにすることなく、

はたしてそこに誤解や勘違いの余地がないのかどうか、

次回はその点について冷静に見ていこうと思います。


たがしゅう
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コメント

2021/12/10(金) 20:47:37 | URL | タヌパパ #-
たがしゅう先生

 コロナと子宮頸癌のワクチンを比べる場合、まずは元となる病気の危険性を考えることが重要だと思います。
 そして、両者のワクチンとも「論理的な有効性が明確でないとしても、疫学的に有効と見なされる」と仮定したします。実際に、現状ではそう見えます。
この場合、若くして免疫機構が正常と考えられる女性ならば、コロナのような危険性の低いウィルスのワクチンを打つ必要は無いと思いますが、(そこまで考えたうえで)子宮頸癌(という怖い病気)のワクチンを打つと判断されたならば、その判断が正しい(尊重されるべき)と思います。

Re: タイトルなし

2021/12/10(金) 21:24:28 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
タヌパパ さん

 コメント頂き有難うございます。

 そうですね。私もいろいろ考えられて子宮頸がんワクチンを打つ判断された方の決断は尊重します。
 あくまでも私の子宮頸がんワクチンへの考えを提示しているものであって、子宮頸がんワクチンを受けた人を責めたい気持ちは毛頭ありません。

 一方で「疫学的に有効と見なされる」という部分が問題を複雑化させている大きな問題だとも思っています。
 以前から疫学研究結果は、平均化されかつ恣意性の入り込む余地のある観測結果をあたかも揺るがしようのない事実のように発表されている節があると感じていました。コロナワクチンの疫学研究結果も事実と乖離しましたし、糖質制限にまつわる疫学研究でも同様の乖離が見られたので、論文を精査し当ブログで幾度となくトリックがあることを指摘して参りました。今回の子宮頸がんワクチン関係の論文にもどうやらトリックがありそうだと私はにらんでいます。

 だから子宮頸がんワクチンというものを、今よりも多面的に見られるようになるためにも私が気づいた視点をこのブログで公開していくつもりです。

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