不自然さが中毒性を作るのか
2014/03/01 00:01:00 |
素朴な疑問 |
コメント:6件
糖質制限を知ってからというもの、
「脂肪」に対しての私のイメージがガラリと変わりました。
「脂肪」、すなわち栄養学的にみた「脂質」は、人体にとっての基本的なエネルギー源です。
心臓は常に働き続けるために安定的なエネルギー供給を受けられるように脂肪分解から得られるケトン体を動力源としていますし、
赤血球以外ほとんどの細胞・臓器がケトン体をエネルギー源として利用することができます。
そして余った脂質は中性脂肪や皮下脂肪という形で大量かつ効率的に貯蓄することまでできるわけです。
そんな基本的なものにもしも中毒性があっては困ると私は思います。 もしも生物が利用する基本的なエネルギー源に中毒性があると仮定したら、
その生物はおしなべて中毒の虜となり、集団生命活動として成立しないように思います。
一方、中毒性があるものにはどんなものがあるかを振りかえってみると、一言で言えば「体にとって不自然なもの」と言えるような気がします。
例えば、アルコールで気分が高揚したり、カフェインで目が冴えたり、糖質で幸福感が引き起こされたり、というような事も起こりますが、
何か必然性があって起こった感情なら自然ですが、これらの物質は脳に作用して、よくも悪くも不自然に感情が左右されてしまいます。
そう考えると糖質に中毒性があるということは糖質が身体に不自然なものであるという事を示しているのではないかと思えます。
時々「脂肪に中毒性がある」という意見を耳にする事がありますが、
そういった理由からは私はその意見には賛同しかねます。
こう言うと「自然のものが一番良い」という考えに行き着きそうですが、そうとも言い切れないと私は考えます。
なぜならば、自然界に存在するものでも危険なものはあるからです。
自然なものは基本的なものではありますが、安全が保証されていると同義ではありません。
食べるという行為は、言って見れば自然界に存在する自分とは違うものを身体に取り込んで利用する行為です。異物を取り込むという意味で「食べる事はリスクを負う事」でもあります。
人類誕生に始まり、海のものとも山のものともわからぬ得体のしれないものを取り込み続けてきた長い時代を経て、
人体は食べる事で負うリスクを最小限にする安全なシステムを作り上げてきました。それが今のヒトの代謝システムです。
従って基本的に自然にあるものに対応する事を前提に作られたシステムだから、自然のもので悪影響を受ける確率が低いだけで、「自然のものは安全だ」とする思想はまた盲目的である意味危険だと思います。
またもっと言えば、たとえ基本的エネルギーである脂質であっても、酸化されたり合成されたりすると不自然なものに変化するわけなのでこの点にも注意を要します。
自然を盲信することなく、しかし自然を参考に理想的な状態を目指すという生き方に
私の気持ちは向かいつつあります。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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脂肪は悪者??
私は今日3月1日で、糖質制限を始めて一年になります。
糖質制限を始めて、体調が良くなったのは日に日に実感しています。
そういえば、思い出したことがありました。
子供の頃から風邪をひいたり疲れたりすると、唇のふちに「熱の花」と呼んでいた口唇ヘルペスが良くできていました。
皮膚科に行くと、飲み薬と塗り薬を貰い、脂っこい食事はダメだよ。それから、アルギニン(クルミ、アーモンドなど)はヘルペスができやすいので、なるべく摂らないように、と言われました。
それ以来数十年、脂は極力控えて、ナッツも食べずに過ごしてきましたが、風邪や疲れで年に2〜3回は口唇ヘルペスができました。
昨年、糖質制限を始めて、恐々バラ肉などの脂肪やナッツ類を食べ始めました。
が…一年経ちますが、口唇ヘルペスはできていません。
毎日ナッツ類を食べて、お肉を食べても、全くできないのです。
あんなに脂っこいものを避けていたのに、不思議です(^_^;)
本当に糖質制限は奥が深いですね。
Re: 脂肪は悪者??
コメント頂き有難うございます。
> 私は今日3月1日で、糖質制限を始めて一年になります。
> 糖質制限を始めて、体調が良くなったのは日に日に実感しています。
糖質制限一周年記念おめでとうございます。体調の改善もよかったです。
> 口唇ヘルペスが良くできていました。
> 皮膚科に行くと、飲み薬と塗り薬を貰い、脂っこい食事はダメだよ。それから、アルギニン(クルミ、アーモンドなど)はヘルペスができやすいので、なるべく摂らないように、と言われました。
> 昨年、糖質制限を始めて…一年経ちますが、口唇ヘルペスはできていません。
> 毎日ナッツ類を食べて、お肉を食べても、全くできないのです。
世の中には脂に対して原因と結果を取り違えている事が結構あるのではないかと考えています。
同様の事は食物アレルギーにも見られます。卵アレルギーとかピーナッツアレルギーとか、あたかもそれが原因のように扱われますが、糖質制限でアレルギーが改善する事実を踏まえると、原因ではなく結果を見ているだけではないかと、真の原因は別にあるのではないかと私には思えます。
教養のある食生活!
> 自然を盲信することなく、しかし自然を参考に理想的な状態を目指すという生き方
食品偽装問題や、食の安全性が叫ばれる昨今、 無農薬のオーガニックだから信頼できる。自然食だからいい。という風潮がありますが、これもテレビや雑誌の情報を何と無く鵜呑みにしている人がなんと多いことか。私もその一人でした。しかし、糖質制限を勉強し、実践する中で、自分で考えることが身につきました。その羅針盤となるのが、先生のブログであり、コメントを寄せられる皆さんの草の根の実践 研究報告です。.とても心強いかぎりです。ありがとうございます。
これからも日々 、自分で考え、勉強し、真の意味で、「教養のある食生活」を目指します。
Re: 教養のある食生活!
コメント頂き有難うございます。
何事も盲信は禁物です。偉い先生でもヒトである以上間違います。自然も完璧ではありません。常に考え続ける姿勢が大事に思います。
ナッツについて
岐阜市 上久保内科
http://kamikubo.exblog.jp/19161923/
ナッツ摂取と死亡率
◇生活習慣病ガイド
大阪府吹田市 清水クリニック
http://www.shimizu-clinic.biz/blog/2014/02/post_47.html
ナッツ類摂取と死亡率
上記blogは、一理ある内容で、私は欠かさず見るようにしています。どちらもナッツについて掲載しています
でも、ナッツがこのように注目されたおかげで、価格が高騰しているのは残念です
Re: ナッツについて
情報を頂き有難うございます.
ナッツの摂取による慢性疾患リスクの低下,肥満リスクの低減を示した論文が紹介されていますね.
そのナッツの詳細も「クルミ、ヘーゼルナッツ、アーモンド」と糖質量の少ないものであり,間接的に糖質制限の有用性を示していることになりそうですね.
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