「病気の原因は外にある」という考えの行き詰まり
2021/10/07 13:35:00 |
主体的医療 |
コメント:4件
コロナ禍における一連の流れは、「病気が自分の外にある何かによって引き起こされる」という概念をもとにして起こっていると言っても過言ではないと私は感じています。
病気の原因がウイルスという病原体だとする考えもそうですし、そう考えているからこそ、三密回避、マスク装着、ソーシャルディスタンス確保という推奨につながるわけです。
ワクチンだって、そういう外の害悪があると認識しているからこそ、それを防ごうという方策として科学的概念の後押しも得ながら進化させてきていると言って差し支えありません。
けれど、それらの考えが正しいにしては、現実の世界を素直に眺めれば、その対策による効果は十分に出ていないように思います。
その矛盾を埋めるのに新たに「変異株」とか、「ブレイクスルー感染」とか新たな概念が持ち出されていますが、そのような建て増し対策では、もはやすべての矛盾を解消するには無理があるような出来事が稀でなく観察されてきているように思います。
となれば大元の「病気の原因が外にある」という考え自体を疑って、「病気とは内側から生まれる」という概念ですべてを考え直すという発想も生まれてしかるべきですが、
これだけウイルスやら遺伝子やらの存在が明らかになり、専門家もそれらの医学の成果をもとに「病気の原因が外にある」ことを前提に論を組み立てているような状況で、「病気とは内側から生まれる」と言われたところで受け入れられないのも無理もないと思います。
けれど、ひとつの考え方として、こんな風に考えてみるのはいかがでしょうか? 病気の原因が外にあるのだとすれば、その原因を明確に解決することのできる薬は、
まだ発見されていないだけで、この世のどこかには存在する、もしくは存在しなくても何らかの方法で作り出すことができるということになると思います。
そのように医学が究極的に進歩して、すべての病気とまでは言わずとも、ある特定の病気の原因を完全になくすことができるような夢の薬が開発されたとしましょう。
そんな夢の薬も、死体に投与しても効果は出ないであろうことは想像にかたくないでしょう。
そんなことは当たり前だと思うかもしれませんが、それでは死の直前に至っている人に対して使う場合はどうでしょう。
そのような人に病気の原因を完璧に取りのぞく薬を使えば、完璧に元の状態に戻ってくれるでしょうか?
今まで死に瀕している人が劇的に回復した例を、私は見たことがないわけではありません。ただそうした例は皆、もともと若さがあるなど、いずれも生命力の感じられる症例でした。
何が言いたいかといいますと、仮に病気の原因を完全に潰す夢の薬ができたとしても、その薬が効果を現すには人間の身体のシステムが必要だということです。
その時点で、「病気の原因が内側にある」という要素は確実に存在するということになりますし、
夢の薬がきっかけになるにしても、病気から回復させた状態に導く内側のシステムの精巧さにも改めて気づかされます。
逆に「病気の原因は外側にある」ということだけでは、絶対に説明しきれない現実がそこにあるということにもなると思います。
というか、現代医学は「病気の原因は外側にある」という概念でずっと考えてきた歴史だと言っても過言ではありません。
その結果、病気は減り、人類は病気の克服に向けて少しずつでも前進しているのかと言われればどうでしょう。
確かに寿命は延びたかもしれませんが、その数字には寝たきりで延命的な意味合いも多分に含まれていて、それが本当に喜ばしいことかと言われたらそうとも言い切れませんし、
病気の数も減るどころか、どんどん増えていくばかりで、年々わけのわからない病気は次々と発見されてきています。
その「病気の原因は外側にある」という考えで突き進んできた現代医学が成し遂げた現状を見れば、少なくとも「病気の原因は外側にある」という考えをメインにおくと行き詰まってしまう、ということになるのではないでしょうか。
よって病気というものの見方を「外側にあるもの」から「内側から生まれるもの」という認識に変えていく必要があるのではないかと私は考えています。
勿論、「外の要因が全く病気と関わっていない」と言いたいわけではありません。花粉症の人は明らかに花粉と接触することで症状が出ています。
しかし「病気の原因が花粉」と考えると、いつまで経っても花粉症は治らない病気となってしまいます。
そうではなくて、花粉という非自己抗原をどう認識するかという自分の内側のシステムの方に原因があると考えれば、
花粉を回避することよりも、もっと大切なことがあるのではないかという考えにも至るのではないかと思うのです。
なぜ自分の身体は花粉をそこまで過剰に攻撃するようになってしまっているのか、何が自分の身体をそこまで攻撃的な状況に仕向けてしまっているのか。
外因と自分の内因がどのように関わっているのかに目を向けて、「自分の内因を整える」という発想で動くことができれば、
病気というものは一気に治っていく世界につながっていくと私は考えています。
いや、「治っていく」と表現すると語弊があるかもしれません。より正確に言えば、「病気」と呼ばれる自分自身の状態がどのようなものであるかに気づくことができると言った方がよいかもしれません。
自分がどのような状態にあるかを気づくことさえできれば、そこからあと自分をどのように動かしていくか、どのように生きていくかに関して考える余地が生まれてくると思います。
それこそが主体的医療の目指す道で、その先には病気に支配されない人生が待っています。
コロナに支配されない人生を取り戻すためにも、病気というものの受け止め方を変えていくことをおすすめします。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
感謝
いつもいつも、ウンウンと頷きながら拝読しております。
まさしく、小生の生涯学習及び実践修行である「西式健康法」の言わんとする所であります。
内にあるものを向上させる生き方そのものです。
少食、断食然り。肉食偏向の弊害(他者の命を軽んじる人類偏重の考え)。
「皮膚」「栄養」「四肢」「精神」の四大原則に則った生き方。
「人の行く、裏に道あり、花の山」
表も裏も判らない人生を送っておりますが、先生のお言葉が、小生にとって一つの道しるべになっております。
ご活躍を祈念すると共に、直にお会いしたいですね。
⚪︎蛇足〜先生は、我が愚息(長男)と同い年です。
お会いできる機会があればお話下さい。
なお、完全に花粉症から離脱できたのは、歯周病に対するケアを始めてからとも思っています。(ブラッシングは一日5分強。ただしNO歯磨き粉です。)
Re: 感謝
コメント頂き有難うございます。
またその節はお心遣いを頂き誠に有難うございました。
私もこのコロナ禍で活動範囲が随分狭まってしまい、直にお会いできる遠出の機会もめっきり減ってしまいました。
現在は福岡県に在住しておりますので、もしもお近くを通ることがあればお声かけ頂ければ幸いです。息子様にも宜しくお伝え下さい。今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
Re: タイトルなし
コメント頂き有難うございます。
外因も全く関係ないわけではないということがわかるエピソードですよね。
ただ主因は内因であるというスタンスで病気というものを捉えた方がバランスがよいのではないかと私は思います。
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