自分の人生が誰かの人生を助ける

2021/07/31 06:00:00 | オープンダイアローグ | コメント:0件

2021年4月に精神科医・斎藤環先生の「まんが やってみたくなるオープンダイアローグ」という本に出会い、

その圧倒的なわかりやすさで一気に「対話」という手法の魅力に惹かれて、思いつきで急に始めた「オンラインでオープンダイアローグにふれあう会」という活動でしたが、

何度も繰り返して実践する中で、時々気づきが得られるので過去にもそれをまとめたことがありますが、

また新たな気づきが得られたので、今回はその点をまとめておきたいと思います。

それは「この活動はある人の人生が別のある人の人生を救うことにつながる潜在性を秘めている」ということです。

有り難いことに、最近はリピート参加して下さる方も多く、結構参加メンバーが開始時点ですでに顔なじみとなっている状況も多いのですが、

ある程度互いの人間性がわかっている同志での対話になると、結構語られる話題も個人の深い部分にまで及ぶことも多くなってきます。

そうした深い対話を経験して私が感じたのは、「自分の医学知識なんかよりも参加者の人生経験の自己開示の方がよほど相談者の悩みを和らげている」という厳然たる事実です。 これは非常に価値のあることだと思います。なぜならば、複雑な医学知識なんか持っていなくても、ただ自分の人生を、自分が人生の中で感じてきたことを「対話」のルールの中で話すことが、他の誰かにとって非常に良い影響をもたらすことができるということは、

「対話」のルールを理解した仲間を増やすことで、自分には決して救うことのできない患者を救うことができるようになるかもしれないからです。

しかもこれが特別な技術を持ったプロフェッショナルを仲間に加えるともなれば大変です。そんな人とつながるコネクションなんか自分にはないし、

仮につながれたとしてもその人ができる活動の量は有限だから引く手あまたでひっぱりだこな人に協力を求めても、その貢献には限界があるでしょう。

しかし誰にでも誰かを救える可能性があるのであれば、非常に現実的な話ですし、もっと仲間を集めようという気力が高まります。


考えてみれば、私には負の経験を運良く正に転化できた経験がありました。

生まれてからというものずっと太り続けてきた人生で、健康的とは到底言えない状況の中で、

どういうわけか医師を志し、説得力も何もない肥満体で定型文句で患者への生活指導を行い続ける日々、

ついには肥満度を度を超えて、睡眠時無呼吸症候群を発症、うつ病も発症し、同僚や後輩からも見放され(たように感じ)、自死をも考える絶望的な状況に陥った過去が私にはありました。

しかし運良く自死に至る直前に出会った糖質制限食によって何とか息を吹き返し、それ以降世の中の見え方が180度転換し、それまででは考えられないくらい活動的になりました。

それでも一定のところまでやせたものの、世間から見れば十分肥満体にとどまるという現実に突き当たり、しかしながらそれが自分なんだと、そこから始めるしかないんだと、思えるようになっていきました。

そして体重という表面的な自分のパラメータではなく、体調という本質的な自分のパラメータに目を向けられるようになり、私は本当の意味で第二の人生を歩めるようになったと感じています。

そんな経験をブログで語ったり、どこかの現場で語ったりすることで誰かの助けになっていることもあるという実感が感じられることも思い返せばありました。

けれどよくよく考えれば、その経験はすべての人に救いを与えるような類いのものではないし、

医学的な情報にとらわれ過ぎて本質を見誤ってしまっていましたが、別に私という人間だけに起こりうるような話でもありません。

誰もがそれぞれの人生の中で、色々な苦難に突き当たり、そして悪戦苦闘しながら乗り越えたり、あるいは乗り越えられずとも向き合い続けていたりされていると思います。

それぞれの人生の試行錯誤が色々な視点から組み合わさって、それが「対話」的に交流し合うことで、

私は人生を負から正に変えるような劇的転換を起こせる可能性は飛躍的に増やせるのではないかと思うととてもワクワクします。


だから私は、今「対話」のルールを継続的に学べるコミュニティを作ろうと奮闘しています。

このコミュニティでは、「オープンダイアローグ」の手法をベースにした「対話」的アプローチを学ぶチャンスを提供します。

またどんな「対話」的アプローチで、具体的にどんな改善が得られたのかという実践例をどんどん蓄積していき、情報をシェアするようにします。

情報にはプライベートな内容が含まれるので、一般公開はしません。あくまでルールを守ったコミュニティ参加者の中でシェアし合う情報とします。可能であれば動画情報もシェアします。

さらには自分の「対話」的手法の弱点を認識したり、質を高められるようにするためにコミュニティ内でフィードバックが受けられるようにするための仕組みも作ります。

そうして「対話」的アプローチに精通するようになった人どうしで、実際の患者さんを対象にして誰かの人生を救うかもしれない「対話」の場に一緒に参加してもらえるような場も作りたいと思っています。

このコミュニティには誰にでも参加する資格がありますが、誰でも参加していいわけではありません。

参加者は最低限「対話」のルールを理解しておいてもらう必要があります。でなければこのコミュニティの価値が下がってしまうからです。

そのために今私が無料で定期的に行っている「オンラインでオープンダイアローグにふれあう会」を「練習会」と位置づけます。「対話」のルールはここでいつでも身体で覚えてもらえるように致します。

この会に3回以上参加した時点で参加資格を生じます。参加資格を生じた時点で希望者にはコミュニティに入るための条件を理解してもらった上で参加してもらいます。

一番重要な条件はコミュニティ内でのプライベートな情報の交換を是として、それを決して外部に漏らさないと約束することです。

あとは「対話」的手法が不十分な場合にフィードバックを受けることがあることと、再三のフィードバックにも関わらず改善が見られない場合はコミュニティへの参加資格を失う場合がありうることも了解してもらう必要があります。

実際の患者さんと「対話」をすることに関しては気後れする方もおられるかもしれませんが、

最低限の医学的な判断は医師である私が参加することで担保できるということ、あくまでも病人を相手にするというのではなく、一人の悩める人間に対して「対話」的に接してもらうという姿勢をとることでハードルは下がるのではないかと思います。

安易な参加者を減らすために、コミュニティ参加は有料にしようとは考えていますが、

病める人への「対話」に協力してもらえる方には、報酬を提供する仕組みも提供しようと考えています。

複数回、「対話」を繰り返していくことで、こうしたコミュニティを作ろうというアイデアへと発展していきました。


このコミュニティが将来多くの悩める患者を救うことへとつながることを期待しています。

この活動に賛同して下さる方は、是非とも「対話」の場を一緒に作れるようまずは無料の「練習会」へ是非とも参加してもらえればと思います。

時代はまさに「対話」を求めているように私には思えます。

準備ができ次第、情報を公開して参りますので、今後もフォローして頂けると幸いです。


たがしゅう
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