インフォデミックの3つの意味
2021/06/08 17:30:00 |
素朴な疑問 |
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コロナ禍において「インフォデミック」という言葉がはじめて生み出されました。
WHO(世界保健機関)が2020年2月2日に「疫病の流行に伴う流言が急速かつ大量に広がって社会に混乱をもたらす状況」を意味して最初に使いはじめました。
一方で最近ではコロナ陰謀説をもとに「本当はありもしない情報をでっちあげて、社会が実態のないコロナに対して過剰な不安や恐怖を植え付けられている」ということを指して「インフォデミック」という言葉を使っている人もSNSを中心に現れてきているように思います。
両者の「インフォデミック」という言葉の使い方は「真実が嘘の情報によって歪められている(社会に混乱をもたらしている)」という意味では共通しているのですが、
WHO側は「真実はコロナウイルスの感染拡大」、陰謀論側の立場は「真実はコロナウイルスは存在しない(もしくはコロナは人工ウイルス)」という真逆の立場をとっているように思えます。同じ「インフォデミック」という言葉でも意味するところはエラい違いです。
しかし私は「インフォデミック」という言葉を、そのどちらとも異なる意味で用いています。
一言で言えば、「不安・恐怖情報の拡大によって人体に実害がもたらされ続けている状態」ということです。 似たような意味だと思われるかもしれませんが、前の2つの「インフォデミック」と私が意味する「インフォデミック」とでは決定的に異なる部分があります。
それは前2者の「インフォデミック」が情報というものを外からもたらされる誤誘導因子と捉えているのに対し、私の「インフォデミック」は情報というものをきっかけに人間の内的システムが過剰駆動されている点に注目しているという点です。
言い換えれば、前2者が情報の恣意性に注目しているのに対して、私は情報そのものよりも人間の心の中で起こっていることに注目しています。
今、私はあえて「人間」という言葉を使いましたが、「インフォデミック」というものは「人間」にしか起こらない悲劇です。
なぜならば「人間」は「情報」というものに「意義」を感じたり、しばしば「感情」を揺さぶられたりするからです。
私は新型コロナウイルスは実在しないとか、新型コロナウイルスは作為的に作られた人工ウイルスだという説について今のところ否定的な立場をとっています。
コロナがウイルスとして再現性をもって「単離」されるものなのかどうかは私には判断できませんが、おそらく2021年に中国から発表された新型コロナウイルスの遺伝子配列から構成される物質は存在するのでしょう。
そのような遺伝子配列を持った物質、あるいはそのような遺伝子配列に近い配列を持った物質を非自己抗原として認識し、それに対して異物除去反応が駆動されてしまうこともおそらく事実としてあるのでしょう。
しかし問題はそこから先です。ただの一過性の異物除去反応で終わるはずの感染症イベントが、「インフォデミック」による不安・恐怖情報の拡散によって一部の人達で過剰なまでにこの異物除去反応が駆動され続けてしまうことによって、
一過性では終わらない永続的な異物除去反応システムの持続駆動が未知の感染症の重症化や後遺症化として受け止められるようになってしまったというところが私が捉える「インフォデミック」がもたらす最大の勘所だと考えています。
なぜそのように考えるかという根拠については大きく考えて3つあります。
1つは不安・恐怖情報によって自律神経系・内分泌系を中心とした人体の応用システムが駆動されることはすでに現在の科学で解明済であり、ステロイドが効くなどの事実に矛盾しないということ、
もう一つは、未曾有の世界的拡大を呈しながら、患者は散発的にしか発生しておらず、検査を行う体制が整っている大都市に患者が集中するという事実は従来のウイルス病因論では矛盾するが、宿主病因論の立場に立てばその矛盾は消失するということ、
そして最後の1つは、新型コロナによるパンデミックが起こっている動物種が「人間」だけだということです。
もしもこのウイルスが純粋にその生物学的特徴によって、「人間」という動物種に対して未曾有の感染拡大をもたらしたのであれば、類似の動物種にも同じようなメカニズムでパンデミックをもたらしても不思議ではありません。
すでにウイルスは人のいるところすべてに感染が拡大してしまっているような状況です。もし本当にウイルスが一つ一つ丁寧に伝播されたのだとしたら、動物の中にもウイルスが伝播した可能性も限りなく高いでしょう。
そもそもこのウイルスは動物から受け渡されたと考えられているわけですから、そう考えるのが自然です。
ところが人間以外でこの新型コロナによって大量に動物集団の死骸が発生したような現象は私が知る限り観察されていません。
勿論人里離れたどこかでそのような現象が起こっている可能性もあるでしょうが、少なくともこれだけコロナに世界の注目が集まる中で、誰の目にも確認されていないのであれば、
現時点で他の動物種では同様のパンデミックは起こっていないと考えるのが妥当でしょう。
であればこの新型コロナウイルスは「人間」だけに選択的にパンデミックを起こしているという奇妙な話になります。
「人間」だけにあって、他の動物にない特徴はなにかと考えれば、言葉によって「情報」に意味を感じることではないでしょうか。
そう考えれば、「人間」だけに未曾有のパンデミックが引き起こされた理由は説明がつきますし、
もっと言えば、これは一つ一つウイルスが丁寧に伝わって異物除去反応が駆動されたというよりは、
PCR検査の誤解によって、中国論文の遺伝子配列通りの物質に触れた人はごくわずかで、多くはその類似構造物に対して異物除去反応が惹起され、
さらに「未知の新型ウイルス」という「人間」だけが感じ取ることのできる概念による不安・恐怖情報の拡散によって、ごく一部の人にその異物除去反応が持続駆動され続ける状況が生み出されてしまったと考えれば、昨今の状況はすべて説明がつくと思っています。
ともあれ、今回の「インフォデミック」は人類が生み出し、自らの首を絞めることになった最大級の悲劇と言えるでしょう。
しかし冒頭の前2者で「インフォデミック」を受け止めてしまうと、正当な情報に対する反体制への嫌悪や憎しみが生まれるだけで、ある意味で「インフォデミック」を助長する結果につながってしまいかねませんが、
私の意味する「インフォデミック」として受け止めることができれば、この悲劇の中にあってそれでも前に進むことはまだ可能です。
要するに「すべては自分次第」という気持ちを確かに心の中に持てばよいのです。
今回の「インフォデミック」をむしろそれに気づくきっかけとして利用すれば非常に有意義です。
外からもたらされる情報をどのように受け止めるかによって、私達の身体の中で起こってくる現象は確実に変わります。よくも悪くもなるものです。
そしてすべて説明できる合理的な解釈にたどり着ければ、少なくとも過度に情報に左右されてしまうことはなくなるはずです。
今回の「インフォデミック」のもう一つの教訓は、「人は不安・恐怖情報によって死ぬところまでいく」ということです。
動物界、植物界には何も起こっていない不安・恐怖情報による変化に、わざわざさらされる必要はないのです。
「すべての情報に納得ができる」のであれば別ですが、もしも現実で起こっていることで納得できないことが少しでもあるのであれば見過ごさずにその理由を考えてみましょう。
あるいは究極的にはまるで野生動物のような生き方を参考にしてもよいかもしれませんが、人間社会で生きる以上それはあまりにも現実的ではありませんからね。
情報が恣意的であろうとなかろうと、現実に起こっている事実と矛盾するかどうかで考えていけば、
言葉による概念に支配された「人間」の社会の中でも、過剰な不安・恐怖情報に揺さぶられることはないと私は思います。
情報社会が生み出した悲劇を人間は克服できると信じたいです。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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