Post

        

アレルギー熟考

category - ウイルス再考
2021/ 04/ 23
                 
引き続きアレルギー性疾患とウイルス感染症の共通性について考えてみたいと思います。

前回は、即時型アレルギー反応の病態に深く関わるIgE、肥満細胞、好塩基球といったものは、ウイルス性感染症の病態に深く関わるIgG、マクロファージ、好中球が変形したもので本質的には同じだという見解を述べました。

しかしその即時型アレルギーは別名を「Ⅰ型アレルギー」といい、アレルギー全体の一部でしかありません。

アレルギーは大きく分けて次の4つに分類されると言われています。

①Ⅰ型アレルギー(即時型アレルギー反応)
②Ⅱ型アレルギー(細胞障害型・細胞融解型アレルギー反応)
③Ⅲ型アレルギー(免疫複合体型アレルギー反応)
④Ⅳ型アレルギー(遅延型アレルギー反応)


Ⅰ型アレルギーが本質的にウイルス感染症の構造にそっくりだとして、それ以外の3つのアレルギーはウイルス感染症と本質的に共通すると言えるのでしょうか。
            

まずそれぞれのアレルギーの違いについて簡単に説明しますと、

何らかの抗原(アレルゲン)に曝露されて、アレルギー反応が起こってくるというところまでは同じなのですが

アレルギーの型によってその後起こってくるメカニズムが異なり、実際に有害な反応が起こるまでの時間、そしてどの型のアレルギーであるかを調べる検査がそれぞれ違います。具体的に見ていきましょう。

①Ⅰ型アレルギー(即時型アレルギー反応)

Ⅰ型アレルギーはアレルギーと聞いて最もイメージしやすいタイプのアレルギーです。

前回前々回の記事で触れたように、異物と判定される抗原(アレルゲン)に対してBリンパ球がIgEという抗体を産生してこれと結合し、

その後IgEを認識する肥満細胞や好塩基球と結合してそれらの細胞内に含まれるヒスタミンやロイコトリエンなどの物質によって種々のアレルギー反応が引き起こされるという病態です。

抗原と接触して15〜20分くらいの早い時点で反応が起こってくるので、何によって引き起こされたかがわかりやすい即時型のアレルギー反応です。

Ⅰ型アレルギーの具体例としては気管支喘息、アレルギー性鼻炎(花粉症)、じんま疹、アトピー性皮膚炎、などが挙げられます。

ちなみに蜂に2回刺された場合に起こったり、コロナワクチンの副作用としても耳にする機会の増えた「アナフィラキシーショック」というのは、このⅠ型アレルギーの重症型のことです。

このⅠ型アレルギーかどうかを調べる検査としては血液検査で抗原特異的なIgEがあるかどうかを調べたり、皮内試験といって実際にアレルゲンであると疑われる物質を皮内注射して15〜20分後に皮膚の炎症が起こるかどうかを見る検査などがあります。

最近ではIgEだけではなく、IgG4というIgGのサブタイプも関わっていることがわかってきました。ますますIgGとの相同性が見えてきます。IgG4についても考察したいことがあるので、また別の機会に触れたいと思っています。


②Ⅱ型アレルギー(細胞障害型・細胞融解型アレルギー反応)

Ⅱ型アレルギーはⅠ型アレルギーよりは少し遅い60分程度で起こってくるとされるアレルギー反応です。

Ⅱ型アレルギーを起こす抗原として、まず「ハプテン」と呼ばれる分子があります。

「ハプテン」というのは「免疫原性を欠き、反応原性のみをもつ抗原」、すなわち「抗体と反応はするが、抗体やリンパ球の増殖や分化を誘導しない性質をもつ不完全な抗原」のことを意味しています。

具体的には、「ハプテン」は脂質や核酸などの分子量が数百以下の低分子だと言われています。

Ⅱ型アレルギーに関わる抗体はウイルス感染症と同様にIgGやIgMなのですが、相手の抗原が「ハプテン」であると抗原と結合した抗体によってマクロファージや好中球に認識されていくという流れが起こりません。

その代わり「補体」と呼ばれる分子が抗原と抗体の複合体に結合するという現象が起こります。

「補体」とは聞き慣れないかもしれませんが、抗原に抗体がくっついて、マクロファージや好中球によって処理する流れを促進する、あるいはくっついた相手が細菌や細胞であった場合にその相手となった抗原の構造に穴をあけて破壊するという直接的な傷害性をもたらしたりする免疫分子です。「自然免疫」の一部として認識されています。

なので抗体が結合する相手が免疫システムを駆動しないハプテンであっても、補体が活性化されるサポートによってマクロファージなどに認識されやすくなり結局は排除される流れになるわけですが、

ここで「ハプテン」が自己細胞の表面にあったりする時に、何らかの理由で補体の細胞傷害性が自己細胞そのものに及んで誤って破壊してしまうことがあります。それ故にⅡ型アレルギーは「細胞障害型アレルギー」とか「細胞融解型アレルギー」と呼ばれています。

その「ハプテン」付きの自己細胞として赤血球や白血球、血小板などの血球細胞や腎臓や皮膚の基底膜細胞がターゲットになることが多く、Ⅱ型アレルギーの具体例としては、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、薬剤性溶血性貧血、顆粒球減少症、 血小板減少症、Goodpasture症候群など、詳細は割愛しますがともかく血球や皮膚、腎臓が障害される病態が挙げられます。

血液型が合わないのに行われる不適合輸血によっても溶血性貧血が起こるのですが、そこで起こっている現象もⅡ型アレルギーだと言われています。これは明らかな「非自己」の「ハプテン」付き自己細胞に対して正当な異物除去反応が引き起こされていると言えるわけですが、

そうではなくて溶血性貧血がなぜか起こっている場合、これは何らかの原因で「自己」が「非自己」と認識されてⅡ型アレルギーが引き起こされてしまっていると考えることができるかもしれません。

このⅡ型アレルギーかどうかを調べる代表的検査としてはクームス試験と呼ばれるものがあります。これはハプテンを通じて自己の赤血球と結合する抗体があった場合、その赤血球に結合する抗体をさらに認識する抗体を入れることによってそれぞれが橋渡し的に結合し合いひとつの塊となる凝集という現象が起こります。その凝集の有無でハプテン付き自己細胞に結合する異常な抗体があるかどうかを判定する検査です。

ちなみにもうひとつこのⅡ型アレルギーで説明される現象として、以前当ブログでも触れた「ADCC(Antibody-dependent cell cytotoxicity;抗体依存性細胞傷害活性)」と呼ばれるものがあります。

これは以前「ADCCとは、ごく微量な抗体であるにも関わらず、病原体(抗原)に抗体がくっついてマクロファージなどの抗原提示細胞を呼び寄せて直ちに病原体を殺傷する現象のこと」だと説明しました。

ハプテン付きの抗原が細菌などの病原体の場合は有益な異物除去反応としてADCCが働いてくれるわけですが、そのハプテン付きの抗原が自己細胞ということになると一転してADCCが人体に有害な反応になってしまうというわけです。

ちなみにこのADCCがもしもワクチンによって標的とする病原体に対して誘導されれば非常に有益であるわけですが、

どういうわけかワクチンではADCCは起こらず、むしろ逆に「ADE(Antibody-dependent enhancement:抗体依存性感染増強)」という不完全な抗体が中途半端に病原体に結合して殺傷しないまま凝集させ逆に免疫細胞内で増殖させて結果的に人体に害をもたらす現象を促進することが起こっています。

この辺りも私が「ワクチンは自然感染を超えられない」と考える根拠の一つです。

③Ⅲ型アレルギー(免疫複合体型アレルギー反応)

Ⅲ型アレルギーというのは、Ⅱ型アレルギーと同様に抗原に抗体(IgGやIgM)がくっつき、さらに補体が結合するまでは同じなのですが、

その変化によって抗原が処理されず抗原・抗体・補体が合わさってできた「免疫複合体」というものが、局所または全身において異物として認識されてしまって異物除去反応としての炎症が引き起こされてしまうことから「免疫複合体型アレルギー反応」とも呼ばれています。

先ほどの「ADE」と同様に、処理が不十分であるが故に発生してしまう有害免疫反応と言えるのではないかと思います。

Ⅲ型アレルギー反応ですが、Ⅱ型アレルギー反応に比べて抗原曝露から発生までの時間が3〜8時間とぐっと長くなります。「免疫複合体」が形成されて炎症反応に至るまでに少し時間がかかるということでしょう。

興味深いことにⅢ型アレルギー、「免疫複合体」を形成する過程ではIgGやIgMが関わるのですが、その「免疫複合体」を認識する抗体がIgEで、その後肥満細胞や好塩基球が刺激されるⅠ型アレルギーと同様のメカニズムが誘導されるようなのです。しかもそこには好中球も混ざっていたりするそうで、ますます「好塩基球は変形好中球である」という仮説が説得力をまします。

そんなⅢ型アレルギーの具体例としては、全身性エリテマトーデスや関節リウマチなどの自己免疫疾患、糸球体腎炎、過敏性肺炎などが挙げられます。

アレルギーと自己免疫疾患の類似性には過去にも触れましたが、「自己免疫疾患はⅢ型アレルギーである」という見方もあるということです。

Ⅲ型アレルギーの有無をみるための検査としては、血液検査で自己免疫疾患であることを示す自己抗体を調べる方法が挙げられます。


④Ⅳ型アレルギー(遅延型アレルギー反応)

Ⅳ型アレルギーに関しては、糖質制限界隈では聞きなじみのある方も多いかもしれません。

別名を「遅延型アレルギー反応」と言い、抗原曝露から発症までの時間が24〜72時間と4つのアレルギーの型の中で最も遅く起こってくるアレルギー反応です。

なぜ糖質制限界でよく聞くかと言いますと、高糖質食であるパンやパスタなどの小麦製品にグルテンという成分が多く含まれており、このグルテンによって引き起こされるアレルギー反応が遅延型である場合が多いからです。

抗原曝露から発生まで24時間以上の時間がかかるので、小麦製品のように目星がついている食品であればまだしも、それ以外の食品で遅延型アレルギー反応を起こしているとなればとてもではありませんが、体感で原因となる食品を当てることが困難だという難しさがあります。

なのでその遅延型アレルギー反応の有無を、Ⅰ型アレルギーを抗原特異的なIgEの有無で調べるのと同様に、抗原特異的なIgGの有無で判定するという血液検査があります。ただしこれは保険で認められていないので自費検査となり、一般的に受ける場合かなり高額の費用がかかります。

その検査で遅延型アレルギー反応の原因として疑わしい食品が判明したら、それを除去して24〜72時間以上経過して症状が改善するかどうかでそのアレルギーの有無を判定していくということになります。

さて、そんなⅣ型アレルギーでは身体の中でどんなことが起こっているのかと申しますと、当ブログでもよく出て来る「T細胞(Tリンパ球)」がその発生に関わっています。

抗原に曝露され、IgGやIgMなどの抗体が結合し、マクロファージや好中球といった細胞によってスムーズに貪食や消化されればよいのですが、そのシステムでは処理しきれない抗原である場合に「T細胞」の出番となります。

抗原を貪食したマクロファージなどが「T細胞」、特に「ヘルパーT細胞」に対して「MHCクラスⅡ」という「非自己」であることを表示する名札を示し、

「ヘルパーT細胞」は免疫全体を活性化して、細胞傷害性Tリンパ球やNK細胞、あるいは抗体を産生するBリンパ球などのさらなる攻撃部隊が動員されて、やっつけきれない抗原をやっつけようというシステムが駆動されます。

Ⅳ型アレルギー反応はこの「T細胞」中心で行われる免疫システムの活性化が過剰に駆動される現象だということです。

ということは、これを人為的に起こした現象が「免疫チェックポイント阻害剤」や「エフェクターT細胞療法」による「サイトカイン放出症候群」だと言ってよさそうです。なぜならばこれらの治療は人為的にT細胞の過剰活性化を誘導する方法だからです。

ちなみにⅣ型アレルギーのメカニズムを利用した検査に「ツベルクリン反応」があります。

これは以前にも触れましたが、結核であるかを判定するためのひと昔前までよく行われていた検査です。結核予防目的のBCGワクチンの接種者と本当の結核感染者との区別がつかないため、現在は「IGRA(Interferon-Gamma Release Assay:インターフェロンγ遊離試験)」にとって代わられています。

そんなツベルクリン反応とはどんな検査かと言いますと、ヒト型結核菌の培養液を0.1ccというごく少量だけ皮内に注射し、48時間後に1cm以上の発赤・腫脹が起こるかどうかで結核の感染又は結核及び類似の病原体や抗原への過去の暴露の有無を判定する、というものです。

「やっていることはBCGワクチン接種と同じじゃないか」と思われた人は鋭いです。確かにほとんど同じことをやっています。

大きく違うのは目的です。ツベルクリン反応は結核性抗原に対するT細胞を含む免疫システムが活性化するかどうかを見ていて、言い方を変えれば「Ⅳ型アレルギー反応がきちんと起こるかどうかを見る」のです。

BCGワクチンは用いるのが結核菌の培養液ではなく、弱毒化した結核菌を用いているという違いはあれど結核性抗原に暴露させる行為という意味では同じことをしています。その目的はツベルクリン反応と違ってT細胞を含む免疫システムを活性化させること、言い換えれば「Ⅳ型アレルギー反応を通じて免疫システムを刺激する」ことです。

BCGワクチンと言えば、自然免疫を賦活するとかでコロナ予防としても注目を集めていますが、

結局、やっていることはただの人為的な抗原暴露に過ぎません。「自然免疫が鍛えられる」という言い方ができないこともないですが、そんな素晴らしい効果をもたらす類の医療行為ではないというのが私の考えです。

ところで、結核性抗原を皮内に注射すると、なんでⅣ型アレルギーが起こるのでしょうか?Ⅰ型アレルギー(即時型アレルギー反応)にはならないのでしょうか?

これに関してはまず、ネット上で見つけた平成26年のBCGの副反応報告によれば、アナフィラキシー反応が起こっていることが確認できますので、

結核性抗原でもⅠ型アレルギー反応起こりうる」ということになるでしょう。

一方で結核性以外の他の抗原では、Ⅳ型アレルギー反応は引き起こされないのかと言ったら、そんなこともないでしょう。むしろ理論上すべての抗原でⅣ型アレルギー(遅延型アレルギー反応)は起こりうると思います。

例えばインフルエンザワクチンを打った後でも、2-3日は接種部位が腫れるという現象がよく観察されます。

インフルエンザワクチンの場合は皮下注射ですが、現象的にはT細胞中心の免疫システムの活性化が起こっているであろうタイミングです。

つまり別にⅣ型アレルギーを起こすのに結核性抗原である必然性はないということで、インフルエンザワクチンが自然免疫を鍛えているという言い方もできなくもないですが、それは極めて一面的かつ恣意的な視点であって、そんなたいそうなものではないと私は思います。



……話が色々と横道にそれてしまいました。ちなみに一応Ⅴ型アレルギーもあると言われていますが、これはアレルギーの中で例外的な位置づけとなっています。

具体的には細胞の受容体(ホルモンや神経伝達物質などの信号を受け取る構造物)に対してⅡ型アレルギー反応が起こるものをⅤ型アレルギーと呼びます。メカニズムとしてはⅡ型アレルギー反応と同じなので、Ⅱ型アレルギーの中に含める場合もあります。

Ⅴ型アレルギーの具体例としては、抗インスリンレセプター抗体による高血糖あるいは低血糖、抗アセチルコリンレセプター抗体による重症筋無力症、抗TSH抗体によるGraves病あるいは甲状腺機能低下症などが挙げられています。


以上、アレルギーの全容を踏まえて、最後に冒頭の疑問に戻りましょう。

大変ややこしい話になってしまいましたが、難しい話は抜きにしても今回の結論だけはぜひとも持ち帰って頂ければと思います。

「IgEが関わるⅠ型アレルギーのみならず、Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型も含む全てのアレルギーは、ウイルス感染症のメカニズムである抗原とそれに対する特異的抗体(IgG、IgM)が結合し、それを対応するマクロファージや好中球が認識して細胞内の顆粒を放出したり、細胞内で貪食したり、それでもだめならT細胞を中心にさらなる攻撃部隊を駆動するという異物除去反応の免疫システムの流れに何らかの負荷がかかって変形をきたした状態である

つまり、広くアレルギー全体に当てはめても、やっぱりウイルス感染症とアレルギー性疾患は本質的に同じ病気だということです。

それどころか、自己免疫疾患やサイトカイン放出症候群ともつながるし、もっと言えばツベルクリン反応を通じて見ると他の病気とも次々とつながっていきそうです。

いっぱいあるように見える数々の病気は、実はシンプルな原理に収束できるのではないかと私は考えています。

引き続き現代医学の視点を抜本的にひっくり返す試みを続けていきたいと思います。


たがしゅう

関連記事

            
                                  

コメント

非公開コメント