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大集団内における少数物質の本質

category - ウイルス再考
2021/ 04/ 22
                 
ウイルス感染症とアレルギー性疾患の病態は本質的に同じものだ」という私の仮説を補強するために、

アレルギー性疾患の病態で中心的な役割をはたすIgEは実は変形IgGで、肥満細胞は変形マクロファージ、好塩基球は変形好中球であり、実際にはウイルス感染症においてIgG、マクロファージ、好中球で起こっている現象と本質的に同じだという見解を述べました。

何でそう考えられるのかについて、あまり医学論文に頼り過ぎずに論理的に示していきたいと思います。

まず肥満細胞は細胞がふくれて肥満様になっていることからそう名付けられている細胞です。

細胞がふくれているということは、正常の細胞に何らかの負担がかかっていることが示唆される形態学的特徴です。

しかもこの細胞はアレルギーの時にしか姿をみせず、マクロファージや好中球と同じ造血肝細胞由来の細胞であるということもわかっています。

ということを踏まえますと、正常な状態であれば造血肝細胞からマクロファージや好中球へとそれぞれ分化していく細胞の流れが、何らかの負荷がかかることによって正常な分化に支障をきたし、

マクロファージや好中球が変形し、その変形したマクロファージや好中球が「肥満細胞」や「好塩基球」と名付けられて、全く別のものだと認識されてしまっているという考えには少なくともそれほど大きな無理はないのではないかと思えます。
            

でも好塩基球は肥満細胞と違って形態学的な負荷は示唆されません。むしろ中に含まれる顆粒の染色性の違いが明確で、全く別の細胞だと認識されても不思議ではないかもしれません。

ただもしも肥満細胞と同様の視点で、仮に「好塩基球は変形好中球である」という目線で一旦とらえてみるとします。そうなると両者の違いはどこにあるでしょうか。

造血幹細胞流れ

(※画像はこちらのサイトより引用)

まずは上記の写真で好中球と好塩基球の見た目を比べてみてもらえればと思います。

まぁ、どう見積もっても全然違う見た目ですよね。同じ「骨髄芽球」と呼ばれる血球から分化している細胞とは言え、

好中球の方は細胞の中の核が明瞭で、細胞質と呼ばれるそれ以外の部分には余計なものが分布しておらず、核とそうでない部分がきれいに区別されているような印象を持ちます。

対する好塩基球は、核の形は不明瞭でかつ細胞質内には塩基性、つまりアルカリ性の色素に染まる多数の顆粒がちりばめられています。

そんな風に全然違う両者ですが、好中球の分化はその途中に複数の段階があって、丁寧に好中球への分化が進められている一方で、好塩基球は骨髄芽球から途中段階を経ることなく一気に完成形に移行しています。

そしてよくみると、好中球と好塩基球の間にはさまれた好酸球にも途中段階はなく、骨髄芽球から一気に好酸球へと分化しています。

さらに好中球、好酸球、好塩基球の形態を見比べてみますと、「好中球」→「好酸球」→「好塩基球」の順に細胞の形が崩れているようにも見受けられます

加えてそれぞれの血球が属するグループである顆粒球内における存在比率は、好中球90%、好酸球5〜9%、好塩基球1%未満です。

好塩基球の存在意義は未だにわからないとされていますが、私はそもそも存在比率1%未満の細胞に存在意義などなく、そのくらいの比率の物質は、何らかのシステムのエラーで生じた本来の役割を逸脱した存在だと考える方が自然だと思います。

そうなってくると、基本的には好中球を作ろうとしていた細胞分化の流れに何らかの負荷がかかった結果、好中球の不完全体である好酸球や好塩基球が産生されているという考えが成り立つかもしれません。

その負荷が軽度であれば好酸球と呼ばれる変形好中球となり、細胞内構造は少しくずれて結果的に細胞質内が酸性顆粒が少し漏れ出た状態になり、

負荷が重度であれば好塩基球と呼ばれる高度の変形好中球となり、好酸球以上に細胞内構造が崩れて結果的に細胞質内はアルカリ性の顆粒で満たされた状態になってしまうと考えるとどうでしょうか。

そうなると、肥満細胞も好塩基球も、いずれも正常な細胞分化に支障が出て生じた変形細胞だという仮説に一定の説得力が出てこないでしょうか。

ただそれにしても、肥満細胞も好塩基球も、アレルゲン(アレルギーのもととなる物質)と結合したIgEを認識して、その細胞内に含まれるヒスタミンなどのアレルギー反応を惹起するという仕組みがあります。

そうだとウイルスなどの抗原と結合したIgGを認識して、異物と認識された抗原を貪食するマクロファージや、細胞内に含まれる消化酵素などで抗原性を失活させる好中球と同じ細胞だと考えるのは無理があるのではないかと思われるかもしれません。

ところがそのIgE自体が変形IgGだと考えると話は変わってきます。前回記事でも述べましたように、IgGとIgEの違いは抗体のFc部分のみで基本的な構造は似通っていて分子量はIgEの方が大きいです(IgG分子量15万、IgE分子量20万)。

そしてIgGもIgEも同じBリンパ球から産生される抗体で、抗体全体の中でIgGが70ー75%を占めるのに対し、IgEの存在割合は通常0.001%以下です。

そんな存在割合の少ない抗体ですから、好塩基球と同様に何か役割をもった存在というより正常なシステムの中におけるエラーと考える方が妥当で、

正常なIgG産生システムに何らかの負荷がかかって産生された変形IgGが「IgE」と名付けられたという可能性は十分に考えられるのではないでしょうか。

またIgEの方がちょっと分子量が大きいことを踏まえますと、IgGが産生された後に余分なものがくっついた(たとえば糖化)した可能性も考えることができます。

ただし、それだと抗体のFc部分だけではなく、Fab部分も同じように余分なものがくっつかないと話が合わないような気もしますので、IgGを産生するプロセスで負荷がかかったことによって何らかの切り離し作業が行われなくなった結果、分子量がやや大きいIgEが産生されるようになる、と考える方が無理がないかもしれません。

いずれにしても、IgGとIgE、肥満細胞とマクロファージ、好中球と好塩基球を同一細胞だとみた時に、ウイルス感染症とアレルギー性疾患で起こっている現象は本質的に同じだと言えるのではないでしょうか

要するに、どちらも異物(非自己)となりうる抗原(アレルゲン)に抗体が結合し、その複合体を対応する細胞が認識し、その細胞内に含まれる物質が放出されるという現象が起こっているということです。

違うところは、「異物を異物としてきちんと選別できているかどうか」「細胞内顆粒の放出現象により人体に利益がもたらされるかどうか」といったところではないでしょうか。

「でも、ヒスタミンはどうなんだ?」という意見もあるかもしれません。ヒスタミンはアレルギーを起こす中心物質として知られていて、ヒスタミンをブロックする薬は抗アレルギー薬として頻用されています。

ただしよくよく調べると、マクロファージや好中球の中にもヒスタミンがあることが明らかになってきています。

ヒスタミンについてもアレルギーを引き起こす物質というのは一面的な理解で、本当はもっと複雑な物質でかつ絶妙にコントロールされて出される物質なのだろうと私は思っています。それについてもまたいずれ知識を整理できればと思います。

そんな絶妙にコントロールされるべきヒスタミンが、身体にかかった負荷によって変形したマクロファージや好中球によって過剰に放出され、ヒスタミンが本来果たすべき機能を逸脱してしまった状態がアレルギー性疾患なのではないかと私は考える次第です。

ただ、この仮説にはまだ考えるべき部分があります。IgEが関わるアレルギーというのはアレルギー全体のごく一部です。

具体的には「Ⅰ型アレルギー」と総称される抗原曝露から15〜20分程度で起こる「即時型アレルギー」についてしか言及できていません。他の「Ⅱ型アレルギー」「Ⅲ型アレルギー」「Ⅳ型アレルギー」についてはどう捉えればいいでしょうか。

ややこしい話がつづいて恐縮ですが、医学の既成概念を見直す上で避けては通れない部分なので、

もうしばらくこの辺りの考察を深めていきたいと思います。


たがしゅう

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