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「精神科医が見つけた3つの幸福」書評

category - おすすめ本
2021/ 04/ 12
                 
なるほど、『幸せ』ってそうなっていたのか」と附に落ちる一冊でした。



精神科医が見つけた 3つの幸福
樺沢紫苑 (著)


メンタル疾患の予防のため、書籍、メールマガジン、Youtubeなど様々な媒体で健康情報を発信する精神科医・樺沢紫苑先生の最新著作のテーマは「幸せ」です。

この本の中には私たちが「幸せ」と呼ぶその感情には大きく3つのタイプがあり、

「幸せ」になるためには、その3つの順序を意識して、それぞれに対して具体的な行動を起こしていく必要があることが書かれていました。

その3つとは「セロトニン的な幸福」「オキシトシン的な幸福」「ドーパミン的な幸福」です。

それぞれがどのような「幸福」なのかについては本書を読めばよくわかりますが、

私なりに一言で表現するならば「セロトニン的幸福」は「安定感」「オキシトシン的な幸福」は「安心感」

そして「ドーパミン的な幸福」は「多幸感」ということになるのではないかと感じました。

            

ひとくちに「幸せ」と言っても、その「幸せ」には3つの要素が混ざっているのだと理解することにはまず大きな意義があると思います。

なぜならば「幸せでない」という考えがあった時に、その意味が「安定感がない」のか、「安心感がない」のか、はたまた「多幸感がない」のかではまるで意味が変わり、必然的にその対処法も変わってくるからです。

本書はその複雑な「幸せ」の構成成分をきれいに整理したというところにとどまらず、

それらへの対処は「①セロトニン的な幸福」⇒「②オキシトシン的な幸福」⇒「③ドーパミン的な幸福」の順に行われるべきだという方針を明確に示しているところもすごいです。

その理由として、①を「健康な状態」、②を「人とつながっている状態」、③を「お金や成功などを手に入れた状態」だと考えた場合に、

お金があっても孤独で不健康だと幸せでないし、人とつながっていても健康でないと幸せになれないし、

健康であっても人とつながっていなければ、お金が手に入ったとしてもその「幸せ」な気分は長続きしない、といったように、

具体的なケースを考えていくことで、確かにこの順番以外で幸せになっているケースを想定することができないから、ということが挙げられます。

そして①②は時間が経っても長続きする幸せで、③は時間が経つとすぐに消えて次第に慣れてしまう幸せなので、

①②③のすべての幸せを手に入れるためには、①②の幸せと③の幸せをかけ算するような行動が必要になるというのが樺沢先生の主張です。

それぞれどんな方法なのかはとてもわかりやすく書かれているので、是非とも実際に読んでみてほしいですが、

ここでは私自身が今までの人生を振り返って、「幸せ」へのプロセスを踏むことができているかどうかについて考えてみたいと思います。


私の人生はあなたの人生からわたしの人生へ、そして今わたしたちの人生へと変わりつつあるように思います。

どういうことかと言いますと、16年前に医師になった時、私は何の変哲もない医師の一人でした。

多くの医師がそうであるように、病院文化、保険医療制度、西洋医学中心や科学的根拠に基づく医療による価値観といった既存の枠組みの中で当初私も働いていました。

今考えてみれば、それは誰かが決めたルールに従う生き方で、言い換えれば自分の希望を押し殺す生き方でした。

しかしあるとき私はこのような一般的な医師人生を歩み続けることに強烈な違和感を覚え、

このままでは自分の臨む医療を成し遂げることは永遠にできないと思い直し、

独立開業して自分の考えをおおいに実践することができる働き方へと変えることにしました。

具体的には病院の勤務医から、開業してオンライン診療を専門とする医師への転向です。

これが「あなたの人生」から「わたしの人生」への転換です。

言い換えれば「自分のやりたいことを我慢する人生」から「自分のやりたいことを追い求める人生」へと変えたということです。

これは「3つの幸福」理論で言えば、「ドーパミン的な幸せ」を得るための基礎を整えたという感じでしょうか。

「ドーパミン的な幸福」の前に「セロトニン的幸福(安定・健康)」と「オキシトシン的な幸福(安心・つながり)」があることが前提だというのが「3つの幸福」理論であるわけですが、

この決断をする少し前に私は糖質制限食に出会い健康状態を劇的に改善させた経緯がありましたし(セロトニン的な幸福)、オンライン診療をしようと思ったのは、糖質制限についての情報発信を経て私を求めて下さる患者さんの存在があってこそでした(オキシトシン的な幸福)。

そのような経緯があったおかげで、「ドーパミン的な幸福」を追い求めるための土台を作ろうとオンライン診療医になることを決断することができたわけです。

要するに「自分の思うがままに生きていく」ことが「ドーパミン的な幸福」であるわけですが、それを成し遂げるためには「健康」であることが大前提でかつ「人とのつながり」を大事にしていくことが不可欠だということなのだろうと思います。

そして、そこからさらに「わたしの人生」「わたしたちの人生」へと変わる転換点がきます。それは「結婚」です。

正直言って、私は一生独身でも構わないというタイプでした。

自分一人でいることに孤独よりも居心地のよさを感じる節があったからです。むしろ結婚すれば互いの嫌な面などともどうしても向き合わざるを得ないし、様々なしきたりやルールにも従って生きなければならなくなります。

そんな私も数年前に縁あって素敵な女性と出会うことができ、結婚をするに至ったわけですが、

結婚を経て思ったのは、「一人でできなかったことも、二人でやれば乗り越えられることがある」という当たり前の事実でした。

確かに結婚には嫌な面もあります。ですが2人になることによって、1人の時にはあり得なかった「互いを思いやる」場面が出てきます。

相手のことを考えるがゆえに、今までできなかったことにも挑戦しようという意志が生まれる経験を何度もしました。

オンライン診療の開業についても、自分一人ではじめて自由にできるというまではよかったものの、やはり医師一人でやれることには限界があるという事実に直面しました。

そこでも妻に支えられ、超えられない壁を超えられるよう助けてもらう経験を何度も経験しました。

一方で一人の時は家事なんて適当にやっていましたが、一緒に住む相手がいることで料理や洗濯、掃除も今まで以上にやろうという意識が芽生えました。

趣味も増えました。農業を始めているなんてことは結婚前は考えもしないことでしたが、それも二人でとあるセミナーを受けたからこそでした。

海外への興味が出て来るようになったのも妻のおかげです。最近は自転車で一緒にいろいろなところを走るようにもなりました。

あるいは自分達にまだこどもはいませんが、こども達の未来について真剣に考えるようにもなりました。

「3つの幸福」理論の中では、結婚生活は「オキシトシン的な幸福」と「ドーパミン的な幸福」とのかけ算によって幸せにしていくことができる、と書かれていました。

それはつまり、「夫婦のつながり」を大事にしつつ、「感謝」を潤滑剤にして、一人では難しくとも二人なら乗り越えられる新しい挑戦を次々と乗り越えていくという生活なんだと思います。

結婚は夫婦2人のつながりだけと考えがちですが、実際にはそれ以上に社会とのつながりを大きく意識させられる出来事です。

私と妻の仕事や人脈、成功と挫折、様々な人生経験が組み合わさることによって、

私は一人で生きているわけではない、社会の中の一員として生きているんだということを、一人で生活していた時以上に痛感させられます。

これが「わたしの人生」「わたしたちの人生」へと変わってきていることの意味です。


人生において大きな幸せを得ようとしても、一人でできることなんていうのはたかが知れています。

しかし一人ではなく多くの人達とつながりあうことによってできることの幅はどんどん広がっていきます。

一方でそのつながりはすべての人達と平等である必要はないとも思っています。

家族と深いつながりを作り、親しい人達と有意義な時間を過ごし、理念に共鳴する多くの人達と大きな動きを起こす、

理解し合うのが難しい人達が大勢いることも事実ですが、一緒には活動せずとも最終的にはその人達のことも含めて人類全体の益になるような活動をしていく、

そうして「わたしたちの人生」に含まれるメンバーが「全人類」、いや、ひょっとしたら「全生物」になる人生が理想的な「幸福」だと言ってしまうと言い過ぎでしょうか。

ですが今、私はつながり合って新たな挑戦にチャレンジし続けることに大きな幸せを感じることができています

「3つの幸せ」を読んで、その理由を明確に説明してもらったように感じられました。

これからも私はこの方針で生きていこうと思います。


たがしゅう

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