食事を変えようとしない人達
2014/02/19 00:01:00 |
普段の診療より |
コメント:4件
糖質制限を指導していて本日も思う事がありました。
だいたい私が主に見ている患者さんは60〜70歳くらいの人が多いですが、
その中で割と多いのが「ちょっと小太りで膝腰が痛い」という方です。
体重が大きいと膝腰への負担も自ずと大きくなってきてしまいますので、
こういう時に私は主食の量を半分〜3分の1に減らして、その代わりおかずを増やすという簡易的な糖質制限指導を行ったりしています。
ところがそうした話をひとしきりした後に患者さんが聞くのは「運動はどうしたらいいですか?」という事なんです。 だいたい私は想いが伝わるように熱を入れて一所懸命糖質制限の話をするわけですが、
その初めて聞くであろう食事療法に対して特に質問をするでもなく、どういうわけかすぐに運動の話に移ってしまうのです。
そもそも膝腰が痛いのに、運動をするといっても痛みでやりにくいはずです。高齢者になれば尚更そうです。
だからこそ「運動よりもまず先に食事を見直し、減量して身体が軽くなってから運動について考えましょう」と指導しています。
しかし、そう言って一見納得したように帰られても、その次に会った時にはたいていの患者さんがそのまま食事を変えていません。
そして「運動をあまりしなかったせいですね。」と、いつの間にか話がすり替わったりしているのです。
どうしてそうなってしまうのか、考えてみました。
その理由の一つに「今までに食事で大幅に改善するという成功体験がない」という事があるかもしれません。
要するに食事を多少変えたところでそうたいして変わらないだろうという潜在意識があり、だからこそ食事の話もそこそこに運動の話に移ろうとしてしまうのかもしれません。
それから「今までだってそうやってきたのだから大丈夫」という思いもあるかもしれません。
しかしヒトは必ず老化します。身体の中が老化という変化を起こせば今まで処理できていた問題ができなくなっていきます。その最たるものが「糖質の処理能力」です。
従って、「今までが大丈夫だったから今回も大丈夫」という考えは危うさを秘めています。
あるいはもしかしたら糖質の中毒性故に、無意識に今の食事を変えたくないという心理が働いてしまうのかもしれません。
何はともあれ、全てはやってみない限り始まらないのです。
しかしながら多くの人はスタートラインに立つことすらできていないのが現状です。
それでは成功体験を手に入れる事はできません。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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Re: No title
御質問頂き有難うございます.
御指摘のように中途半端な糖質制限には一抹の不安があります.
カルピンチョ先生が御指摘されている「異所性脂肪沈着」もその一つです.
http://低糖質.com/review/cat31/post_150.html
ただ私の見解ですが,糖代謝,ケトン代謝もどちらも使えない中途半端な状態が理論的には存在するにしても,
ヒトの身体はどちらかに適応するはずで,どちらも使えない状態のまま長く続くということはないと思います.
そして一番大事なことは「今の食事よりも良い状態に持っていく」という事です.
そのために,まず今よりも少しでも糖質量を減らすということは大事な最初のステップだと思います.
No title
ADAは少し前まで最低限130gの糖質摂取を勧めていましたし、今でも日本の穏やかな糖質制限を推奨する医療機関は130gとか150gです。
(Dr.Volekの見解が正しいと仮定して)これではケトンのメリットも得られない、ブドウ糖も不足で糖新生に頼るというのであれば、最悪の目標設定ということになりますね。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
糖質130~150g/日を目標と定めるか、通過点と捉えるか、という見解の差ですね。私は後者です。
2013年12月29日(日)の本ブログ記事
「許容と推奨では雲泥の差」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-135.html
も御参照下さい。
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