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ウイルス感染症とアレルギーは本質的に同じ病気

category - ウイルス再考
2020/ 10/ 08
                 
一般的に細菌がヒトへ感染した時は血液中の白血球の中で「好中球」と呼ばれる細胞が増加します。

一方でウイルスがヒトへ感染した時には同じ白血球の中でも「リンパ球」と呼ばれる細胞が増加します。

ただ、この傾向は例えば結核のような細胞内に寄生する細菌の場合は「リンパ球」が増加する傾向があったりしますので、

細菌やウイルスなど病原体の種類に対して反応しているというよりは、外からの異物に対する「好中球」と内側に入り込んだ異物に対する「リンパ球」というような違いだと考えることができます。

ところがこのルールに全く当てはまらない病原体が一つあります。それは「寄生虫」です。

寄生虫がヒトへ感染すると、好中球でもリンパ球でもなく、「好酸球」と呼ばれる白血球の一部が増加するということがよく知られています。

なぜ、寄生虫が感染すると「好酸球」が増加するのでしょうか
            

なんでそんなことを考えるかと言いますと、「ウイルス感染症は自己システムオーバーヒート」という仮説に立った時に、

ウイルス感染症とアレルギーの病態の共通性に考えが及ぶようになってきたからです。

実はこの「好酸球が増加する病態」として最もよく知られているのは「アレルギー」です。

アレルギーはご存知のように、何らかの物質に対して身体が過敏な反応を呈するという病気の総称です。

その「何らかの物質」というのは必ずしも生き物ではありません。卵や牛乳などの食品、花粉やハウスダストなどの無機物に対しても起こることがあります。

その生き物ではない物質と、生き物である寄生虫とで共通して起こる「好酸球増多」という現象にはどういう意味があるのでしょうか。

もっと言えば、私はすべての病気に対してストレスが関わっているということに対してさんざん注目してきているわけですが、

ストレスが加わり過ぎてストレスホルモンが出せなくなった「副腎不全」という状態でも、「好酸球」が増加します。

またアレルギー性の病態に対してストレスホルモンである「ステロイド」が治療として有効であるということもよく知られた事実です。

「好酸球」を切り口にして、寄生虫を介して、ウイルス感染症とアレルギーの根本原因をつなぐという初の試みをやってみたいと思います。


まず「好酸球」について調べますと、「好中球」と同様に細菌や真菌などの「異物貪食作用」があるとされています。

ただ「好酸球」の「異物貪食作用」は「好中球」に比べると細菌の殺菌作用は強くないのだそうです。

そう考えますと、『「好酸球」は「好中球」のシステムが何らかの原因で使えない時の予備部隊』だという考え方が出てきます。

一方で「好酸球」には「アレルギー性の病態を和らげる働きがある」ともされているのですが、

アレルギーという病態が本質的にはストレスホルモンが相対的に枯渇した状態だと考えると、

その「好酸球」のアレルギーを抑えているように見える働きは、実際には「好酸球」がアレルギーの病態を抑えているわけでも何でもなく、

アレルギーという「好中球」が活動できない状況を何とか乗り越えようとと代償的に「好酸球」が増加して肩代わりしているのだと考えることもできるかもしれません。

ストレスがかかると「好中球」優位に白血球が増加することもわかっていますので、

『アレルギーはストレスがかかりすぎて「好中球」部隊ではストレスに立ち向かうことができなくなった状態』、その結果、第二部隊の好酸球が動員されていると考えるのはどうでしょうか。

それを踏まえて、寄生虫でなぜ「好酸球」が増加するのかを考えてみますと、

寄生虫、例えばマラリアなどは何らかのメカニズムを持って、制御性T細胞を活性化させるという免疫回避機構を持っていることがわかっています。

この制御性T細胞が活性化されると「免疫寛容」といって、間違って攻撃されることがない対象としてみなされるメカニズムが作動します。

寄生虫はどういうわけかこの「免疫寛容」を駆動する仕組みを持っていて、宿主の中で攻撃されなくて済むことができているようなのです。

一方でこの制御性T細胞と対を成すのが「Th17」というT細胞です。

「Th17」は以前ブログで紹介したことがありますが、局所の粘膜免疫に関わる「T細胞」です。

注目すべきは「Th17」は粘膜面の感染を防御するために「好中球」を活性化するという働きを持つということです。

「制御性T細胞」も「Th17」も同じ「前駆T細胞」から分化するのですが、種々のサイトカイン刺激によって「制御性T細胞」優位になれば「免疫寛容」へ、「Th17」優位になれば「異物排除」へと局所免疫は舵を切るという関係性があります。

従って、「寄生虫」感染における「何らかの好中球が使えない原因」というのは、この「制御性T細胞」の活性化が関わっている可能性が示唆されます。

一方で「アレルギー」の場合の「何らかの好中球が使えない原因」というのは、「好中球部隊が駆動されすぎて現場が疲弊してしまっている状態」だと考えることができます。

つまり「寄生虫」と「アレルギー」とでは「好酸球増加」という結果として起こっている現象は同じであっても、その起こされ方というのが全く質が違うということです。

前者は好中球のシステムに余力はあるけれど外部刺激によって一時的に抑えられている状態、後者は好中球システムが使われすぎて故障してしまっているが故に好中球機能をまともに使うことができない状態です。

前者はバランスさえ保てば、寄生虫にとっても宿主にとっても快適な共存関係を保つことが可能だと思います(実際寄生虫感染していても症状がない状態は存在します)。なぜならば好酸球の増多は基本的に寄生虫が感染する局所で起こっているからで、宿主の好中球のシステムは死んでいないからです。

ところが後者の場合は、あるいは前者であってもさらなるストレスがかかるなどの理由で好酸球による代償が激しくなってしまった場合は、好中球の機能を是正しない限りは身体のシステムの恒常性が保てない歪みが出てきてしまうのだと、

それがいわゆるアレルギー症状という形で表面化していると考えられるわけです。

後者の方が問題として深刻であることは、寄生虫感染マウスで「好中球」を減少させる抗がん剤(シクロフォスファミド)を使用した際に「好酸球」の一過性増加が起こるというリバウンド現象が実験結果が観察されることからも示唆されます。

これは急激に「好中球」が減少する事態が生じた際に、それを代償するように「好酸球」が増多するという考えを支持する事実ではないかと思います。

さらに「好酸球」が増多する他の病態としては白血病や悪性リンパ腫といった血液の悪性腫瘍が挙げられます。

この場合の白血病はリンパ球性の白血病、すなわち「好中球」ではなく「リンパ球」が非常に多く増えてしまった際にも同じ状況がもたらされる可能性を示唆しています。

「リンパ球」が優位に増加する病気としては、ウイルス感染症です。・・・ようやくつながりました。


つまり、ウイルス感染症もアレルギー性疾患も、異物排除用の白血球(外向きの「好中球」と内向きの「リンパ球」)の働きが何らかの原因によって機能停止させられた状態で発生する代償反応の歪みというふうには考えられないでしょうか。

このことを踏まえると、抗寄生虫薬のイベルメクチンが新型コロナウイルス感染症に効果を示した理由は理解できるかもしれません。

つまり寄生虫の働きを抑えることで、「好中球」や「リンパ球」の働きを抑制する因子が取れたと。

「好中球」や「リンパ球」を普通に駆動することができる環境に戻ったので、「外敵」と認識されたウイルスを適切に排除することができるようになったという説明です。

・・・難しい話だったかもしれませんが、実はめちゃくちゃ重要な話ではないかと私は思っています。

もしもウイルス感染症とアレルギーが本質的に同じ病気なのだとすれば、

ますます私達が戦うべき相手は「ウイルス」ではないということになるからです。


たがしゅう

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コメント

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アピール??
たがしゅう先生、久々にコメントさせていただきます。
私達が戦うべき相手は「ウイルス」ではないというご指摘は個人的に納得しますが、このことに本当に世間は気づいていないのでしょうか?
現在、コロナに対する各国の対策は「マスク、ソーシャルディスタンスの励行」が軒並みですが、本当にコロナの脅威を恐れての行動でしょうか?
ヨーロッパやアメリカでは再び感染者が増加と騒がれているようです。それがPCR検査の増加なのか、実際にウィルスが再活性始めたのか、それは置いておいて…最近の諸国の国民のコロナ対策に真剣さや厳格さが感じられなくなっています。
日本のテレビの対応もちぐはぐです。
演者間の距離は2メートル程保っているものの、VTRの中に登場する人はマスクはしていても近距離であったり、スポーツ番組においては選手同士は得点後に抱き合うのに観戦者は距離をとって観戦させられる。
率直に変だなぁと思います。
「マスクかソーシャルディスタンスさえ行えば、他人に迷惑は掛からないだろう」と本来の目的とは異なると知っていながら、腑に落ちぬまま公へアピールせざる負えない状態にいる。
世の中が集団心理というものには嵌って抜け出せなくなってしまい、誰かが名乗り出て真実を公言するのを待っている状態に見えるのは私だけでしょうか?
Re: アピール??
だいきち さん

 コメント頂き有難うございます。
 ご返事が遅くなり申し訳ございません。

> …最近の諸国の国民のコロナ対策に真剣さや厳格さが感じられなくなっています。
> 世の中が集団心理というものには嵌って抜け出せなくなってしまい、誰かが名乗り出て真実を公言するのを待っている状態に見えるのは私だけでしょうか?


 人間はそもそも合理的な生き物ではないと思っています。
 科学という概念によって、非合理に秩序がもたらされて合理的な集団になったかと思いきや、
 今回のコロナ騒動でわかったように、むしろその科学という概念によってこそ秩序が乱され続けてしまっている状況にあります。
 
 正しいと思っていた安心の柱のような存在だった科学の信頼性が随所で崩れ始めています。
 感染症や数理モデルの専門家の予想がことごとく外れていることや、科学の粋を集めているはずのWHOの見解が二転三転しているのはその具体例です。もともと医学自身の科学としての基板が統計ベースで弱かったということも関係しているとは思いますが。

 しかし科学の強固な信頼感だけは人々の心の中に深く根付いているので、まぁそれはもう見事に揺さぶられてしまっているのが実情です。
 だいきちさんの違和感は的を射ていると私は思います。そして人々が期待しているのは本当に正しいことを言ってくれて、かつ自分にとって都合がいいことを言ってくれる存在なのでしょうけれど、この分だとそんな救世主が現れるのは期待できそうにないですね。自分の頭で考えて判断していく方がよりベターな選択だと私は思います。