主治医が信頼できない時の対処法

2020/09/08 15:20:00 | YouTuber | コメント:0件

私が、その生き様を大いに参考にさせて頂いている精神科医YouTuberの樺沢紫苑先生の樺ちゃんねる

私が送った質問に対して樺沢先生が動画で答えて下さいました。樺沢先生、お忙しい中誠に有難うございます。

どんな質問を送ったのかと言いますと、次のような内容です。

「樺沢先生はメンタル疾患を持つ方の個別性の高い相談に『主治医に相談する』と言うしかないとおっしゃいますが、その主治医がまともに相談に乗ってくれないとか、もしくは一定の価値観を強要されたりして信頼できない場合はどうすればよいと思われますか?」

これに対する樺沢先生の答えの要点は以下の通りです。 ・まず患者側が信頼関係を判断する前に、主治医に相談をしているかどうか
・一般的に病院には患者が多く、主治医は忙しそうにしているので相談しにくい空気はあるかもしれない
・しかしメモなどを活用し適切に相談すれば、多くの主治医はまともに対応してくれるはず
・95%の医師は常識的でオーソドックスな治療方針を立てている
・信頼関係を築くためには何度も会い、何度もコミュニケーションを取ることが必要不可欠
・主治医が信頼できないことの要因の多くは「誤解」「事実誤認」である
・多くの患者はそもそも体調が悪いのだから、医師の話を「誤解」「事実誤認」するのも無理もない。患者は悪くない。
・だから信頼ができないと判断する前に、信頼関係を築くために自分ができる努力をできる範囲で患者側から積極的に行おう


なるほど、さすが樺沢先生、筋が通った回答であるように思いました。

確かに多くの信頼関係が損なわれるケースの背景には、コミュニケーションの量や質の問題による「誤解」や「事実誤認」があるように思います。

ものすごく嫌いだと思っていた人が、ふとしたコミュニケーションをきっかけに実はいい人だったと認識を改める場面は多くの人が経験するところではないかと思います。

3分診療、5分診療と揶揄されるような制限された環境の中ではあるけれど、

コミュニケーションの量と質を改善させることができれば、多くのまともな医師との信頼関係が構築でき、ひいては自分の納得のいく治療方針へとつながっていくであろうということですね。

この樺沢先生のご意見に対して、私は賛同できる部分とそうでない部分とがあります。

コミュニケーションを改善する必要性については同意できます。それによって多くの誤解は解消されていくことも理解できるところです。

問題は「ほとんどの医師がまともな診療を行っている」という前提に立った意見であるという点です。

確かに樺沢先生のご指摘は、ある面では合っています。多くの医師が診断基準やガイドラインという規則の下に常識的かつオーソドックスな標準的診療を行っているというのはその通りだと思います。

しかし常識的かつオーソドックスな診療が本当にまともな診療であるか、という点については疑問の余地があるところです。

これに関しては科学的根拠を重視し、それが絶対的だという感覚の人にはわかってもらいにくい話しかもしれませんが、

私は糖尿病がんパーキンソン病などの標準的治療がことごとく不幸な結果をもたらしている実情を目の当たりにしてきているので、

その常識的価値観の下に様々な提案をする医師に対して、コミュニケーションの量と質を改善して誤解を減らそうという行為ははたして本当にその患者さんのためになるのかという疑問があります。

医師を信頼するためにコミュニケーションを改善するという行為は大切なのですが、

その医師が重視している価値観自体が信頼できない場合、コミュニケーションを改善する努力を行ってまでその医師を信頼しようと試みることは果たして意義があるのだろうかと私は思います。

樺沢先生は動画の中で、5%の医師は標準的なことを行えないヤブ医者なので、万が一そういう医師に遭遇したら病院を変えればよいが、そんなことは稀だということをおっしゃっていましたが、

標準的治療の概念自体に疑問を持って何か違う解決策を知りたいと考えている患者さんにとっては、95%の標準的治療を遵守している医師こそがヤブ医者ということになってしまうように思います。


もう一つ、標準的診療を行ってさえいれば全国どこの病院の医師にかかっても、コミュニケーションの問題さえ改善すれば良い信頼関係が築けるかと言われたら、そんなことは決してないと思います。

私の経験で言えば、医師の中にはプライドが高い人が多いです。メモを取りながら様々な質問をしてくるような患者のことをよく思わないような医師もおそらくたくさんいるはずです。

1回や2回ならまだしも、何度もメモを見ながら質問してくる患者さんのことを面倒くさいと思う医師はおそらく少なくないはずです。

なぜならば忙しいし、時間は限られているし、そんなこといちいち聞かなくても素直に科学的根拠のある標準的治療従っていればよいのにという気持ちが芽生えてくるからです。

逆に言えば、医師の中でもうすでに結論は決まっているので、患者さん側の気づきから出てくる思わぬ観点に耳を傾けようという謙虚な姿勢が医師にはあまりないからです。

多くの医師は「医師の知識>患者の知識」だと考えていると思いますが、実際には医師には把握しようのない患者さんにしかわからない生の情報が患者さんにはたくさんあるという点で「医師の情報<患者の情報」となっている側面はおおいにあるのです。

だからコミュニケーションは互いが歩み寄り合いながらお互いの知識や情報を交換しあって初めてよいコミュニケーションが成立して、信頼関係にもつながっていくはずだと考えられますので、

忙しいからと言って医師側からの歩み寄りがない場合に信頼関係ができないのは無理もない話であって、そのような状況で患者側の相談の努力を促すだけというのも患者さん側にとって荷が重い話です。

おそらくまともに相談するのが困難であるからこそ、樺沢先生のYouTubeチャンネルに助けを求めるという行動に出ているのだと思いますし、

相談しにくい相手に相談できるような患者さんならば、もうそれはコミュニケーションのプロのようなものですし、それができるようならメンタル疾患にもなっていないであろうとも思います。

勿論、樺沢先生の立場で考えた時に、一度も診ていない患者に対して限られた情報だけで期待できるような答えを与えることができないという点も理解できますけどね。


私の主治医が信頼できない場合の解決策は「じっくり穏やかに相談できる医師を探す」というものです。

今の主治医へのコミュニケーションの改善努力でじっくり相談してもらえるのであればそのままで構いません。

しかしながら、何をどう努力しても3分、5分程度の診療で終わって聞きたいことの半分も聞けないような診療が繰り返されるようであれば、医師を変えることを前向きに検討します。

また時間をかけて相談に乗ってもらうことができたとしても、途中でイラ立つような反応が見られたり、高圧的な態度で接されて、穏やかに話し合うことができない場合も、医師を変えることを前向きに検討します。

あるいは医師を変えるのがハードルが高ければ、セカンドオピニオンとして別にじっくり相談に乗ってもらうことのできる医師がいれば、2人の医師にかかるというのも一つの方法だと思います。

ともかく、じっくり穏やかに自分の健康について考える時間を持つということが極めて重要です。

私はその「場」を作るために、総合診療的なポジションで各30分の予約診療枠を提供するオンライン診療専門クリニックを作ったといっても過言ではありません。

私のオンライン診療では30分という時間をその患者さん専用の時間として確保して、なるべく固定観念にとらわれることなくじっくりと患者さんの相談に乗るようにしています。

また樺沢先生はメンタル疾患の患者は精神的に余裕がないので医者からの説明のすべてを理解しきれずに誤解してしまうことも多いとも述べておられましたが、

これはメンタル疾患に限らず、診療での内容を口頭だけで伝えてそれをすべて覚えられている患者さんなどこの世に一人もいないであろうと思います。

だから私はオンライン診療が終わった後、診療の中で行った指導内容を必ず文章にして患者さんに渡すようにしています。
あとで診療の内容を思い返すことができるようにするためです。

これは医師として私なりのコミュニケーションの質を向上させるための工夫であり、歩み寄りです。

その点に関しては私だけではなく、多くの医師がそれぞれ自分なりのコミュニケーション向上法を持っていると思いますが、

その医師側からの歩み寄りがあるかどうかも、患者さんは相手が信頼にたる人物かどうかを判断する一つの指標にされるとよいのではないかと思います。

あとは実際の診療の中できちんとコミュニケーションをとるように試行錯誤を繰り返していくことです。

そしてその時に主導権は必ず自分にあるということを忘れないようにしてもらいたいと思います。

相手に主導権を持って行かれてしまうと、例えば優しい言葉をかけてくれる医師は皆信頼できるという思考停止的な判断になってしまうからです。

あくまでもまず自分がどうしたいかという気持ちを確認すること、またそれに対する相手の意見が納得できるかどうか、必ず自分の頭で考えて判断する作業が必要不可欠です。

そうすれば本当に信頼できる医師に出会える確率が上がるのではないかと私は思います。


たがしゅう
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