高齢者だけが特別な存在ではない
2020/08/11 06:35:00 |
よくないと思うこと |
コメント:2件
以前、第二波と呼ばれるPCR検査陽性者数増加の波に高齢者の重症舎が少ないことの理由について触れましたが、
世の中では「高齢者をコロナから守る」を合い言葉に高齢者の多い病院や施設などでは面会禁止やマスク・アルコール消毒・ソーシャルディスタンス確保の徹底など様々な方策が行われている実情だと思います。
確かに高齢であることは新型コロナウイルス感染症の重症化要因ではありますが、
「高齢者が皆、新型コロナウイルス感染症で重症化しやすい」ということではないと皆気づいていますでしょうか。
「重症化しやすいほどに身体のシステムが乱れている人が、重症化すべくして重症化している」のであって、そういう人を調べたら高齢者の割合が多かったというだけで、
ここまでにわかっているデータを冷静に捉えれば、ほとんどの高齢者は新型コロナウイルスに感染しても重症化しない人だと考えてよい状況だと思います。 しかし世の中にはびこるイメージというのは怖いもので、
さしたる根拠もなく、すべての高齢者が新型コロナウイルス感染症の重症化予備群のように扱われてしまっており、
実際に若者がお盆の帰省を控えて、本来であれば高齢の家族も交えて一家団欒の時間を過ごすはずの時期にそれが出来なくなってしまっているという実害を生じている状況です。
もはや、どこから何を手をつければよいのかわからない程に世の中が歪みきってしまったように私には思えます。
高齢の方々の情報源はテレビが主体だという話も聞きますので、考えを軌道修正しようという動きも極めて起こりにくいでしょう。
大部分の新型コロナウイルス感染症に対抗できる免疫力をお持ちの高齢者の方々は今、この状況をどのような気持ちで迎えているのでしょうか。
ただ、おそらく今私達は人間の本質というものをまざまざと見せつけられているのだと思います。
集団の大半は大勢派に属して、大勢派が間違えば集団の大半も間違った方向へと進みます。この現象事態は自然の摂理とも言えるでしょう。
しかしもしも大勢派に疑問を持ち、その疑問を解消するための情報を集め、仮説と検証を繰り返し行動する姿勢を持つ人間がいれば、その人は間違いを正す方向に進むことができます。
その行動がとれるかどうかに、きっと年齢は関係ないはずです。
私が言いたいのは高齢であろうとなかろうと、自分の頭で考えて判断する力を持っているかどうかが、
最期まで自分の人生を生きられるかどうかの命運を握っているように思います。
皮肉なことに「高齢者を守ろう」もしくは「自分は守られよう」という意識でいればいるほど、守れなくなる状況に追い込まれてしまう側面があります。
なぜならば真の意味で自分を守ることができるのは自分しかいないからです。
高齢者の方の中でも達観された方は、すべてを受け入れる覚悟で穏やかでいらっしゃる方もおられるはずです。
その姿勢は逃げることから放棄した消極的な姿勢であるように見えるかもしれませんが、
自分の心を能動的に安定させることで、自分自身を守るということにもつながるのではないかと思います。
そしてこの姿勢は、高齢者に限らず、すべての人が持つべきものであって、
そうすればどんな世の中になっても自分の人生を生きることができるようになると私は考える次第です。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
No title
数日間であっさりと逝けるのならば、自分に対しても家族に対しても世間にとっても良い逝き方だと思います。
(父が、脳梗塞で殆どチューブ人間になった際、医者と相談して抗生部質を止めて貰った経験があります。)
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
私も内側からの自分を整える努力をやれるだけやってそれでも死に向かってしまうようなら緩和ケアを希望します。あるいはその時になってみないとわかりませんが、それさえも求めずすべてを受け入れるかもしれません。
一連のコロナ騒動でスウェーデンの施策が非常に注目を集めていますが、背景には自然重視型の死生観があったのではないかと思います。西洋医学一辺倒で侵食され尽くした医療界への強烈なアンチテーゼに思えます。大いに見習うべきところがあるのではないでしょうか。これを機に医療界の価値観が見直されてほしいと願います。
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