Post

        

ステロイドが有効な病気の本質

category - ふと思った事
2020/ 08/ 04
                 
新型コロナウイルス感染症に対する治療薬として、5月に異例の緊急承認をした抗ウイルス薬「レムデシビル」に続き、

7月21日に厚生労働省はステロイド薬の「デキサメタゾン」を、日本国内で承認されている医薬品として追加しました。

私は新型コロナウイルス感染症に限らず、「すべての病気を治療するための基本は食事療法とストレスマネジメントにあり」ということをずっと謳い続けていますが、

ステロイドという薬は自分の身体の副腎という臓器で産生されるストレスに対抗するためのホルモンです。

すなわちステロイドが有効な病気には間違いなくストレスの関与があると言ってよいと思います。
            

ステロイドという薬は新型コロナウイルス感染症はおろか、実に様々な病気に効く妙薬です。

例えば、気管支喘息の治療薬としてはステロイドの吸入薬が使われます。

あるいはアトピー性皮膚炎の治療薬としてステロイドの外用薬が使われます。

ステロイドの内服薬であればその適応は非常に多いです。原因不明の消化器疾患である潰瘍性大腸炎やクローン病はどちらにもステロイドが使われますし、

謎の関節炎たる関節リウマチに対してもステロイドが消炎に使われますし、

血液疾患の悪性リンパ腫に対してのCHOP療法と呼ばれる治療法にもステロイドが使われています。

新型コロナウイルス感染症の病態として注目されている間質性肺炎の治療にもステロイドが使われますし、

そもそも重症感染症の治療としてステロイドカバーとして抗生物質などと併用してステロイドを使う治療戦略はよくあることです。

今述べた以外にも無数のステロイド適応疾患があり、しかもその効果は非常に大きなものがあります。

ところがこれもよく知られたことですが、ステロイドは言わば諸刃の剣、使う量が多ければ多いほど、使用期間が長くなればなるほど、深刻な副作用に悩まされることになってしまいます。

多い副作用としては高血圧、糖尿病、骨粗鬆症、消化性潰瘍、精神症状、そして新型コロナウイルス感染症の重症化例でも話題となっている血栓症などがあります。

そして最も特徴的なステロイドの副作用は「易感染性」です。つまり感染症にかかりやすくなって重症化しやすくなってしまうということです。

先程ステロイドは重症感染症に用いることがあると言ったばかりですが、そのステロイドが易感染性を引き起こすとはどういうことでしょうか。

実はステロイドの目的は病原体をやっつけることにあらず、過剰な炎症を抑えこもうとするところにあります。

従って過剰な炎症が存在している時にその過剰な炎症を抑える分だけ適量用いれば事態の収束に働く非常に重要な因子となるのですが、

この量が多すぎるとかえって感染症の悪化につながってしまうという適切に使うのが非常に難しいお薬なのです。

というよりもはっきり言って必要なステロイドを常に必要なだけ与えることを他人が行うことはほぼ不可能なことです。

なぜならばステロイドの必要量は刻一刻と変化します。しかもその変動要因は他人が確認できる目に見えるものだけではありません。

他人からは見えないストレスの問題が、ステロイドの需要を増加させたりもしているわけで、その見えない要因を他人がすべて把握し最適の量を投与し続けることは理論上不可能です。

それができるとしたら自分の身体の自前のステロイド分泌システムに任せるより他にありません。なので、ステロイドホルモンをむやみに過剰分泌させず、必要な時に必要なだけ分泌させるように仕向けるストレスマネジメントが万病の治療へとつながるわけです。

新型コロナウイルス感染症に関しても、体内に過剰炎症が存在している時にはステロイドが有効である可能性があります。だからこそ新型コロナウイルス感染症の治療薬として承認されたのだと思いますが、

何度も言うようにこれは諸刃の剣、たとえどんな名医であろうとも所詮は赤の他人である医師が正確かつ適切にステロイドを補充し続けるのは無理です。必ず多すぎるか少なすぎるかのどちらかに転びます。

その補充量が本来の適正量と比べてたまたま誤差が少なければ、治療薬としての効果を果たすことができますが、

もし運良くそれが成し遂げられたとしても今度はまた別の問題が発生します。

そのように外部からのステロイドに頼っていると、その場は何とかしのげたとしても、自力でステロイドを分泌する能力が弱ってしまうので、

次にまた同様のイベントに見舞われやすくなってしまう、つまり外部からのステロイドに延々と頼らざるを得ない状況に追い込まれてしまうということです。

冒頭にステロイドの適応疾患として紹介した、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、関節リウマチ、悪性リンパ腫、間質性肺炎はすべて慢性炎症性疾患です。言い換えれば、ずっと抱え続けている基礎疾患です。

その治療を外部のステロイドに依存しているが故に慢性的な基礎疾患となってしまう構造が理解できるのではないでしょうか。

そしてこれらの病気に対してストレスの関与はほとんどの場合申し訳程度に、「ストレスがこの病気に関係することもある」と添えられているくらいの扱いで、

よもやストレスの問題が病態の中心にあると今の医学では捉えられていないというのが現状です。

なぜステロイドを外部から補わざるを得ない状況になったのか、それは人生の中でストレスホルモンであるステロイドを過剰分泌させられて外部から補わないと間に合わない状況があったからと考えれば実にスマートです。

新型コロナウイルス感染症に対してステロイドが有効であるというのも、新型コロナウイルス感染症という病態がストレスによって駆動される病態であるからこそだと思います。

決してむやみに不安や恐怖をあおられてはなりません。そのことが新型コロナウイルス感染症を重症化させうる身近でかつ最強の要因です。

私達はあらゆる角度からこのストレスに自力で対処できるようにする手段を学ぶ意義があると思います。


たがしゅう

関連記事

            
                                  

コメント

非公開コメント
        

No title
ステロイド怖いですよね。
咳がずっと続くといっていた84歳の父が(咳が副作用の薬を含めて8種類ほど常用薬有り)アドエアを処方されて1Wで重篤な肺炎に移行。入院直後、あと2.3日だといわれ、ステロイドパルスを勧められましたが断って、栄養水分補給のみで抗生剤以外の投薬はすべてやめてもらいました。3W後亡くなりました。ステロイドパルスをしていたら医者の言うとおり2,3日で死んでいたでしょう。
今回の新型コロナによるサイレント肺炎もステロイド(その他の投薬)が絡んでいる気がしてます。
Re: No title
歯科医 さん

 コメント頂き有難うございます。

 外部からステロイドを補う際の問題は、最適点が他者からは判断しようがないという点だと思います。
 結果論的にステロイドの投与が病態を収束させることはありますが、その行為は常にやりすぎのリスクと隣り合わせです。そして自力でのステロイド分泌能をそぎ落とします。

 おっしゃるように新型コロナウイルスによる症状がないのにCT上肺炎があるという状態にはステロイドが関わっていると思います。
 ステロイドの慢性的自己分泌を促す交感神経過緊張状態が、本来肺炎で感じる自覚症状を感じなくさせると同時に、事態を収束させるために必要なステロイド自己分泌ができなくなっているが故に起こっていることだと考えることができます。

 2020年4月30日(木)の本ブログ記事
 「自覚症状がないのに他覚所見がある理由」
 https://tagashuu.jp/blog-entry-1753.html
 もご参照下さい。