違う現象に見えて実は同じ現象

2020/07/14 11:05:01 | 素朴な疑問 | コメント:0件

「群盲象を評す(ぐんもうぞうをひょうす)」という言葉があります。

数人の盲人が象のそれぞれ違った部位を触って、異なった感想を語り合い対立する意見を述べるも、それぞれ言っていることは正しいながらも誰も全体が見えていないということを戒める意味を表しています。

象の鼻を触ったある盲人は「木の枝のようです」と答え、またある耳を触った別の盲人は「扇のようです」と答え、さらに象の腹を触った盲人は「壁のようです」と答えます。それぞれは間違った内容ではないはずです。

アメリカの新型コロナウイルス感染症は脅威のウイルス感染症である、日本ではファクターXのせいでただの風邪に近い感染症である、そんなものの見方もまた「群盲象を評す」に陥ってしまってはいないでしょうか。

前回私は、日本とアメリカをはじめ、世界各国で異なる様相を呈する新型コロナウイルス感染症は、実は本質的には同じ病気であるという見解を示しました。

なぜならば、死亡者数の数こそ違えど、死亡者は75歳以上の高齢者に圧倒的に集中している点、第一波のピークを経て第二波と呼ばれる現象はいずれの国でも無症状・軽症者が圧倒的多数で重症者は非常に少ないという傾向を示していること、

そしてPCR検査数が多い国ほど感染者数が多くなるという傾向を示しているという共通点が認められるからです。 もしもA国とB国でこのウイルス感染症が違う特徴を持っているというのであれば、

好発年齢も、時間的推移も、検査数における感染者数の割合も、もっと違った様相を示していて然るべきです。

あまりにも異なる死亡者数の差で惑わされてしまいますが、ここを踏まえれば結局、同じ病気の違った部分を見ているに過ぎないという事実に気づくことができます。

「群盲象を評す」の例えで言えば、「大きさは違っても象は象」といったところでしょうか。

そもそも検査をすればするほど感染者数が増えるという特徴自体も変なのです。患者数が有限であれば、いくら検査の数を増やそうとも陽性になる患者数は有限なのですから、

大流行地域以外は検査数が増えれば増えるほど検査陽性率はどんどん下がっていかなければおかしいのです。

それなのに実際はPCR検査数の増加に伴い「陽性者=感染者」と判定されてしまう数が増えるという現象が、

日本では東京や大阪の大都市部で特にクローズアップされていますが、世界各国で同様の現象が普遍的に確認されているわけです。

ということはこれは特定のウイルスがどこかを起点にしてそこから拡大しているというよりは、世界中にすでに普遍的に存在するPCR検査を陽性にしうる新型コロナウイルス以外の何かを一定の確率で誤検出してしまっている可能性が高いと私は考えています。

そして誤検出させる最も可能性の高いものとして旧型コロナウイルスを検出しているであろうということです。

もっと言えば、旧型コロナウイルスも新型コロナウイルスもウイルスとしての性質に大差はなく、それを受け入れる宿主の状態によって軽症となったり重症となったりする可能性を強く疑っています。


さて、いずれにしても日本とアメリカで新型コロナウイルスが同一のものを見ているのだとすれば、

なにゆえ死亡数が2桁異なるほどの違いがもたらされてしまっているのでしょうか。

これについて先天的要因の可能性を私は第一に考えていましたが、前回の考察も踏まえてその要素は薄いと考えざるを得ません。

ただ前回紹介した論文では黒人における新型コロナウイルス感染症の死亡者は多い傾向がありました。そうすると黒人特有の先天的要素が関わっているということになるのでしょうか。

いや、それだと白人の多いフランスやスペインで死亡者が多かったことの説明にはなりませんね。やはり先天的要素でこの違いを説明するのは厳しいと考えざるを得ません。

そうすると考え得る可能性は後天的要素しかありません。アメリカにおける黒人やフランスやスペインにおける白人に共通する重症化率を高める後天的要素があるはずです。

後天的要素としてよく言われているのは、「BCGワクチンによる自然免疫システムの賦活」「新型コロナウイルスと類似の構造を持つウイルスの既感染による交差免疫」の2つでしょう。

まずBCGワクチン接種の有無である可能性はかなり低いと私は思っています。その理由は以前にも述べましたが、ワクチンへの考察を経てさらにその思いを強くしています。

病原体そのものを用いる生ワクチンより病原体の一部の抗原を用いる不活化ワクチンの方が抗体産生能が弱いという事実、

一方で新型コロナウイルスそのものに感染しても抗体獲得率が低いし、抗体を獲得しても数ヶ月で消えてしまうという事実

それなのにBCGワクチンが病原体そのものよりも優れた獲得免疫を手に入れることは原理的に無理だというのがひとつ。

それから期待の自然免疫賦活効果も、もしも新型コロナウイルスに対して強力な自然免疫が賦活されるのであれば、他のウイルスに対してもそのような疫学的特徴を示していなければおかしいのに、そんなクローズアップをされたことは過去に一度もありません。

誤解のないように言えば、BCGワクチンに自然免疫を賦活する効果が全くないわけではありません。

自然免疫はすべての「自己」以外の異物に対して働きうるシステムなので、BCGワクチンに限らずどんな異物と接した時でも賦活されうるでしょう。

ただしその賦活のされ方が問題です。BCGワクチンは皮内注射で本来入り得ない部分に抗原を侵入させて残留させることで持続的に異物除去反応を惹起させ続ける方法論なので、

確かに自然免疫は刺激されるかもしれませんが、非常に不自然かつ持続的な刺激になってしまうために自然免疫システムのオーバーヒートを起こしうるやり方です。これがよい自然免疫の状態を保つ方法となりえるでしょうか。

そしてBCGの本来の目的である結核菌に対する効果でさえ、52〜74%程度だという中途半端な効果です。どう考えてもBCGワクチンが決定的な因子だと私には思えません。


もう一つ、交差免疫説ですが、実はたまたま日本で旧型コロナウイルスが実は流行っていて、その旧型コロナへの免疫が旧型コロナと似ている新型コロナウイルスにも同時に効果をもたらしているという論法ですが、これについても私は否定的に感じています。

なぜならば、旧型コロナウイルスはすでに全世界に普遍的に存在していると考えられるからです。

なぜそう思うかというと、世界中で新型コロナウイルスのPCR検査の陽性者が確認されているからです。先述のようにPCR検査は標的とする遺伝子の一部を検出し増幅させて陽性か陰性かの判定をするという性質上、似ている新型と旧型のウイルスを区別できず誤検出しうる検査方法です。

ということは世界中のPCR検査陽性者の中に新型ではなく、旧型も一定の確率で混在しているということになります。

しかもPCR検査陽性者数の多い国であればあるほど、旧型コロナを誤検出している割合は多くなるので、交差免疫は強く発動されうることにならないとおかしいわけですが、

実際は交差免疫が働いていそうに見える重症化率の少ない国々は日本や中国、韓国など東アジアの国々に集中しています。

ということは、東アジアの旧型コロナウイルスと、欧米諸国の旧型コロナウイルスの性質が違うということになってしまいますが、

そうであれば何がその違いをもたらすのかという理由付けが必要ですが、その理由は少なくとも現時点では判明していないと思います。

私は旧型コロナウイルスも新型コロナウイルスも遺伝子の配列が若干違うだけで大差はないという見解を持っていますし、

仮に大差があるのだとしても新型コロナウイルスだけはこんなに世界的に拡大するのに、東アジア土着の旧型コロナウイルスたるものがあったとして、それだけは世界的に拡大しないのは不自然です。


では私は2桁の死亡率の違いを生み出す後天的要因は何だと考えるのかと言いますと、

基本に立ち返って宿主側の要因です。何せ感染爆発国であっても若者はほとんど死亡していないのです。

食事とメンタルの問題を中心に免疫力が乱れている人が新型コロナのみにならず、持続的に外敵と認識され続けるウイルスを宿してしまったら自らの外敵排除システムの暴走、サイトカインストームで命を落としてしまうということなのであろうと思います。

黒人に死亡者が集中しているのは、推測に過ぎませんが、根強い差別に基づく貧困やストレスの問題も関わっているのかもしれません。

ともあれ何が原因であろうと私達がやるべきことははっきりしています。

自分の身体と心を整えることです。


たがしゅう
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