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恐怖におののく社会ほど数が増える

category - 素朴な疑問
2020/ 06/ 04
                 
新型コロナウイルス感染症にまつわっては日本の死亡者数が欧米諸国の死亡者数より2桁違うということで、

なぜ日本の死亡者数がそれほどまでに少なく抑えられているのかという点に興味が行きがちです。

その背景には感染者数であれば検査の偽陽性などによって見せかけの多さをもたらすことができるかもしれないけれど、

流石に死亡者数をごまかすことはできないだろうから、日本の死亡者数の少なさは本物で、欧米諸国に比べて日本では感染の拡大を抑えられているであろうという見方があると思います。

ただひょっとしたらその解釈は逆で、日本における状況がむしろ普通で、欧米諸国の死亡者数の多さがむしろ異常なのかもしれません。

死亡者数がごまかせないであろうという点に関しては私も異論はありません。ただ、死因が「新型コロナウイルス感染症」とされている死亡者の死因が本当にそうなのかに関しては検討の余地が残ると思います。
            

PCR検査の偽陽性率、すなわち本当は新型コロナウイルスはいないのに、まるで新型コロナウイルスがいるかのように誤認されてしまう率はどのくらいでしょうか。

一般的にPCR検査は特異度が高く、誤って陽性と判定される率、即ち偽陽性率はかなり低いと言われています。

ただしそれは「目的とする遺伝子配列を検出することに対して」特異度が高いということであって、新型コロナウイルスにも旧型コロナウイルスにも共通する遺伝子配列であれば、新型と旧型の存在割合に応じた真の偽陽性(旧型を誤って新型と誤認してしまう)が出てくることになります。

さらには新型コロナウイルスの検査キットのデータシートにはコロナウイルスに限らず、インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス、さらにはマイコプラズマやクラミジアといった非定型細菌においてでさえ検査陽性と判定されうることが書かれています。

そうなってくると真の真の偽陽性(本当は別のウイルスとか非定型細菌がいるだけなのに新型だと誤認されてしまう)はさらに高くなってくるはずです。

そうした上澄みがあることも踏まえて、はたして新型コロナウイルス感染症が純粋にどの程度存在しているのか、その純度を表す純粋なる新型コロナウイルス感染症を検出する真の特異度は、広大なネット世界のどこを調べてみても数字は出てきません。

そもそも特異度という数値を出すためには、ある疾患に対する「確定診断」の手法が確立していることが必須要件です。

現状、新型コロナウイルス感染症がどうやって確定診断されているかと言えば、この大いに不確実性の問題をはらんだPCR検査に重きが置かれています。

勿論、流石にPCR検査が陽性というだけでは「新型コロナウイルス感染症」とは確定診断されません。

これは新型コロナウイルス感染症だろうと医療の中でコンセンサス(複数人による合意)が得られた臨床症状や検査所見を伴うことがPCR検査陽性以外に新型コロナウイルス感染症だと確定診断を下すために必要な要件となります。

それは有名なところでは発熱、咳などの呼吸器症状ですが、おわかりのようにこれは「かぜ症候群」として世間で高頻度で認められる症状です。

私が新型コロナウイルス感染症の主な臨床症状が発熱や呼吸器症状だとはじめて聞いた時は、正直「それだと普通のかぜと全く区別がつかないじゃないか、かぜの人全員に新型コロナの検査をしなければならないの?」というものです。

PCR検査は潜在的に高い偽陽性率がある、新型コロナウイルス感染症に特徴的とされる症状はありふれた「かぜ」の症状…、

これが意味することは、検査をすればするほど「本当に正しいかどうかは別として、新型コロナウイルス感染症だと判定される患者がどんどん増えていく」ということになります。

その中で本当に純粋に新型コロナウイルスによって症状が引き起こされているのかどうかということは、おそらく誰にも確認されないまま、すべて「新型コロナウイルス感染症である」として処理されてしまっていると思います。

また発熱と呼吸器症状だけに限っていればまだしも、稀ながら味覚障害や嗅覚障害、脳梗塞や髄膜炎など非典型的な症状の患者も出てきたので、検査対象となる患者もさらに増えることになってきました。

それとて偽陽性の問題を踏まえれば、本当に新型コロナウイルスのせいで味覚障害などが出ているのかわかりませんし、

無症状感染者が存在することからも、ウイルスがそこにいれば即感染症が成立するというわけでもなく、潜伏感染の問題も含めれば、PCR検査が陽性でもそのウイルスの遺伝子配列が症状発現に関与しているかどうかわかりませんし、

もっと言えば、その遺伝子配列を持つウイルスが生きているのか死んでいるのかもPCR検査陽性だけではわかりません。ウイルスの死骸(機能しないウイルスDNA)があるだけでもPCR検査は陽性となりえます。

もはやPCR検査さえ陽性であれば、どんな症状であっても「新型コロナウイルス感染症」であるといった雰囲気はこうした誤認のもとに作られていってしまうように思うのです。

さてそうなってくると、国や地域のコミュニティの価値観によって新型コロナウイルス感染症の感染者数はおろか、新型コロナウイルス死亡者数のカウントはかなり変わってくるように思います。

新型コロナウイルス感染症の患者撲滅を目指して徹底的に検査数を増やしていくようなスタンスの国では、

先程の偽陽性の問題によって「真の原因がどうあれ新型コロナウイルス感染症だと判定されてしまう患者」がどんどん増えていってしまうはずです。

そうした姿勢の国では、下手すれば典型的な肺炎の症状がなくても、「新型コロナウイルス感染症の新しい症状かもしれまい」と積極的にPCR検査を行って、

陽性であれば「真の原因がどうあれ新型コロナウイルス感染症だと判定されてしまう患者」をさらに増やしてしまうことになるでしょう。

そしてそうした患者が脳梗塞や髄膜炎など、何の原因で亡くなったとしても、

真の死因がどうあれ、その患者の死因が「新型コロナウイルス感染症」だと診断されてしまうことは想像に難くないでしょう。

つまり、「恐怖におののいて検査を実行すればするほど、感染者数も死因を「新型コロナウイルス感染症」だと判定される死亡者も純粋な数以上にどんどん増えていく、ということになります。

そういう意味で言えば、日本は検査をしようにも体制が整っていなかったという側面があり、それが幸いして感染症数が少なくて済んだ可能性はあると思います。

逆に言えば、同じ日本の中でも真面目に検査しようと取り組んでいる地域であればあるほど、感染者や死因「新型コロナウイルス感染症」の死亡者は増えていくという構図があるように思えます。今の日本もそのようになっている様子はニュースからも十分うかがうことができます。

さて冒頭に死亡者数はごまかせないという意見に同意しましたが、

恐怖におののく社会では仮に偽陽性を除くことができたとしても、本来の新型コロナウイルス感染症による死亡者数よりも実際の死亡者数が若干増えるであろうことは十分に予想されます。

なぜならば新型コロナウイルス感染症の性質上、これに対応できる医療機関が限られてしまうため、

こうした医療機関に新型コロナウイルス感染症と判断された患者が集中して、しかもその患者には隔離や換気などの然るべき感染予防策を講じなければならないため、

その医療期間のキャパシティを超えるとコロナ対応以外の機能が停止してしまい、

本来医療機関にかかれば救われていたはずの病態の患者(脳梗塞や心筋梗塞など)に対応できず死亡してしまう可能性が上がるからです。

だからそのごまかせないはずの死亡者数が、恐怖におののく社会では何割か増しで実際に増えるという可能性も考慮しておく必要があります。

そんな中で「超過死亡」という指標が注目されています。

これは、来年の感染症が流行していない年の死亡者数と流行年の死亡者数とを比べて、

感染症の流行が死亡者数の押し上げにどれだけ寄与したかを示す指標です。

ところがこの「超過死亡」、様々なニュースで何万人とかいう数字は紹介されているのですが、

実際にその数字がどうやって算出されたのかというプロセスを私が調べる限り確認することが出来なかったので、

自分でざっくりとではありますが調べてみることにしました。

例えば、超過死亡が高いであろうことが想定されているアメリカにおいて、

世界人口統計によれば1975年から2020年までにおける5年ごとに調べた1000人あたりの死亡率はだいたい8.5でした。

ということは1年で亡くなるのは5で割って、「1.7」です。

アメリカの2019年時点の人口は329,064,916人なので、この年の推定総死亡者数は329,064,916×1.7/1000=559,410人です。

で、現在までにアメリカで新型コロナウイルス感染症が原因で亡くなったとされる人の数は109,140人になります(2020年6月4日現在)

単純に考えれば、全死因の5分の1が新型コロナウイルス感染症による死亡ということになり、額面通りこの数字を受け止めたら、「アメリカでは相当なパンデミックが起こっている!?」という話になるのかもしれませんが、

先程まで見てきたように「新型コロナウイルス感染症による死亡が過剰に見積もられている」のだとするならば、

この109,140人の中には本当は新型コロナウイルスは無関係なのに「新型コロナウイルス感染症による死亡と判断されてしまった人」が多分に混ざっているように思います。

その意味で「超過死亡」という数値も私に言わせれば少なくとも現時点では信用に足らない指標です。

これが来年のアメリカでの総死亡者数の559,410人を大きく超えてくるのなら、流石にアメリカでの新型コロナウイルス感染症による死亡者数の押し上げを信じざるを得ない状況だと思いますが、

2020年のアメリカでの最終的な総死亡者数が50〜60万人に留まるのであれば、

「なんか色々騒いだけれど、年間を通してトータルでみると例年とたいして変わらない死亡者数だった」ということになると思います。

前述の医療崩壊のせいで救えない患者さんの分の押し上げを踏まえても70万人くらいまでもしも総死亡者数が収まってくるのだとすれば、

このパンデミックと思われている現象が完全に人災であるということが、かなりの部分で証明されるのではないでしょうか。

そういう意味で、アメリカに限りませんが、2020年における世界各国での新型コロナウイルス感染症による死亡者数が、

最終的にどのくらいになるのかという結果には注目したいと思います。


たがしゅう

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コメント

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大事なご指摘ありがとうございます
たがしゅう先生

いつも示唆に富む記事を書いて下さり、自分の思いもハッキリしてくる感じで勇気づけられる思いでいます。

欧米の死亡数について同じことを思っていました。向こうが多すぎるのではないかと。統計の取り方がそれでいいのだろうかと。そもそも人の死因は複雑です。それを単純にこのウイルス検査で陽性であったというだけで直線的に死因にしているようです。特に、BBCの記事を読んでいるとそう思います。

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-52946062

ということで、このあたりはしっかりした吟味が必要だと思っています。が、届いてくる情報はこういう単線的な記事が多いなと閉口している次第です。

また、今回の先生のブログ記事ではないですがウイルスの働きについて内因的要因が大きいというご指摘などまさにその通りだと思います。こういう主体の側の働きを考慮にいれないとこの問題を打ち破っていくことは出来ないと思っています。示唆に富む情報です。

このあたりのところお医者様の立場からしっかり書いて下さっているのが心強いです。

今後のご活躍を期待しています。
Re: 大事なご指摘ありがとうございます
山下和夫 さん

 コメント頂き有難うございます。

 筋道立てて考えれば、私には今回の新型コロナウイルスがただの風邪ウイルスだとしか思えないのですが、
 その観点に立った時に矛盾を生じているのが欧米諸国における死亡者の多さでした。

 もしも私の仮説が正しければ、欧米のデータを疑う必然性が出てきます。
 その上で考え続けてたどり着いた今回の視点でした。

 ちなみに陰謀論も飛び交い情報が錯綜する中ですが、私は陰謀論は基本的に否定的です。陰謀論をアリにしてしまうと「情報が嘘かもしれない」という観点が入り、何でもアリとなってしまうからです。勿論、陰謀が世の中に存在しないわけではないので可能性はゼロではありませんが、まずは「そうなるだけの必然的な理由がある」という視点で考えるようにして、すべての情報をあおりや過剰報道も含めて情報を広い意味で真として、その上で最も合理的な説明を考えるようにしている次第です。