専門家のプライドが引き起こす悲劇

2020/05/16 05:30:00 | ウイルス再考 | コメント:2件

前回に引き続き、感染症治療の専門家、岩田健太郎先生が書かれた「新型コロナウイルスの真実」という本を読んで、

私が気になった部分についてピックアップしていきたいと思います。まずはこちらです。

(p27-28より引用)

(前略)

日本では亡くなるほど重症化するのはいわゆる高齢者、80代から90代の人が多いです。

逆に子供の患者さんは非常に少ないし、罹っても重症化しないで、たいていは治ってしまうといわれています。

2002年のSARSも同様で、子供は罹りにくい、罹っても重症化しないといわれてました。その理由は今のところわかっていません。

「じつは子供も結構罹っているけれど、症状が出ないので気づいてないだけだ」という意見もありますが、この辺はいまだに謎なんです。

だから、小・中・高等学校の一斉休校に意味があるのか、それともないのかには諸説あり、決着はついていません。

後々に検証する必要がありますし、ぼく自身も検証するつもりでいます。

専門家会議は「若者がウイルスを拡げている」と言っていますが、必ずしもそのようなデータはありません

彼らが言うには、感染者が多く確認されている北海道のデータを見ると若者が拡げているかもしれないという話ですが、

30代、40代、50代あるいは60代まで、幅広い年代の人が容易にウイルスを拡げますから、「若者が伝播の中心」とはいえないでしょう。

(引用、ここまで)



「若者が感染拡大の原因だとは到底思えない」という意見は私も過去に述べましたが、

「若者がウイルスを拡げている」という専門家会議の見解に対しては岩田先生も異議を唱えておられます。

ただその理由は「若者がウイルスを拡げているというデータがないから」、相変わらずエビデンス中心主義ですね。

私はエビデンスもないのになぜ専門家会議が「若者がウイルスを拡げている」という根拠の乏しい見解を出したかについては、専門家の「わからないことをわからないと素直にいえない性質」に由来するのではないかと考えています。

この専門家会議の見解が出る元となった当時北海道感染者では、感染経路が不明の事例が多くありました。

一体どこでどのように感染したのかが調べても皆目見当がつかないと、本来であればそこで「なぜ感染が広がったのかはわかりません」と言わなければならない。

しかし政府から特別な招集を受け、何らかの対策を出すことが期待されてれる専門家の立場にいる人は「わからないから対策は立てられません」とは口が裂けても言えません。

その結果、「わからないけれどおそらく行動範囲の広い若者が無意識に拡げたのではなかろうか」という根拠のない憶測で政府に見解を述べてしまった。

その憶測に基づく発言を政府は「専門家のしかるべき分析に基づく合理的な見解」だと受け止めて大々的に発表してしまった、そんなところだったのではないかと思います。

ちなみに私はこの感染経路不明の例が多数あるという事実があることによって、

このウイルスは一つひとつ丁寧に伝播して感染が拡大したのではなく、従来から存在する旧型のコロナウイルスをPCR検査で偽陽性で新型コロナウイルスと間違って検出している可能性を強く疑いました。

もしもそうだとすればこれは世紀の大誤算なので直ちに確認されるべき事象であるはずなのに、

今更「旧型コロナウイルスを間違って検出してしまっていました」とは口が裂けても言えないからなのかわかりませんが、そのことを誰も検証しようとしません。

もう一つ重要な事実は、岩田先生も書かれているようにこの病気はこどもはかかりにくく、かかったとしても重症化しないという事実です。

これがあるにも関わらず、政府は全国小中高等学校の一斉休校という異例の措置に踏み切っています。

この判断の背景に専門家会議の「若者がウイルスを拡げている」発言の影響があったであろうことは普通に考えれば間違いないのではないかと思います。

その発言があったによって、「若者だらけの学校において万が一にも感染者を出してしまったら国民の大きな反感を買ってしまう」と思っても不思議ではない流れが出来上がりました。

その結果、全国一斉休校という非合理的な理由に基づく判断へと導かれてしまい、

もっと言えば、この辺りから国民の感覚もとにかく健康な人であっても誰であっても人との接触を避けなければならないという、

最近の「新しい生活様式」の概念へとつながる「ゼロリスク主義」の片鱗が見え始めていたように思います。

学校でただの一人も感染者が出てはいけないのでしょうか。

今までにわかっている事実として感染したこどもは軽く済む可能性が極めて高いということがわかっていても、それでも学業を停止してまで一切のウイルスとの接触の可能性を排除し続けなければならないのでしょうか。

万に一つ、こどもで重症化する人が現れることがあったとして、それは100%ウイルスのせいなのでしょうか。そこまでシステムがオーバーヒートする患者側の責任は一切ないのでしょうか。

今や新型コロナウイルス感染症にかかったこどもが一人でも出たら学校は続けられないとでも言うような空気に満ち満ちています。

これまでならば仮にインフルエンザの感染者がこどもに出て集団感染が起こったとしてもそこまでの事態には陥らなかったはずです。

今と以前とで変わったのはウイルスの性質だけでしょうか。

私はウイルスというものに対する社会の見方が大きく変わってしまったと考えています。

その変化の源泉が、専門家のつまらないプライドによって導かれた「若者がウイルスを拡げている(かもしれない)」という発言にあるのだとすれば、専門家発言の責任には極めて重いものがあると思います。

誰もそこが原因だとは思わないかもしれませんが、常識という名の多数派の価値観に従って、大勢派の流れに逆らうことを拒んで、いつの間にか思考や行動が操られてしまっている人も多いと思います。

岩田先生は専門家たるものデータなしでものを言ってはいけないと考えていると思いますが、

私は専門家のつまらないプライドによって生み出された憶測が専門家を盲信する大衆の中で肥大化する現象に問題を感じています。

結論は一緒でも、岩田先生と私が見ている世界はおそらく全く違うのではないかと思います。


たがしゅう
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コメント

2020/05/16(土) 15:57:41 | URL | ゆき #-
PCR検査についてですが、今回の新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザウイルスやこれまでの風邪ウイルスでも陽性と出る場合があり、PCR検査が陽性というだけで新型コロナウイルス感染と確定してはいけない、PCRの結果だけでなく、臨床症状や他検査、武漢などへの渡航歴など総合的に判断しなければならない、
というような旨が検査キットの説明書に記載されていると聞いたことがあります。(実際見たわけではありませんので確かなことは言えないのですが)
ですからたがしゅう先生が仰られるように、PCR検査が旧型コロナウイルスを陽性としてとらえていることや、感染経路不明が多いこともそのためである可能性が高いのではないでしょうか。
これは新型コロナウイルス対策を考えるうえで物凄く重要なことだと思います。
状況が一変すると言っても過言ではないと思います。
でも何故か報道などで取り上げられていません。
なぜでしょうか?本当に疑問に思っています。

Re: タイトルなし

2020/05/16(土) 21:03:48 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
ゆき さん

 コメント頂き有難うございます。

 私もPCR検査の性質から来る不確実性について検証されない事を非常に疑問に感じています。
 今の私に真実を確かめる術はありませんが、少なくとも感染経路不明の多さからより現実に即した妥当な仮説を導く事はできます。

 それは新型コロナウイルスが飛沫や接触を経て感染したという選択肢しか考えない人には決してたどり着くことのできない考えであろうと思います。立場ある人に是非とも検証してもらいたいと願う限りです。

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