構造を理解した自粛中止は医療崩壊を止める
2020/05/06 17:45:00 |
読者の方からの御投稿 |
コメント:6件
ブログ読者のおーさんよりご質問を頂きました。おーさん、有難うございます。
たがしゅう様の、医療崩壊の危機、現場への負担についてのご意見が、ここには一切触れられていないのが、お医者様なのに何故なのかと疑問をいだきました。
自粛の一番の目的とも言える、その辺りについても、ご見解を聞かせていただけたら、幸いです。
確かに御指摘の通り、自粛をやめることで医療崩壊のリスクは高まるのではないかという懸念がある事は理解できます。
自粛をやめれば、そうでない場合に比べて感染者数が増えることが予想され、その増加分が医療機関にさらに押し寄せて、
医療機関のキャパシティを超えた患者が受診することによって、医療崩壊を招くのではないかという話だと思います。
確かに何も考えずにただ自粛を解除すれば、医療崩壊のリスクは高まってしまうだろうと私も思います。
しかしだからこそ私の主張は、「構造を理解した上で自粛をやめよう」なのです。
私がその主張に至った根拠の要点を改めてまとめてみますと次のようになります。
・新型コロナウイルス感染症は結局にごく稀に重症者が出てくるただのかぜ症候群の一種と判断するのが妥当。
・新型コロナウイルス感染症の重症化リスクには自己システムのオーバーヒート(サイトカインストーム)の引き起こしやすさが関与。
・自己システムをオーバーヒートさせるような燃料を注ぎ込み続けると重症化するが、その燃料として最も重要なものが「慢性持続性ストレス」
・要するに不安/恐怖情報がコントロールできなくなった人は重症化リスクが高まるという構造にある
・海外の国々でロックダウンをした国で死亡者増加が目立ち、ロックダウンによって目立った感染者の減少傾向が認められないのがその傍証。
・ということはただの流行りかぜだと認識し、これ対する対処を丁寧に行う(食事やストレスマネジメントなど自己システムの調整を中心に)ことによって、重症化リスクを下げ、同時に発症リスクも、感染リスクも下げることができる。
・そのことを理解した人は今すぐ自粛を解除し、理解できない人達の価値観にも配慮しつつ、社会経済活動を再開していけばよい。
よりシンプルに構造をまとめるとすれば、
・単に自粛をやめる⇒不安/恐怖情報に駆られ続ける⇒慢性持続性ストレスで交感神経過緊張状態、副腎過剰刺激(副腎疲労)⇒感染・発症・重症化リスク上昇⇒医療機関負担増⇒医療崩壊
・構造を理解し自粛をやめる⇒不安/恐怖情報はスルー⇒自律神経系・副腎機能安定化⇒恒常性維持⇒感染・発症・重症化リスク低下⇒医療崩壊しない
ということになります。
また、構造を理解した人がたかが心を整えただけで、新型コロナウイルス感染症に絶対にかからないかと言われたら流石にそんなことはありません。
しかし構造を理解した人は変に不安や恐怖情報にさらされることがないので、感染したとしてもまずは最大限の自己システムを発揮させることができます。
その上で例えば発熱、咳、鼻水、咽頭痛などのかぜ症状が出現したとしても、「新型コロナウイルスにかかったかも」とは思いません。
「(新型コロナウイルス感染症を含めた)かぜにかかったかも」と判断します。かぜは自己システムのオーバーヒートなので直ちに「自分で」整えなきゃと思います。
不安/恐怖情報にさいなまれた人であれば、すぐに重症化を防ぐために医療機関に行ってPCR検査をしてもらわなくちゃ、となると思いますが、構造を理解した自粛者はそのようには行動しないのです。
「この風邪は余計なことを考えさえしなければ単なるかぜで終わるのだから、治るために自分の最大限のことをやろう」という発想で自宅療養をします。
具体的には「寝る、食べない、温める」の3つの行動を基本におきながら療養します。
そして一切の制御をしようとせず、自分のすぐれた身体のシステムにとにかく身を委ねます。
ここまで自己システムを炎症の収束に適した環境に持ち込んでもなお重症化するということはまずありえないと思っていますし、
データ的にも何も考えていなくとも14%との人しか重症化しないと言われていますので、
不安・恐怖情報をコントロールできるいる状況にあってはおそらくもっと重症化率は低くなるものと推定されます。
実際にはやってみないとわからないことでしょうから、療養の中で息苦しさ、飲食困難、意識がもうろうとしてくるといった症状が出て来たら重症化が疑われるので救急要請するという心構えを持っておくようにします。
とはいえ「薬なしでただ自宅療養するのは流石に辛い」という価値観の人は、例えばオンライン診療を利用するという選択肢もよいと思います。
このような形になるので、構造を理解した自粛者が増えれば、通常のかぜ診療で受診する患者数をも減らし、
本当に病院に行かなければならない人だけを医療機関に送り込むという体制を作ることになるので、
実は最も医療崩壊が起こりにくくなるというシナリオにつながるのではないかと私は考えています。
これは医療現場の友人から聞いた話ですが、
今現時点で医療崩壊の危機が叫ばれている背景には、コロナ対応可能な病院だけに軽症のかぜ患者を含む大量の患者が集中し、
それ以外の大多数のコロナ対応不能な医療機関は普通のかぜも診療しなくなり、定期通院の患者も無症状感染者と接するリスクを回避するために非常に患者数が少なくなっているという状況となっているようです。
要するに著しい医療の偏在が起こっていることが医療崩壊の本質的な要因になっているわけです。
となれば、本当に必要な患者だけを医療機関へとつなぎ、それ以外の自己対応可能な患者を自宅で治す方向へ誘導させるという、
私の「構造を理解した人だけが自粛をやめる」という選択肢は医療崩壊を防ぐために合理的な方法なのではないかと私は考える次第です。
勿論、多くの人は私の提案する「構造」を理解することが困難な価値観にあるのが現実なので、私の提案を現実にするのは難しいかもしれません。
なぜならば私の提案は突き詰めれば「患者よ、自分で自分の病気に責任を持ち、自分で自分の病気を治そう」という提案なので、
今まで自分の病気の原因をウイルスのような得体のしれない何かのせいだと考え続けてきた人や、
よくわからないので自分の病気はお医者様にお任せにしてきたという方々にとっては到底受け入れがたい話かもしれません。
しかし、それでも今回はこのまま自身が動かなければ著しいストレスにさらされ続けて、アフターコロナと呼ばれる私にとっては絶望にしか思えない世界へと導かれてしまうため、
たとえ私の言葉が嵐に対して風前の灯だったとしても、一人でも多くの人に立ち上がる勇気を与えられるように、
魂を込めてメッセージを書き綴った次第です。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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自己責任に目覚めよ!
質問に応える形でブログに書いていただき、誠にありがとうございます。恐縮です。
この文章を読んで納得しました。ただ単に、ストレスからくる免疫力低下の危険性を訴えていたり、経済破綻や自殺者が増えてしまうから自粛はもう止めようという、それだけの提案ではないことが分かり、安心しました。
私も、自粛について 賛成派も反対派もそれぞれの言い分は、それなりに理解しています。その上で、自己責任でしっかりと生きていれば、どちらを選択してもいいと思います。結果すべて自己責任ですから。
今の日本は、あまりにも未熟で、自己責任で生きていない人が多いのが、一番の問題なのだと改めて思いました。
きちんと、考え方をまとめて書いてくださり、ありがとうございました。
Re: 自己責任に目覚めよ!
コメント頂き有難うございます。
> 自粛について 賛成派も反対派もそれぞれの言い分は、それなりに理解しています。その上で、自己責任でしっかりと生きていれば、どちらを選択してもいいと思います。結果すべて自己責任ですから。
本当にそうですね。
私は自粛賛成派の価値観の方々を無理矢理そうでない方へ説得しようという気持ちは毛頭ありません。
そのまま自粛賛成の価値観の中で生きるのも自由です。その気持ちを尊重しますし、だからこそ私は自粛反対の中にあって自粛賛成の方々への配慮を忘れないようにと考えています。
2020年5月2日(土)の本ブログ記事
「自粛をやめる行動をとるための具体的な注意点」
https://tagashuu.jp/blog-entry-1755.html
もご参照下さい。
ただし今ここの自粛の賛否について考える事は、受動的医療から主体的医療への移行できる千載一遇のチャンスだと考えています。一人でも多くの人がそのチャンスを棒に振ってしまわれないように私はできる限りのことをしておきたいと考える次第です。
自粛
自粛をやめようと広めたいですが
広められません。
皆怖がっているので
コロナは嘘というツィッターを見ますと色々な情報があり
怖くなってきました。
Re: 自粛
コメント頂き有難うございます。
> コロナは本当なんでしょうか?
その不安から解き放たれるためには、自分の頭で納得できるまで考え続けるしかありません。
誰かの言うことを信じるか、信じないかという基準で動いていると、違う意見に出会った時にまた揺さぶられ続けます。
「素人だからわからない」という概念からの脱却を進めます。素人だろうと何だろうと、あなたの人生はあなたが決めていくしかないのですから。
ブログ読みました。
先生のその他のブログも読ませてもらっています。フェイスブックでシェアもさせてもらいました。
今回のこのブログの中で「データ的にも何も考えなていなくとも14%との人しか重症化しないと言われていますので」という部分がありますか、14%が重症化するのは、かなり高い数値だと思うし怖いと感じます。ここは、間違いとかではないのですか?教えていただけますとありがたいです。
Re: ブログ読みました。
御質問頂き有難うございます。
> 14%が重症化するのは、かなり高い数値だと思うし怖いと感じます。ここは、間違いとかではないのですか?教えていただけますとありがたいです。
14%という数値は、中国CDC(Centers for Disease Control and Prevention;感染症などの対策を行う疾病予防センター)からの報告で、新型コロナウイルスのPCR検査で陽性と出た新型コロナウイルス感染症の確定患者4万4,672例を調べた結果として出されているものです。日本医師会の新型コロナウイルス感染症外来診療ガイドにそう記載されています。
http://dl.med.or.jp/dl-med/kansen/novel_corona/shinryoguide_ver1.pdf
ただ本日のブログ記事でも書きましたが、この重症化「率」という数字はくせもので、分母が正しく捉えられているかどうかで数値はいくらでも変化します。
本当は無症状者も含めてもっと分母は大きいかもしれないのにそれが把握できていないために数値として14%というものが算出されていて、その数字が一人歩きしてしまっている可能性が非常に高いということを知っておく必要があると思います。
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