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食事要因より精神要因がはるかに重要な理由

category - 主体的医療
2020/ 05/ 04
                 
新型コロナウイルス感染症の本質が「自己システムのオーバーヒート」という事にあるのであれば、

システムをオーバーヒートさせるような燃料を身体に注ぎ込むことが事態を悪化させるやってはいけない行動ということになり、

その燃料として私は不安/恐怖情報にとってもたらされる急に出現する慢性持続性ストレスのことを非常に大きく問題視しているわけですが、

もう一つ私が大事に思っているのは食事です。私は糖質制限という食事療法を推進している立場の医師なのですが、

糖質の中でも中心的な存在であるグルコース(血糖)は、ご承知のように即時的に利用できるエネルギー源です。

この糖質を過剰に摂取するという行動も、むやみに身体のシステムをオーバーヒートさせて行動につながってしまうので厳に慎むべき行為だと考えています。
            

「免疫力低下」は新型コロナウイルス感染症が重症化するリスクとされていることもあって、

食事や栄養の観点でみると、新型コロナウイルス感染症を重症化させないように免疫力を高めるための行動として、

タンパク質やビタミン、ミネラルなど身体システムを駆動させるために必要な酵素や補酵素、補因子といった機能性成分を確保するという発想にどうしても傾きがちです。

勿論、それはそれで重要なことなので否定するつもりはありませんが、

そんなことよりもまず優先順位の第一としては「これ以上燃料を注ぎ込まないこと」だと私は考えています。なにせ相手は「オーバーヒートして燃え続けている身体システム」であるわけですから。

大火事に対して、いかに優れた消火機を持ち込んだところで、まずは火種を止めない事には火事が制御できないのと同じ構造だと思います。

その意味で、何はともあれ「糖質」という即時的な燃料をひとまず食い止めて、システムを本来のフローに戻すことが、

食事・栄養面においてまず最初に実践されるべきことと思います。

ちなみにもう一つの脂質エネルギーは糖質のように急峻に効果をもたらすものではないので、

持続安定性の高い身体システムの恒常性を維持するためにはむしろ必要なものだと考えていますので、制限することはありません。

それ故に今はまだ幸い食糧的なパニックは起こっていないので、

安易に糖質中心の食事ばかりを行わないようにして、きちんと脂質・タンパク質中心の食品を選ぶようにして、

糖質制限的食生活を送ることは新型コロナウイルス感染症の感染予防や重症化予防に寄与してくれるものと確信しています。


ただ、そのような「食事性のシステムオーバーヒート要因」よりも、「精神性のシステムオーバーヒート要因」の方がはるかに重要な要因だというのが私の見解です。

今までも目に見えて明確にコントロールできる食事因子よりも、目に見えずに不明瞭でコントロールしにくい精神因子の方をマネジメントすることの方が難しく重要だと考えていましたが、

今回の新型コロナウイルス感染症にまつわって現実で起こっている現象をみて、精神因子の方の重要性が私の中で格段に高まりました。

その影響力の強さは、あらゆる食事要因がもたらす影響をすべて吹き飛ばすほどの強大さだと考えています。

もともとコロナ騒動前においてでも、例えば食事療法に熱心に取り組んでも治らなかった末期がんが精神を整えることによって消失するという事実から精神因子の重要性は感じてはおりました。

そこに加えて私が認識を新たにするきっかけとなった現実の現象は以下の2つです。

・基礎疾患のない若者であっても新型コロナウイルス感染症で死亡する場合がある
・アメリカやイタリアなどで未曾有の感染爆発が認められている


この現象をみて普通は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)には病原体に未解明の重症化メカニズムが存在する」という風に考えて、

BCG摂取の有無の違いだとか、住んでいる地域の気候条件だとか、普段摂取している栄養の組成だとか、様々な外部要因の違いが検討されてその議論に決着がつけられていない状況だとみると思いますが、

私の「コロナウイルスは多少の遺伝子変異があれど、それが人にもたらす臨床的特徴は本質的には大差はない」という考察を仮に真だとして話を進めてみると、

「相手がほぼ同じ外部要因(かぜウイルス)であるのに、起こってくる現象を大きく変化させる内部要因が存在する」という話になってきます。

そしてその内部要因が仮に食事因子だと仮定すれば、このような現象はコロナ騒動前にも認められなければ話が合いません。

なぜならばコロナ騒動で食事内容が大きく変わったとは考えにくいので、もし食事因子が原因であればそれまでの世界でも感染爆発的現象が起こっていないとおかしいし、もともと元気な若者がかぜで死んだりしていないとつじつまが合わないからです。

いや、もしかしたらロックダウン(都市封鎖)するような強行的政策に踏み切った国においてはコロナ騒動前後で国民の食生活が大きく変わったという可能性もゼロではありませんが、

変わるとしてもある程度感染者の激増があってからロックダウンされるという順番ですから、ロックダウンされる前の感染者増加が食生活の変化が原因だとはやはり考えにくい話です。

そうすると食事因子以外にコロナ前後で変わった何らかの内部要因が、ただのかぜを今までにない程に多くの人に伝染させてかつごく一部の若者を死に至らしめるものに変化させたということになりますが、

この間に急激に変化する要因として「不安/恐怖情報に伴う急激に出現した慢性持続性ストレス」であるとしか私には考えられないのです。

日光の当たり具合もコロナ前後でそうは変わらないし、気候だってそんなに変わりません。

もしこの私の推論が正しければ、「情報で人は死にうる」ということになります。

それは「不適切な情報によって社会情勢が不安定となり、経済破綻が起こり、それによって自殺する者が出てくる」という意味の話ではなく、

「情報の捉え方によってかかる慢性持続性ストレスは身体システムを安定させるための精巧な仕組みの安全装置を突き破ってまでシステムをオーバーヒートさせ自身を死に至らしめることが可能である」という意味においてです。

この見解は、少なくとも私の中で「そうかもしれない」というぼんやりとしたレベルのものではなく、

「かなり確からしい」という妥当性の高いものとして位置づけられています。

勿論、目に見えない精神という領域の話なので、直接証明が難しいことは理解しています。

しかし一方で心理的な要因が身体面に影響をもたらすという事を否定する科学者はそうはいないと思います。

その心理的な要因が身体面にもたらす影響の幅が、一般的な科学者が考えるより遙かに大きな幅を持っているということが、

今回の新型コロナウイルス感染症によって私が認識を改めたストレス、精神因子の影響力の本質なのです。


ただこの話は、逆に言えば、精神因子を整えることに成功すれば、

必ずしも身体を構成する食事因子が完璧でなかったとしても、身体の恒常性を保つことができる潜在能力の高さを表しているということもできます。

私自身は理論的に糖質制限的食生活を送るのが健康長寿につながると考えてはいますが、

そういえば、そんなことを何も気にせず糖質をしっかり摂っているにも関わらず、健康長寿を実現しているという人もそれなりにいらっしゃいます。

他人の精神の奥までは見えないので、いつまで経っても科学的に証明することができないかもしれませんが、

もしも健康長寿者の秘訣が精神の奥底まで平穏であることにあるのだとすれば、

万病をはねのけて最期の最期まで健康的に過ごすための条件が、精神的に健康であることにあるのだとすれば、

今、自分で考えないことによって嵐のように精神を乱されてしまう状況にあるこの時代にこそ、

自分で何をどう考えて自分の心を平穏に保つかということが極めて重要なことなのではないかと私は考え次第です。

すべての人の心が平穏となるための方法が私と同じ「自粛をしない」という結論になるとは限らないと思いますが、

少なくとも自分の頭で考えない限りは心の平穏は絶対に得ることはできない状況です。

素晴らしき精神の可能性を信じて、平穏になるためにどう考えてばよいのかを、

自分の頭で考えて行動してみませんか。


たがしゅう

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コメント

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No title
たがしゅう先生

情報でヒトは死にうる・・・。慢性持続性ストレスの怖さ(不自然さ)常に感じています。毎日の過剰で異様な報道の姿勢に対して。

そして糖質制限という素晴らしい健康法を知っていても、仮に新型コロナウイルス感染を不安に思い恐れ続けると、糖質制限による健康維持増進のメリットを受けられない事が理解できます。

新型コロナウイルス感染と関係ないのですが、糖質過剰摂取の高齢者が健康で居られる理由として今回の記事が参考になりました。(こころは目で見えませんからこころの持ち方コントロール、難しいのかもしれません)

しかし糖質制限に自信をもって自身に取り入れられるヒトにあっては新型コロナウイルスについての過激な世間に煽りに流されないような気がします。自身で考えて行動できるタイプのヒトが多いでしょうから。

くんだみえ
Re: No title
栗田三江(くんだみえ)さん

 コメント頂き有難うございます。

 確かに糖質制限実践者には自分の頭で考える人が多い傾向がありますが、糖質制限を実践している人が必ずしも自分の頭で考えられているかというとそうとは限らないようにも感じています。

 例えば、ひょんなことから糖質制限と出会い、たまたま実践してその効果に驚き、調べるとパイオニアの先生達がわかりやすく理屈を書いているので、それを盲信して糖質制限を実践している、というパターンの人も結構多くいるように思います。

 要は誰かの言っている話を「信じる、信じない」レベルで動いている人は、自分の頭で考える作業を放棄しているという要素が多かれ少なかれ存在しているということです。これはすべての人に存在する要素(特に自分の不得意な分野で)なので、ゼロにすることは基本的に不可能だと思いますが、人はそういうものであるということを自覚できているかどうかは重要だと思います。

 その上で、自分が納得のいくところまで考え抜くこと、少なくともわからなければ保留にしておく態度が重要です。
 「守破離」という言葉があるように、学びの最初の段階では「信じる、信じない」で動かざるを得ない場面があるわけですが、そこから先に全体像が見え始めた時に、矛盾点に気づいた際に考え抜けるか、それとも「ま、いいか」といってスルーしてしまうかが運命の分かれ道なのかもしれません。
コロナ前後の変化に5Gも?
たがしゅう様
もう自粛をやめた方がいいのではないか?という記事でこちらを知り、読ませて頂いています。とても有益で本当に国民の立場に立って考えて下さっているのだなぁと感じました。

ところで、こちらの記事に追加なのですが、ニュースなどの慢性的ストレスに加えて、私は5Gの影響で免疫力が落ちている可能性も考えています。武漢はスマートシティを実施し始めた直後だったようですし。
たがしゅう様は5Gなど電磁波に関してはどうお考えでしょうか?良かったらご意見をお聞かせ頂けたら嬉しいです。
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
Re: コロナ前後の変化に5Gも?
もも さん

 コメント頂き有難うございます。

> ニュースなどの慢性的ストレスに加えて、私は5Gの影響で免疫力が落ちている可能性も考えています。武漢はスマートシティを実施し始めた直後だったようですし。
> たがしゅう様は5Gなど電磁波に関してはどうお考えでしょうか?


 5Gについて私は浅学にして「技術が進歩して便利になった電波」ぐらいの認識しかないので、残念ながら現時点で詳しく論じる事は困難です。
 また「電磁波」ということに認識を拡げて論じるにしても、私の中ではまだ「保留」の案件です。
 アーシングという身体にたまった電磁波を地球に逃がす(アースする)という治療法がありますが、これの治療効果は実在することは電磁波が及ぼす健康への影響について考える余地があるとは認識していますが、一方でその治療効果に個人差が大きいことからも、メカニズムについてはまだまだ私の中でわからないことだらけです。

 ただ「電磁波が原因」という考え方は結局病気の原因を外部に求めるという考え方です。電磁波を受けた人が皆等しく同じ悪影響が及ぼされるのであれば別ですが、影響に個人差が大きいであろうということ、「外部」に原因を求めることで「内因」の調整がおろそかになってしまうであろうことを思うと、私の中では優先順位が低いテーマだと考えています。
お返事ありがとうございました!
たがしゅう様
さっそくお返事ありがとうございました!5Gはたしかに外部要因になりますね。
電磁波についてはまだまだ私も分からない所が多いのですが、今後の動向を注視していこうと思っています。
もちろん内部を整えることにも大賛成です。

これからも更新楽しみにしています!
No title
精神因子を整えるのは容易なことでありません。私は10代から20代の前半まで親から精神的暴力を受け、自分の価値観で生きることを奪われ、かなり不安定な精神状態で過ごしてきました。周りのネガティブな意見に振り回され、生きることは恐怖でしかなく、死にたいと思ったことも何度もあります。摂食障害も経験し、仕事もままならず、借金も背負いました。
なぜ虐待するのか、なぜされるのか、安らぎはどこにあるのか。答えを探して、心理学から宗教、哲学、スピリチュアルまで独学で学びましたが、一筋縄ではいきませんでした。糖質制限で感情のアップダウンは多少緩和されたものの、根本から解消されたとは言い難い状態でした。
親には恵まれませんでしたが、幸いなことに夫には恵まれましたので、夫を安全基地として試行錯誤を繰り返し、アラフィフになった今、やっと乗り越えることができましたが。
自己責任、自分の頭で考えろ、精神を安定させて・・・と、口で言うのはたやすい。なぜできないのか。受けた教育、育った環境、影響を受けた人、遺伝など、自分ではどうにもならない要因が複雑に絡んでくるからです。糖質制限を続けていくほうがよっぽどシンプルで簡単、楽勝です。
精神要因の重要性にお気づきならば哲学だけでなく、精神医学、心理学、臨床心理、教育、ストレスマネジメントなど、もっと実用的な面も勉強していただくと、見識が広がるかと思います。
Re: No title
おせっかいだとは思いますが。 さん

 コメント頂き有難うございます。
 まずは貴重な経験をお伝え頂いた事に心より感謝申し上げます。

> 精神因子を整えるのは容易なことでありません。
> 糖質制限で感情のアップダウンは多少緩和されたものの、根本から解消されたとは言い難い状態でした。
> 自己責任、自分の頭で考えろ、精神を安定させて・・・と、口で言うのはたやすい。なぜできないのか。受けた教育、育った環境、影響を受けた人、遺伝など、自分ではどうにもならない要因が複雑に絡んでくるからです。

 
 「精神因子を整えるのは容易なことではない」、全くの同意見です。
 「糖質制限は実践は簡単である程度効果もあるけれど、根本的な解消には至らない」、こちらも全くの同意見です。

 ならば、糖質制限しても体調が改善しきらないのはなぜなのか、どうすればその人達の体調を改善させることができるのか、
 悩んだ末に私が多くの糖質制限で治り切らない患者さん達との情報交換によってたどり着いたのが、その整えるのが難しいとされる「精神因子」の問題でした。

 確かにおっしゃるように「精神因子」を整えるのはとても難しいことです。
 養育環境や所属する集団や社会の価値観、どんな人達とどのような交流をしてきたか、様々な要素の影響も間違いなく受ける因子です。
 しかし、全く手の打ちようがない世界ではありません。なぜならば自分の心の中はたとえどんな状況にあっても自由だからです。

 そしてそう考えた時に私は医療の構造を抜本的に変えなければならないと感じました。
 「医者が病気を治す」のではなく、自分の心を唯一動かすことのできる人物である「『患者』が自分の病気を治すのを医者が手伝う」という「主体的医療」への転換です。

 難しいということは私なりに理解しているつもりです。それでもこの道の先にこそ悩める患者さん達を根本的に救える世界があり、その先に医療が健全になる世界があると信じて、未熟者ですがこれからもご指摘のように様々な分野の学びを通じて悩める人達を支えることができる人物になる、もしくはそのノウハウを後世に残せるようこれからも精進して参る所存です。