無害なウイルスを有害化させてはいないか
2020/04/11 06:00:00 |
素朴な疑問 |
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健康な動物では感染症を起こさないけれど、免疫力が低下した動物に対しては感染する病原体によって引き起こされる感染症のことを「日和見(ひよりみ)感染症」と呼びます。
例えば、「真菌」というのは私達日常的な言葉でいう「カビ」のことですが、健康な人はこれが原因で感染症が引き起こされることはまずありません。
ところが何らかの理由で免疫力が低下している人(例:ステロイドの長期高用量内服者、免疫抑制剤の内服者、HIV感染者など)が「真菌」に感染すると、非常に重篤な感染症をきたすことへとつながってしまうわけです。
なぜ重篤になるかと言えば、真菌自体にすごく凶悪な能力があるというわけではなくて、それに対抗する動物の身体のシステムの方が非常に弱っているからです。
なので「真菌」を叩く「抗真菌薬」という薬を点滴で用いるような状況の患者は、状況的にかなり厳しい状態にあるということを我々医師は経験的に知っています。
ところで、この健康な人には無害だけれど、免疫力が低下した人にとっては重症となるという話、どこかで聞いた話ではないでしょうか。 そう、新型コロナウイルス感染症の特徴です。「大部分の人に対しては無症状か軽症で済み、一部の人達に重篤化する」という特徴のことです。
私はこの新型コロナウイルス感染症の特徴が、まるで健康な人には特に悪さをしていない「真菌」に対して世界中が一丸となって恐怖を抱いている状況だと思えてしまうのです。
なぜならば、もともとコロナウイルスというのは無数にあるかぜを起こすウイルスの一つだと捉えられていました。
2002年にSARS、2012年にMERS、そして今回の2019年のCOVID-19という新型が出現するまでは、とてもではありませんが重症な肺炎をきたすようなウイルスだとは捉えられていませんでした。
そのコロナウイルスの遺伝子の塩基配列が変わって、今までのコロナウイルスでは考えられないような重症の肺炎や急性呼吸促迫症候群をきたすようなウイルスに変化したと言われてはいるのですが、
少なくとも外見上今までのコロナウイルスと大きさが変わったわけではありません。
例えば重病として知られるエボラ出血熱をきたすエボラウイルス(フィロウイルス科)は糸状で幅80nm、長さが1000nmほどある大きさのウイルスですが、
新型コロナウイルスの大きさは100nmほどの球形ウイルスで、その点はそれまでの旧型コロナウイルスと大差はありません。
あるいは新型コロナウイルスの、エンベロープがあって、外見上太陽のコロナの様な形をしていて、中にカプシドがあって、プラス鎖1本鎖のRNAがあって…といった内部構造まで旧型のそれと全く同じです。
要するに見かけ上は今までわかっているコロナウイルスと違った所は特に見受けられない、ということです。違いがないからこそ「コロナウイルス」のカテゴリーに入れられている、とも言うことができるでしょう。
しかしながら遺伝子の塩基配列が違うから未知の現象が引き起こされているのだろうということで、今日の様々な重症化の出来事は説明されるということになってはいますが、
2002年のSARS発見からはじまった重症化をきたしうる新型のコロナウイルスが、なぜ重症化させることができるのかという化学的、分子生物学的なメカニズムはいまだに分かっていません。
例えば、旧型にはない毒素を新型は産生することができるとか、旧型ではありえない感染メカニズムを持っているということがあるのかと思いきや、そういう理屈がわかっているわけではないのです。
つまり見た目は一緒、遺伝子は違うけど、なぜ重症化するかの理由もよくわかっていないということです。これは未だにこのウイルス自体は「真菌」のように健康な人に悪さをしないウイルスなのではないかという考えが浮かんできます。
しかしながら、様々なデータや報道を見ていると死亡者は高齢者に多い傾向がある一方で、それまでは健康だとされていた人が死亡に至っているという話も散発的に聞かれます。
もし新型コロナウイルスは今までの旧型コロナウイルスと同じように弱毒だと仮定すれば、重症化する人はこれが「日和見感染症」になるように急激に免疫力を低下させる要因が加わったとしか考えられません。
そういう人は急にステロイドの高用量を内服を開始したわけでも、免疫抑制剤を内服したわけでも、勿論、HIVに感染するようなイベント(性交渉、血液交換など)があったわけでもないでしょう。
そうなると急激に免疫力低下をきたす要因としては「未知で新型の脅威のウイルスである」という概念によってもたらされた不安や恐怖に伴う急性ストレスしか考えられないのではないかと私には思えてくるのです。
だとすれば、今世界中が必死になって3つの密を防いで大切な人との接触を避けるだとか、感染者を特定するために検査数を増やすだとか、爆発的感染拡大をさせないために経済活動を最小化したりだとかするやり方はすべて、
この不安や恐怖を余計に増長させるだけで、ストレスによる免疫低下者を余計に増やしていくだけで、
この流れが終わりなき戦いへと導かれていく可能性はないでしょうか。
少なくとも、真実がどうであれ、自分の心身を健康に保つために、不安や恐怖をコントロールする行為は必要不可欠なことと思います。
その不安や恐怖を、誤った解釈による誤った概念によって、わざわざ生み出すことだけは避けるようにしたいものです。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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